この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

魔術解説

まず、魔術師に必要な三柱と呼ばれているものが「天命」「人智」「自分の存在」の三つである。
「天命」は人智の及ばない運命的な流れ・神の存在など。
「人智」は天命に逆らう人智、人為。人の存在など。
そして、その二つを持った自分という存在である。真名によって天命を、字によって人智を結び、初めて詠唱が可能となる。

”真名(マナ)”は、「天命」を自分と結ぶアンテナのような役割をしている、自分の本当の名前。
全ての魔術は天命の力を借りているため、魔術師が真名を知られるのは危険だが、逆に知る者が一人もいなくなると魔力を失う。
他人につけられた名前でなければならない。(親など)

”字(アザナ)”は「人智」を表す、通り名のようなもの。自分でつけなければならない。
魔術師は自分の字に強い魔力を宿らせる為なるべく意味のある名前をつけるが、自分の存在に見合わない大仰すぎる字をつけると理解されない(=魔力を持たない)。
何度つけ直してもよいが、知る者が多い程魔術的効力が上がる為、一般的には長く使ったほうがよい。神の名の一部を借りたり、意味がそのまま「破壊」や「力」の名前だったりする。

ちなみにあだ名、愛称については、無い訳ではないがよっぽど親密でなければ失礼に当たるため、
あだ名で呼んでいるところを見られると「そんな関係なの…!?」とギョっとされる程度にはデリケート。
(とりわけ魔術師にとって、字は力を表すため、略さないで呼ぶことが礼儀となる。)

魔術とは基本的に神の力を借りたり自然の力を借りたりするものである。しかし、その神の存在を信じるものがいなくなる(=神の存在と神の名が結ばれない)ことで神に霊力がなくなる。
身近なものでは雷・炎などの名もそうであり、縁遠いものでは誰も見たことのない神など。
古代ヨズア人は太古の信仰を持っていたが、千年前の戦争でウェンディアと尊華に侵略され、外界と接する事により弱体化した。
人が卵から産まれる、世界は地続きになっている等”時代おくれ”の現実離れした神話のせいで、ヨズアの神に懐疑的な民が増え徐々に魔力を失っていったからだった。ウェンディアは”目に見えるものを信じる”宗教であり、尊華は”嘘か本当か確かめようがない”ものを信じる宗教であったため、結果として栄えた。
「ヨズア国はバカのままなら滅びなかった」と、かつてウェンディアの英雄が言った。

言葉や名前に宿るものを魔力、神や自然に宿るものを霊力と呼ぶ。魔力は霊力を源とし、魔術は魔力を源とする。

武器を手に戦ったりもするが、魔術の前では非力な為、大きい戦争ほど魔術を使う。
かつてヨズアがされたように、プロパガンダや印象操作による魔術弱体化も試みられる。
魔術がメインの戦いにおいて、一斉にたくさんの魔術師が犇めき合って魔術を使うと味方同士で声が邪魔になったりして暴発するため、一騎打ちか少人数で行われる。この場合の「兵力」は後ろに控えている代わりの魔術師の数だったりもするが、代わりを出すか白旗を上げるかは戦況に委ねられる。
魔術師が死ぬ他、魔力を失う、声が出せなくなる等の戦闘不能状態をもって勝敗を決する。
今回のような戦争の場合、一般人に直接的な被害が及ぶことはなく、一般人にとって戦争は戸惑いこそすれ、敵国を憎んだり出来るほど魔術戦争についての情報を与えられてはいない。
(なりチャの場合、忖度による勝利の譲り合いを避けるため、最後はダイスロール等で決めていただきます。
出目にしたがって、語調は確定ロールでOKです。)

武術の有効性はリアル準拠で十分なもの。しかし魔術師に対しては魔術を使うのが世界共通の絶対的なルールとなっている。
以下補足
魔術師の人口は全体の二割程度と言われており、魔術師以外は戦闘になれば武術を使うし、街では刃物での殺人事件も起きている。
魔術師が各国の軍や戦争に起用され、必ず魔術師同士での戦闘になるのには、現在の国や民族以前の伝説、即ちヨズア暦紀元前の神話が関係している。
その神話は文字を含む言語と魔術誕生についてのもので、要約すると以下のような内容である。
『その道を知らないままに争いを続けた人類は神格によってまず滅ぼされかけた。次に憐れまれ、言葉を与えられた。これを用いて伝え合い、分かり合い、戦い合うように。』
魔術師は特に「言葉を知る者」として扱われている。そのため国家間による戦争など、特に大きな戦闘では魔術師が戦うものである、というのがこの世界の根幹となる思想。
古くはどの時代のどの国でも、武力行使で敵国の戦闘員である魔術師を始末するという試みが行われていたが、
そのような戦略を取った数多の人間や組織、国々は必ず凄絶な終わりを迎えたため、神格の祟りを恐れ自然と消滅していった。
(現在の戦争が始まったのはヨズア暦30676年で、前回の戦争は千年前ということになっていますが、少なくともここ一万年はそのようなことは行われていないのではないでしょうか。
戦争規模での魔術と武術との相性、有利性、効率性の関係もありますし、武力での暗殺等の策略など様々な可能性が考えられるとは思いますが、
それだけで取り決められていることではないという世界設定です。)

魔術を発動させるには呪文詠唱や魔術版が必要となる。物語を読んで何と書いてあるかは理解できても、物語が頭の中で動き出すのと同じように知覚することが必要。

暴言に傷ついたり、愛の囁きに胸をときめかせたり、励ましに心が軽くなったり。
正式な呪文ではないので強制力はなくとも、これらも広義の魔術であるという事は、この世界の誰もが知っている。