この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

デウス・エクス・マキナ-治療成功-

(ガデューカ&オウガ)

クロ:ガデューカ > ( バタバタを土を蹴り慌ただしく駆け回る数人の兵。血の匂いがふわりふわりと空を漂い、遠くから人々の声や雑音がここまで響いてくる。_戦争に怪我人死人は憑き物であり付き物である。此処はそんな戦場から多少離れた場所。負傷者を治療する場所として用いられた場所。戦場の様に誰かの悲痛な叫び、魔術の詠唱が空高く響き渡り、様々な魔術が飛び交う事は無い。が、しかし、此処も1種の戦場。負傷者の呻き声喚き声、倒れ込む人々が見られるこの場所で、声を張り上げ指示出しする女性が居た。_まるで獲物を睨み付けるかのようにして辺りを見渡し、紫の髪の毛を荒く1つに纏め、医療班として用意された兵達に的確な指示を出すその"司祭"と呼ばれる女性の名は、毒蛇( ガデューカ )。   (6/20 19:25:35)
クロ:ガデューカ > 一通り指示出しを終えた毒蛇は、真っ赤な瞳で辺りを見渡す。シュル、と長い舌を出し入れしながら顔を顰める。どうにも先程より負傷者が増えている様で。 _嗚呼、なんて事だい、一気に負傷者が増えとるじゃないか…此方は人手不足だっていうのに、仕方ないねぇ…!!!!_ そんな愚痴とも言える様な事を思いつつ、治療に向かおうとして、ふ、と見覚えのある人影を見て立ち止まる。ふらり、ふらりと揺籃の様に揺れながら、ゆっくりと歩みを進める明らかに"異常"なその姿。まるで迷子になった子供の様に小さく小さく見えるその"巨体"を目で捉えれば「 _ッ!? 」と驚きの表情を。地面を蹴りあげ人にぶつからないようにしつつ脱兎のごとく駆け寄れば、軽く右腕を掴み「 あんた…!! 」と声を掛ける。今まで見た事も無いぐらい小さく感じるその人_千騎長の弱々しい目を、真紅の蛇目でじっと見詰めた。)   (6/20 19:25:37)


しぃずま > 「…(ふらり、ふらりと力なく。ゆらり、ゆらりと弱々しく。血や、靴裏にこびりついて落ちた土にまみれた地面を見つめながら、巨躯は歩いていた。普段は風のように猛々しい男。普段は林のように優しい男。普段は火のように激しい男。普段は山のように重鎮する男。風林火山全て揃った「鬼」…それがどうして、こうまで心を傷つけているのか…それは、誰であろうと見当がつかないだろう。…その、心が壊れていく様子を間近で、目前で見た「咲夜」という、日と月を併せ持つその人であろうとも、計り知れない…そういう類いの、割れたものを刺したり、嵌めたり、どうにかして寄せ集め、不安定なまま安定させた塊のような、そういう類いの心だ。)」   (6/20 20:13:08)
しぃずま > 「(足が、いくつもの足が動く音。土が跳ねて、地面にぶつかる音。人の声。詠唱。呻き、喚き、指揮の声。長い舌が出し入れされる音。がちゃがちゃと雑多に鳴る音たち。紫の髪。鋭い目。視線。近づいてくる足音。右腕の感覚。痛み。痛み。痛み。そして、赤い、赤い瞳。すべてをゆっくりと、なにも考えず、排斥することなど知らず認識し、その瞳を、恐ろしいほどに力なく、光の灯らない目で、見つめ返した。尊華の言う、「幽霊」「妖怪」のような、得体の知れない恐怖を覚えさせる、暗い、暗い瞳。)が…あ…(声が出ない。出す気が起きない。精神的疲労と、強い倦怠感。それが今、その心を刺の生えたいばらのように閉じ込め、封じ込め、締め付けている。その茨の上に咲く、神の息吹を受けた金の花。白い、鬱陶しいほどに金色の香りを持つ花。忘れないでと小さな身で主張する花。それらが何なのかは、やはりわからない。とにかく今わかるのは、そこにある肩の焼き切れた傷だ。とにかく、それだけは治療せねばならないだろう。)」   (6/20 20:13:27)
しぃずま > 「お…(引っ張られれば、なんの抵抗もなく、否、なんの抵抗もできぬままに覚束ない足取りで歩き始めた。こ、こっ、と、不揃いなリズムで歩く足にも力はない。その分厚い筋肉を飾りと思わせるほどに弱く、地面からひっぺがすことが簡単にできるほど弱く。そして引っ張られるまま導かれるまま治療場に足を踏み入れる。ベッドを軋ませれば、オウガは目線があまり変わらないでぼーっとあなたの方を見ている。そしてその自分の虚ろな黒い瞳を、赤い瞳でじっくりと見つめられて、オウガは少し心が落ち着いたようだ。)」   (6/21 00:54:26)
しぃずま > 「きこ、える…(心の落ち着きと共に頭も動きだし、少し言葉を取り戻した。上着を脱がされれば、その下にある鋼の肉体が現れた。分厚いまな板のような胸筋、その下で存在を主張する6つに割れた腹筋。そして最も注目すべきは、腕…男らしく戦士らしい、剣の扱いだけに洗練されたような、太いがしなやかな筋肉。鬼と呼ばれる由縁となる、その強腕だ。そして、多くの命を奪ってきた血塗れの手だ。その血だけが、国に捧げられたその血だけが、今は自分を肯定するものの1つだ。…自分によって命を絶たれた「戦友」たちが、自分を肯定してくれている…でもやはり、鬼に住まう「自分が自分でない」感覚を、捨てきれずにいるのだが。…それでもその肯定は、心臓と喉の奥を動かす力となった。)」   (6/21 00:54:42)
しぃずま > 「が…っ(黒い傷口が少しずつ閉じていくのを感じる。傷に触れられる痛みとは別に、成長痛のような、体の中の「星たち」が増えて増えて繋がる痛みが体の中を走る。その痛みに、牙を剥いて食いしばり、抵抗…声を止めた。…こんな痛みを我慢することなど、どうということはない。子供の頃の、あの横腹の痛みよりはよっぽどマシだ…なんて、自分の心を、落ち着かせながら痛みを我慢する。)ありがとよ…。じゃあ、行ってくる。(左肩を触り、動かし、回し、感覚を取り戻せば、礼を言って立ち上がる…その瞳と背中には、一度はいなくなった鬼が、舞い戻っていた。)…俺なんて、太陽サマにゃ届かねぇさ…(そんな、ネガティブな言葉こそ口から出てしまうが。)」   (6/21 00:54:56)