この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

盤上のシヴァリー

(ガデューカ)





クロ:毒蛇 > ( ふわり、と医務室内に窓から月光と夜風が入り込む。さらり、と紫のグラデーションで彩られた髪とカーテンがゆらりゆらりと舞う。それと同時に爽やかで優しい柑橘系の香り…。 現時刻_深夜1時。静かな医務室とも呼ばれる司祭の部屋で、1人。" 毒蛇 "の異名を持つ、とある司祭が机に向かって首を傾けながら座っていた。 毒蛇_そう、毒蛇( ガデューカ )は月明かりと机に置かれた小さな蝋燭の光しかない薄暗い部屋で、落ち着いた色合いの赤い蛇目を爛々と光らせて机にある物を見詰める。   (6/17 01:33:58)
クロ:毒蛇 > 机にあるのは、チェスの盤。 綺麗な硝子で出来たチェスは綺麗な透明のものと、少し濁った白い物があり、それらが、蝋燭の赤い光を取り込む。影がゆらゆらと動く中、瞬きをせずにじっと駒を見詰める毒蛇。 まるで、獲物を狙うかのように、瞬きもせず美しい硝子の駒を見つめ、細長い手指を伸ばして自身側にある透明な、とある駒を動かした。 かたり、と小さな音が" 2回 "鳴る。そして虫が囁くように、ぽつりと呟いた。 「 あの子達は戦線離脱、と言ッたところかね。百騎長( ナイト )。 」 _ナイトを2つ、場外に。   (6/17 01:35:07)
クロ:毒蛇 > カチカチ、と無機質な時計の針が部屋に鳴り響く。 口元に手をよせ、ふむ、と考え込む。 _ルークが居ない。ルーク、2人の百騎長が居ないのだ。 小さくぽっかりと空いてしまった自陣の駒を眺めつつ、更に深く考えれば、闇夜も深まっていく…。 瞬きをせずにじっと盤を見詰めれば、溜息を吐きつつ、透明な駒を掴み、軽やかな音を1つ。ちらり、と駒を見詰めて一言。 「 何時になったら帰ってくるんだい?御前サンが居ないと騎士団の戦力、士気はガタ落ちだよ…千騎長( ルーク )。」 _ルークを1つ、場外に。   (6/17 01:35:41)
クロ:毒蛇 > 刻一刻と、時が過ぎていく。黒く青く、空の色が深まり、さらさらと音を立てていた風の音も静まりつつある。カーテンの揺らぎが収まる中、顔の元へと落ちてきた紫色の髪の毛を細い指で耳に掛けつつ静かに目を閉じる。 思い浮かべるのは、夢の様なものであり、現実世界の出来事で。小さくくぐもった声を漏らし、ゆっくりと目を開く。左手を伸ばして透明な駒を掴めば、小さな音が1つ。静かな部屋に響いた。 「 小さいのに良くやるよ。早く帰ってきておいで、機械技師( ビショップ ) 」 _ビショップを1つ、場外に。   (6/17 01:36:15)
クロ:毒蛇 > 戦況は最悪。毒の如く自陣が蝕まれ、まるで月夜の闇の様に、減りに減った駒達を哀れな視線で眺めれば、部屋に漂う憂鬱を吸い込み飲み込んだ。 目尻を左指で抑え込み、思考を巡らす。 _ぐるりぐるりと、世界が回るのが理ならば。私達も星の様に踊り回るのも理なんだろうね。仕方ない、嗚呼仕方ないさ。皆は星で星はいつしか流れ落ちる。希望となるか、絶望になるかなんて、誰にも分からないのさ。でも、_ ぱっと目を開き、だらしなくなっていた姿勢を正す為に座り直す。 首を回して欠けた駒が残る自陣を見れば右手を動かす。それと同時に動き出す小さな世界。 かたん、かたんと軽やかな音が流れ、重力が深まったかのように空気が重くなる。 首を何度も振り、必死に手を動かしては止め、動かしては止め_。   (6/17 01:36:41)
クロ:毒蛇 > ついに、小さな世界が止まった。   (6/17 01:36:53)
クロ:毒蛇 > はっと、目を開く。駒を動かしていた手指が空で止まる。手には白いクイーンが。 毒蛇の目の前にある盤は、駒が互いに減りつつも、やはり白い駒の方が多く残り優勢で。 残る透明な駒は王と女王、僧に兵。そして今、とある駒が終わりを迎えようとしていた。 ぐっと唇を噛み、目を細めて哀れみの視線を駒に向ける。そして、手にしていた白いクイーンで、とある駒を1つ、倒す。 からん、と音を立てて真横に倒れ込んだ駒。   (6/17 01:38:02)
クロ:毒蛇 > _それは、透明で美しい…騎士団長( 女王 )だった。   (6/17 01:38:26)
クロ:毒蛇 > なんとも哀れな事だろうか。なんという事だろうか。光り輝く太陽が退かす事の出来ない大きな雲によって隠れるなんて。美しい星が静かに落ちるなんて。 毒蛇は静かに空を仰ぎ、飲み込んだはずの憂鬱を吐き出す。ぱちぱち、と瞬きを何度もすれば、直ぐに椅子から立ち上がり窓の方へと歩き出す。その際、ちらり、とカーテンに包まれたベットを見るが、直ぐに視線を戻す。 そして窓際に辿り着けは、草が擦れる音色も、風の声も。何もかもない、静寂で包み込まれた外を見詰め、きらきら光る月星が舞い散る夜空を見上げた。 毒蛇は、窓枠によさりかかり、肘を着いて掌を顎に当てる。そして目を閉じつつ小さく口を開いた。 「 冷え、冷え、夜風…。浮かぶ、星… 」 小さく呟くようにして出てくる言葉を紡ぐ。幼い頃によく聞かされていた子守りの歌を部屋に世界に響かせる。 _可愛い小さな星の子達よ。世界で踊る駒達よ。どうか光を取り戻しておくれ。太陽の如く暖かく、月星の如く美しい者達よ、どうか。どうか_ どうか、無事で居ておくれ。どうか上手くいきますように。)   (6/17 01:39:17)