この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

金瘡に触れて

(ヴァンジャンス&婀娜)

大和守/ヴァンジャンス > 「……ッ、」(ーー【気持ち悪い】。常に付き纏う不快感。消える事の無い、失敗した己を責め立てる憎悪。夜も更け、電気が点けられていないからか暗い医務室の中。ヴァンジャンスは体を起こし、顔を伏せる。常にぐるぐると渦巻く気持ちの悪さに顔を歪めながら、思い返されるのは先日の攻城戦。嗚呼、負けた。負けたのだ。こんな有り様で、誰に顔向けが出来ようか。よくもまぁ彼処まで堂々と吼えられたものだなと、再び自身を責める言葉が浮かんでくる。無くしてしまった左腕、刺された右脇腹。巻いた白の包帯には時折じわりと血が滲む。それを抜きにしても、こんな有り様彼には見せられないなとそう思いつつ。また偽れる様に、こんな姿を見せないように出来るまで彼には会いたくないと。それでも彼は来てしまうのだろうなと諦めつつ、どうか治るまで来てほしくないと、ヴァンジャンスは一人そう願っていたのだった。)   (6/15 01:07:09)


山葵@婀娜 > ……ヴァンジャンス、失礼するよ。(彼女の予想通り、扉が開いた先には金髪を揺らすドレスの男。尊華の元帥との戦いに敗れ、精神を病みかけの彼女の身を案じ、見舞いに来たのだ。)…大丈夫かい、ヴァンジャンス。痛いところとか無い?…あんなに綺麗な身体を奪うだなんて…(何かを一人で喋りながら、ヴァンジャンスのベッドに寄り添う。さすが団長、と言った所か、用意された部屋は個室。此処ならばいくらでも私的な話が出来るのだ。)…気分はまだ優れないかい?(ぽふ、と彼女の頭を撫でながら、そう問い掛け)   (6/15 01:14:34)


大和守/ヴァンジャンス > 「……っ、……、あぁ……ん、大丈夫……大丈夫、だ」(視界の先、扉が開かれたそこに居たのが貴方だと理解するや否や、ヴァンジャンスはひゅっと喉を引きつらせる。なんで。なんてそんな思いがぐるぐると渦巻く。最愛の人である貴方が来たのだ。普段ならば目に見えて嬉しそうに喜ぶのだろう。しかし今は、本当に……嗚呼。痛い。まだ傷がじくじくと痛んでいる。それでも嘘を吐く。そうするしか今は出来ない。ましてや甘えるなんて、出来やしない。明らかに嘘だと分かるような表情だというのに、彼女は顔を伏せつつそう溢す。隠しきれていない。偽れない。頭を撫でられれば一瞬肩を揺らすも、貴方の言葉には大丈夫だと表すように首を横に振って応える。ーー嗚呼、【気持ち悪い】。)   (6/15 01:24:25)


山葵@婀娜 > ……大丈夫、か。(ふ、と微笑んだ彼の目には憂いが含まれている。まるで、初めて会った時の表情にも似ていた。)……本当は痛むんでしょ。…嘘は良くないよ。(彼女が吐く見え見えの嘘と、一瞬だけ揺れた肩。嘘を吐いている事なんてすぐに分かった。)…まあいいや、それは良いの。でもね、キミがずっとうじうじしてるもんだから、騎士団の指揮もかなり下がってるし。…ねぇ、そろそろ元気出せば?キミが悪い訳でも無いし、誰が悪いとかは無いと思うんだ。   (6/15 23:41:13)


大和守/ヴァンジャンス > 「…………え、ぁ、……う……」(嘘は良くないと。そんな言葉を掛けられては一瞬瞳を丸くし、次いで居心地の悪さに瞳を泳がせる。……バレた。嘘を嘘だと見抜かれた。右手を固く握り締め、瞳を貴方から逸らして。しかし、次いだ貴方の言葉が耳に入れば、貴方を一直線に見つめる。その瞳には、決意がある。誓いがある。友人を亡くした時に定めた、何よりも固い誓いが。)「…………だ、って、だって、……ッ」(普段ならば何よりも大切で嬉しい貴方の言葉。それでも今は口答えをする。しなければいけない。だって。誓いが、誓ったのだから。昔に。それを覆す事は、絶対にあってはならないとーーそう、"誓った"のだから。何よりも辛い気持ちを味わった、あの日に。)   (6/15 23:53:25)


大和守/ヴァンジャンス > 「……わ、私は、絶対に"失敗"しない、したくないって、……そう、決めたんだ……! 失敗しても良いって、言われた事もあるけど、……でも、もう自分の力が足りないせいで、喪うのはもう、嫌なんだよ、だから……だからっ!! それなのに、私は失敗した、……負けた、の……っ! だって、彼奴に、"アイン"が、死んだ日に私、もう喪いたくないって……それで、【誓った】のに……!! でも負けて、それで、それなのに元気なんて出せる訳、ないでしょうっ……!?」(真っ向から、愛しい貴方に矛を向ける。誓ったのだ。それを覆すのは、許さない。許せない。ーー例えそれが、愛しい貴方であっても。息を荒げ、まるで手負いの獣ーーそれも、子を守るかの様に彼女はそう反抗した。冷静になり、自己嫌悪するのは何時になるだろうか。そんな事も考える事が出来ずに、彼女は貴方を睨んだ。【誓い】に口出しするのは、誰であろうと許せないのだから。)   (6/16 00:04:16)


山葵@婀娜 > ……はぁ…。ねぇ、ジェーン。(真っ向から己に対して噛み付くヴァンジャンス。言い訳がましく、己の意見を押し付けようとする駄々っ子のような彼女に、思わず溜息が溢れた。)……(ふ、と伸びた骨張った手。普段なら、彼女の頭や髪をそっと撫でるであろうその手は、あろうことか彼女の頬を打ったのだ。渇いた音が病室内に響き、その後は静寂が辺りを支配していた。)…じゃあさ。キミの親友はキミに「死ね」って言ったの?(す、と肘をつき、ヴァンジャンスを見据える。「失敗しない」は裏返せば「逃げ出さない」と言う意味にも聞こえる。いや、彼女はそう捉えているのかも知れない。きっと彼女の親友との誓いの中には「自分の身を守る」事も含まれていたのだろうに。)「逃げ出さず、戦場で死ね」、と。そう言ったんだね?…ねぇ、キミはさ、戦場を甘く見てる人ってどう思う?…嫌だよね、生半可な覚悟の人は。…それってキミのことだったんじゃ無いの?キミが一番戦場を甘く見てたんじゃ無いの?(兵を死なせない。そんな夢物語は滅多に起きない。それなのに、素早く兵を撤退させず余計な死者と怪我人を出して、己の腕すら失ったのは誰だ?)   (6/16 00:23:14)


大和守/ヴァンジャンス > 「…………へ、っ……」(ーー乾いた音。じんわり、広がっていく熱さ。貴方の姿。それにヴァンジャンスは、貴方が自身の頬を、叩いたのだと。【暴力】に、彼女の体が微かに震える。自然、両親の事が脳裏に浮かぶ。ひゅっと喉が小さく音を立て、今度は反転して微かに怯えたような瞳を貴方に向けているのだった。)「……、ち、……っ、う、……ッ、」(違うと。そんなことないと。本来ならば出てくる筈の言葉が喉で引っ掛かり上手く吐き出す事が出来ない。ーー怖い。暴力。痛い。父親。ぐるぐると視界が回る。過度に高まった緊張からか目眩を感じる。怖い。どうしようもなく、怖い。ーーそれに。貴方の言葉は、嗚呼。本当に、その通りだ。何よりも戦場を甘く見ていたのは。そう思っていたのはーー私だ。)   (6/16 00:36:43)


山葵@婀娜 > ………。……よいしょっ(彼女の怯えた表情にまた溜息を吐きそうになるが、それはグッと喉奥に留める。彼女が休むベッドに上がれば、ぎゅう。と優しく彼女を抱き締めてやり、背中を撫でてあげた。まるで子を寝かしつける母のようで、そのしなやかながら大きな身体は彼女をすっぽりと包み込んでいた。)……良いかい、ジェーン。キミは戦場を甘くみていただろうし、失敗続きで落ち込んでるだろう。…けどね、くよくよしてばっかりじゃ、戦死していった仲間達に顔向け出来ないじゃん。早く元気になって、彼らを弔ってあげる事が、一番良いことじゃ無い?(彼女を真っ直ぐと見つめ、諭すように、だが何処か優しい声色で、そう伝え)   (6/16 00:47:45)


大和守/ヴァンジャンス > 「…………、」(貴方に抱き締められれば、今だ感じている怯えからか小さく悲鳴をあげそうになってしまう。しかし貴方の抱擁は暖かく、それにより悲鳴は掻き消える。本当に微かにではあるが、貴方を抱き締め返す。【暴力】というのはどんな形であれ、彼女に父親を、両親を思い起こさせるもの。このまま恐怖に導かれ叫び出しても、泣き出しても決して可笑しくはなかった。それを抱擁で包まれた事によりそれは消えて無くなってしまう。)「…………う、ん……」(貴方の言葉に小さくではあるが頷きを返して。それは何処か虚ろにも見えるかのようなものではあったが、それが貴方にどう見えるかは分からない。ただ少し、貴方と居る事で暖かくも、心が何処か空虚を感じている様なーーそんな気味悪さを、彼女は感じていたのだった。)   (6/16 01:01:21)


山葵@婀娜 > ……あはは、キミが何とボクを重ねたのかなんて全くわかんないけどさ。…もしキミが落ちてくたばったって、ずっと照らし続けてあげるよ。…月の光みたいに。(落ちてくたばる、その言葉の真意は謎であるが、彼の瞳は少し曇ったようにも見える。独占欲のカケラが見え隠れする彼の手が、彼女の白銀の多くなった金色の髪に通される。)…あは、やっぱりね。…ボクの髪の毛に似てる。とっても綺麗で、すぐに壊れてしまいそう。安心して、夜はキミとボクしか居ないんだ。夜だけはボクら二人しか居なくて、醜いものは何も見えない。キミを不安にさせるものは何一つ無いんだ。(涙目の彼女の目尻をすり、と指で撫でる。慰めるように、再度彼女をこの腕の中に包んでしまおうか。)   (6/16 01:14:53)


大和守/ヴァンジャンス > 「…………ん、……」(貴方の瞳が微かに曇る。貴方の言葉に違和感は覚える。しかし、ヴァンジャンスはそれには触れず貴方にされるがままでいて。自身の髪に貴方の指が通されれば擽ったかったのか少しばかり身動ぎを。愛しい貴方に触れられているという事だけで嬉しくなるのだから、愛とは不思議なものだ。)「……すき、っ」(暖かい。目尻を撫でられれば瞳を綴じ、そして再び抱き締められては、次はしっかりと抱き締め返して。ぽつり、聞こえていないと良いなと思考しつつ、彼女はそんな言葉を口にして。次いで、照れ隠しなのか控えめにではあるが、まるで猫の様にすりすりと顔を擦り付けたのだった。)   (6/16 01:27:05)