この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

今宵夢見騒がしく

(アスラン&ライラ)

クノ/アスラン > 「先に宿を見つけておくか。」(⋯⋯尊華帝國、帝都エイゴウにて。帝都を暫く拠点とする予定であったアスランと弟子のライラは王都からの長旅を終え、漸く帝都へと足を踏み入れていた。既に街は宵闇に包まれており、今日は星が綺麗だなんて空を見上げたりなど時々言葉を交わしながら、宿を探しつつ並んで通りを歩いていた二人であったが。部屋が空いているかを確認しようとライラが小さな旅宿の暖簾を潜ったその隙に、ふらりとそのまま何処に行くかと思えば旅宿の向かい側の細道、その奥で凭れていた女性へとアスランは歩を進めていた。まだ日が暮れて数刻程度、夜のライラにとってはこれから〝仕事〟の時間の筈。最近は一切女を抱いていなかったのもあるのだろう、王都を発ってからというもの、帝都のような大きな街に寄らなかったのもある。金銭に余裕があるとは言いきれないが、その分は自分で稼げば良いだろうと都合良く考えてしまうくらいには、今更止まることは出来なかった。ライラが顔を覗かせれば、暗がりで着物をはだけさせた女と向かい合い、懐から厚いとは言えない財布を取り出すアスランの姿が見えるだろう。)   (6/14 20:03:45)


〆鯖/ライラ > 「………この人に何か御用かしら?」(低く、腹の底から出された地鳴りのような声。角からぬっと顔を出し、あなたの肩を掴んで女から引き離しながらライラは言った。その言葉はあなたに言ったもので『この人』とは女を差しているかのようにも受け取れるだろうが、しかしライラの瞳は真っ直ぐと女を見つめていた。まるで『自分こそが正妻だ』とでも言うように、威圧感を放ちながら、普段女性に優しいライラからは考えられない程、冷たく怒りに満ちた目で見つめ、その女を追い払った。もしも先程の一言が女に向けたものであるならば、『この人』とは、アスランの事なのだろうが。)「ふざけてんの?」(アスランに向き直り、思い切り右手を振りかざした。次の瞬間、あなたが避ける事をしなければライラの平手は小気味のいい音を立ててあなたの頬を打つだろう。それ程に、勢いづいた一撃だった。)   (6/14 20:06:28)


クノ/アスラン > 「⋯は⋯⋯?おい、ライラ。⋯⋯」((横から肩を掴まれ引き離されると、ほんの僅かにたたらを踏みそうになるのを抑えて一歩、二歩と小さく後ろへと下がる。視線を向ける前にライラの声だとアスランには直ぐ理解出来た。何度も聞いた...自分に向けられる事も多くある冷たく重い声色は、ライラが怒っている時特有のものだった。突然の事で困惑した表情でライラと女の方に視線を交互に移動させ、そう時間も掛からず通り過ぎていく女を視線で僅かに追いかけた。不思議とアスランの胸中に女への申し訳なさ等は一切湧いてこなかった。あるのは困惑と、少しずつ湧き始めた焦りだった。自分の行為が見つかってやましいことなど無いはず、何故か浮かぶ焦りの感情を理解出来ぬままライラへと向き直り。   (6/14 20:30:48)
クノ/アスラン > ライラと出会ってから一度も女を抱いていない、なんて事は無いが確かに久しぶりだったし、ライラにばれたのはこれが初めて。「自分の稼いだ金で女を買ったことが良くないのか」と彼なりに思考を走らせていると、飛んできたのは頬を目掛けた平手打ち。少し前にされた時とは違い大きく腕を振りかぶった為に、咄嗟に上げた左手の甲の部分で何とか平手を受け止める事が出来た。一瞬だけ瞳を閉じた後にすぐに返す手でライラの手首を掴み。胸の前で止めたまま、黒い三白眼を細めて口を開いた。)「⋯な、いきなりなんだ、ライラ。⋯⋯」((咄嗟に、たまには俺だって、のような言い訳がましい言葉を口にしようとしていた事に気づき、はっと口を噤む。アスランにはライラが何故こんなにも怒っているのか、はっきりとした理由がまだ掴めずに居て、手首を掴んだまま見つめる事で、怒った理由を聞こうと答えを待つのだった。   (6/14 20:30:50)


〆鯖/ライラ > 「っく………、いきなりなんだ、ですって。」(あなたの顔をにらみつけるように目線を上にし、掴まれた手首をひねり、骨の細い部分が指と指のつながる輪のつなぎ目に来るようにして思い切りそれを振りほどいた。)「解らない?解らないの?愚図っ……!あたし以外の女をねえっ…なんでっ………!…お忘れかしら、夜のライラの、あたしの生業を!とんだ侮辱だわっ、そう、そんなにあたしの事を舐め腐っていたのね、今に始まった事じゃないけど、こっ、こんな良い女を前にしてっ…こ、こんな屈辱っ……!」(感情のままに口走った後、ふるふると頭を振った。長い髪がばさりと揺れて、夜が香り立つ。)「…あたしがっ、あたしが怒ってるのはっ、あたしが必死で稼いだ金を、どうしてあたし以外の女にくれてやることが出来るのよ!ここまで紐根性が染み付くとは、堕ちるところまで落ちたわね!そりゃあ、……あなたが稼いだなら…何も言わないわ…!だけどあたしが…どんな思いでいままでっ……!」(纏まらない思考を口にしながら、徐々に勢いを失っていく。一切視線を逸らさずにあなたに向けられた顔は、怒りのせいだろうか。耳まで赤く染まっていた。)   (6/14 20:45:53)


クノ/アスラン > 「は、なに⋯?誰が愚図⋯」((腕を振りほどかれるとそのまま自分を腕を下ろし、「愚図」という言葉に思わず反応して言い返そうと口を開くと同時に下ろされた手を僅かに握る。話を聞いていくにつれアスランはライラの様子が普段と違うことに気付く。怒りだけでは無い気がした、その違和感は艶のある黒髪が揺れる頃にはどんどんと膨れ上がり。言葉を発しようとしたが話に続きがあったようで再び口を噤む。それを何度か繰り返し、最初の語勢がなりを潜めていくのを感じながら、違和感の答えを導き出せずにいた。どんな思いで今まで⋯⋯、最後の言葉を脳裏で反芻すると、視線を一瞬下げてターバンから垂れた数本の前髪を搔き上げる仕草の後にアスランも喉を動かした。)   (6/14 21:16:55)
クノ/アスラン > 「⋯⋯お前が良い女かどうか、それ以前に俺とお前は師匠と弟子だ、何度も言った筈だお前に、断っただろ。」((ライラとまだ出会って間もなかった頃から、暫くの間体で払おうとするライラに「金で払え」と断り続けたのを思い出す。一瞬の間を開けて赤く染ったライラの瞳に視線を向けると)「どんな思い⋯⋯お前から体じゃなく金として対価を貰ってる、俺達はそういう条件だ、ずっと。お前を侮辱したつもりはねぇし、女として今の奴と比較して選んだ訳じゃあない、ただ⋯あのな、お前とは⋯⋯⋯⋯なんだ、今更というか、違うだろ⋯」((あの時、ライラは子供で俺にも相手が居て、断り続けただろ。と内心呟きながら、侮辱した訳じゃあ無いのを伝えようと最後は少し歯切れ悪く、視線を斜め下に泳がせるアスランだった。   (6/14 21:16:57)


〆鯖/ライラ > (歯切れ悪く視線を泳がせるあなたを見て、ライラははっとしたように頬に両手を当てる。そう、自分たちは、そんな関係ではない。そんなことはライラだって解っていたし、アスランの事を客として見たことだって無かったのに。…熱い。羞恥で顔から煙が出そうだ。こんな風に恥をかくのが解っていたから、今まで何も……いや、違う。恥をかかされたのは自分ではなく、ただあなたが不能で、男の風上にも置けない甲斐性なしだから―――)「あぁっ……」(あなたが無節操に誰かを買おうとするのを見てしまって、その前提が崩れ去った事をライラはどうしても認めたくはなかった。耐え難い屈辱、プライドが許さない。あなたや自分の意志など、もう関係ない。今更後には引けないのだ。自分は娼婦、夜のライラで、感情抜きに割り切るなんて今更造作もない事。そう、ただあたしは、『客を取られて』許せないだけ。)   (6/14 21:43:08)
〆鯖/ライラ > 「……そうよ、あの時あたしは、ヤファは……まだ子供だった。……だけどもう、そうじゃないし。尊華の女を買って私を買わない理由って何?やっぱり侮辱されてるとしか思えないのよね。あの女を愛してるなら今すぐ追いかければいいわ。でもそうじゃないなら、私とあの女はおんなじ土俵に立っているはずでしょう?あたし、たった一晩あなたと寝たところでどうってことない。なんにも変わりはしないわ。自惚れないでよね!」   (6/14 21:43:13)



クノ/アスラン > 「⋯⋯。」((頬に手を当て顔を赤く染めるライラを見てアスランは掛ける言葉を失っていた。⋯何を今更。自分とライラがそういう関係では無い事なんて、ずっと前から変わらないだろ。自分はライラの客じゃないし、自分は魔術を教えて金を貰う側の人間、師匠(せんせい)だ。それが全て、それ以上の答えはない。それなのにライラの反応を見ている限りまだ納得しきれていないように思えて、アスランは口元をへの字に曲げ、はっきりと困った表情を作ってしまっていた。どうにもライラをそんな風には見たくない⋯⋯⋯⋯いや、見れない。見れる筈がない。俺達は違う。ひゅるりと風が吹いて首元から胸に垂れる縛られた髪を揺らすのと同時に、はあ、と肺の中の息を吐き出しながら、沈黙の中で再び紡がれるライラの声に息を吸い込み直した。)   (6/14 22:18:38)
クノ/アスラン > 「⋯⋯それは、だから俺とお前が師匠と弟子でそういうのじゃねえからだ、今日限りじゃないお前とは⋯、」((そう、一夜限りの関係をこれからもずっと一緒に居るお前と持つのは────)「⋯⋯っ」((ライラが話している途中で重ねるように先程の言葉を繰り返していたアスランだが、続けられた内容に自分の考えを見抜かれたかのような感覚を覚えて喉を鳴らした。瞳を僅かに見開いて、表情を分かりやすく変えながら否定する言葉を、必死に探してしまった。)「愛してはいねえけど、だってお前は⋯⋯。⋯お前は、弟子だ、弟子に手を出す師匠がいるか。それと自惚れてねえ、俺だってそうだ、お前と寝ても何も変わらない。だけどさっきの女は今夜だけで済むがお前とはこれからも一緒だろ⋯」((寝ても変わらない、そう言ったばかりだというのに。続けた言葉との齟齬にすらアスランは気づけなかった。   (6/14 22:18:39)


〆鯖/ライラ > (もごもごと言い訳を探すかのようなあなたの言葉が矛盾を帯びるのを、ライラは聞き逃さなかった。そんなの理由になどなっていない。やっぱりあなたがライラを抱けないと言うのなら、それはもう説明できないという意味ではないか。ただ単に、女として見れないと、それ以上でも以下でもない、はっきりとした拒絶ではないか。)「変わらないなら………いて、くれたって……っ」(羞恥で潤む瞳と屈辱で燃える身体はもううんざりするくらい制御ができなかった。どうしても弱みを見せる事はできず、もう一度にらみつけるような表情を作ってはぱっと顔を上げる。――うまく作れているだろうか。)「……理由になってないっ!矛盾してるわ!――よ、ようは、あっ、あたしなんかじゃたたないって言いたいんでしょ…っ!満足できないかどうかっ……た、試してみればいいわっ。いいわ勝負しましょう、あなたが先に果てたらお金は貰わない。あたしが先だったらあの女に払うつもりだった額の二倍を貰うわ!」   (6/14 22:29:51)
〆鯖/ライラ > (思い切り恥ずかしい啖呵を切ってしまった自分に、『何言ってんの?』と心の声がする。あなたがこんな馬鹿馬鹿しい賭けに乗ってくれるとも思えなかった。だけど女にここまで言わせて……もうライラには、後がなかった。幸いというか、この賭け自体にはかなりの自信があった。なぜならこの生業をはじめてただの一度だってライラは未だに、そのいわゆる絶頂というのを得られた事は一度も無かったのだから。――『幸い』だろうか?いや、不幸かもしれない。『これがそうなのだろうか』と思う事は何度もあったが、他の女達は口を揃えてこう言うのだ。『来れば解る』と。)   (6/14 22:29:55)


クノ/アスラン > 「⋯⋯⋯」((なんでライラがこんな顔しなきゃいけないんだ、師匠と弟子、相棒、腐れ縁、言い方はあれどどれも、それとは程遠い。分かりきっていた筈なのに、何故。顔を俯かせて瞳をも潤ませ、絞り出すように吐き出された声は酷く小さかったがはっきりと耳に届いてしまう。視線を下げ、何となく己の体を見下ろすと両手でコートの襟を正したり、胸に垂らしていた髪を背中側に避けたりなどしてから、どうすれば良いんだ、と頭を悩ませていたアスランと、顔を上げたライラのきつい視線が混じったその時。⋯⋯想像だにしていなかった言葉に思わず竦め気味だった肩を上げてしまった。)   (6/14 23:02:15)
クノ/アスラン > 「⋯⋯な。⋯⋯そんな事は言ってねえだろっ!」((アスランもまた言葉を制御することが出来ていなかった。思い返して何を言っているんだ、とすら思えなかった。それ程までにライラの口から飛び出た内容は、『賭け』は予想外すぎたようで。さっきから何度も何度も、侮辱している訳じゃない、ただ俺達はそんなんじゃないから、とプライドを傷付けないよう言葉を選んでいたのもあってつい、語勢強く反論してしまった。はっ、と小さく息を吐くと立て続けに口を動かしてしまう。)「俺はただ俺とお前の関係を考えて言っただけだ。⋯⋯そこまで言うなら分かった、その賭けに乗る、お前を抱く。⋯⋯⋯おい、本当に良いんだな?ライラ。」((はっきり言って、そんな風にはまだライラを見たくないとは思っているし、ライラをそう見たこと事すら無かった、賭けの結果すらも予想は出来なかったが、つい。そんな事は言っていないだろ、という感情のまま本当につい、口走ってしまった。何も変わらない、お互いそう宣言した筈なのに。真っ直ぐライラを見下ろした後に今更確認を重ねてしまった。   (6/14 23:02:17)


〆鯖/ライラ > (言質を、取った。それで充分に思えた。だけど、まだあなたの言葉尻にはまごつくような色がちらついているような気がして、ライラはもう一押し、何かを探して目線を彷徨わせた。売り言葉に買い言葉という奴だろうか、それとも、これ以上恥をかかないように気を使ってくれたのだろうか。そのどちらでも、さっさと連れ込み宿に引っ張って行ってしまえばいいよあうなものだった。けれどライラはどうしても今、あなたに火を点けたかった。今更確認を重ねるような野暮に、歯噛みする想いを持て余した。『煽ったお前が悪いんだ』と、言われても良いから。)「……アスラン 」(いつもみたいに胸ぐらを掴むような強引なものではなく、勤めて嫋やかにあなたの顔を両手で覆って寄せた。大丈夫、こんなのどうって事ない。)「………んっ、……」   (6/14 23:26:42)
〆鯖/ライラ > (唇を寄せるが早いか、退路を断つように舌を侵入させた。まだ、まだよ。もっと。こんなんじゃ足りない、あなたがその気になるまで。生温い事、言ってられなくしてやる。……どのくらいの秒数かわからないけれど、しばらくそうした後、ぷはっと唇を離して、)「……本当にいいのかって、馬鹿ね」(ようやくライラはあなたの言葉に返事をした。)「今更退けるとでも思ってんの?」 〆  (6/14 23:26:57)