この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

決意は、溶けない

(セリヤーナ)

フルディア/セリヤーナ > (朱が差し始めた森、木にもたれて佇む。騎士団の少女に会ってから、自らの戦争観を問い直した。が、これといって進展はない。そもそも半人前の身であって、攻城戦に参戦したことはない。話は大人たちから聞いているけど、実際に体験するとしないとじゃ雲泥の差だ。あの時彼女に語ったことが本心であることは間違いないし、王国や帝国にネガティヴな感情があることも事実。でのこの感情は恨みつらみや復讐心とは違う気がするのだ。それに比べてあの少女は…)「ボクはずいぶん恨まれてたみたいだったね…まるで親のみたぃ…あぁ、そうか…」(口に出したら合点がいった。この森の砦は少し前に旅団が落としたんだった。となると彼女の故郷だったのかもしれないな。)「それは嫌われるのも仕方ないか」(ぽりぽりと頭を掻いてため息を一つ。)「滅ぼす…ねぇ…」(これもまた実感がない。生まれた時には国は無かった。滅びゆく国やその戦火を目の当たりにしたわけでもない。)「でもあの娘はそれを見たんだ…そうだよね?」(誰に尋ねるわけでもない。帰ってくるのは小鳥の羽搏きだけ。)   (6/5 21:32:15)
フルディア/セリヤーナ > (大局的に見れば森の小さな砦ひとつ落とされたところで国は滅びない。ましてヨズアは第三勢力、せいぜい二国の戦争に投じられた小さな一石だ。でも彼女の世界はそれで壊れた。あの小さな騎士にはそれが全て。)「まあでも南北を連絡する砦を失ったことは戦略的に大きな痛手だよね…」(興味が移った。地面に小枝で線を引いたり石を置いたりして戦況を考える。)「王国はあまりこの状況を放置したくはないはず…もたもたしてると北方を帝国に落とされちゃう。帝国にとって美虎は狙い目だね。ボクらとしてもそれに呼応して瑠岸や果谷にちょっかいかけてみるのも面白そう。」(想像は広がるけど、どのみちここの防衛をしなきゃ取らぬ狸のなんとやら。)「鍛錬して、前戦に連れてってもらえるように掛け合ってみようかな。」(信仰は心の世界。自分の魔術は自分だけのもの。だから鍛錬も自分にかかってる。)「少し飛ぼうかな。太陽が夜に隠れる前に。」   (6/5 21:32:47)
フルディア/セリヤーナ > 瞳を閉じて 翼を戴け 地に潜む黒き蛇は死霊を天に供え 天を舞う黒き翼は魂を冥府の秤にかける 迷宮と毛糸 蝋の大翼 巻貝に糸 冥界の審判 影を抱いて飛び 陽を背負いて舞え ~ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア~《黒きケルビーニ》   (6/5 21:33:03)
フルディア/セリヤーナ > (自身の影が翼を象る。その翼は鳥というよりも蝙蝠やドラゴンのような趣がある。幾度か羽搏いて高度を上げていく。樹冠を少し超えたあたりで大きく深呼吸。)「ん〜!気持ちいいなぁ〜!空中散歩は清々しいね!」(この魔術を開発した時にはいろいろと反対されたものだ。人の定めに反してるとか、戦闘じゃ役に立たないとか。でもボクはこうして飛べるんだからボクの定めに反しちゃいないし、ボクの魔術は戦闘のためだけにあるわけじゃない。)「…ヨズアの再興かぁ。」(世界を見下ろしゆっくりと滑空しながらもう一度考え直す。やはりこれは自身にとって大きな目標だ。それこそ人生を賭けるほどに。でもそれは王都帝都を灰にすることを意味しない。それは通過点としてあり得る一つの未来であって、最終目的地ではない。)「ボクが目指すのは、古いヨズアの信仰の歴史を編纂すること。そしてヨズアの民が聖地を護る都市を持つこと。」(決意を新たにし、夕暮れを背に舞い降りる。辺りが暗くなるにつれて背中の翼も薄れて消えていく。宵闇に溶け残る銀の後ろ髪を揺らしてキャラバンに戻る。決意は、溶けない。)   (6/5 21:33:18)