この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

鬼と戯れ言

(火津彌&オウガ)

〆鯖/火津彌 > (夏きざす帝都の夜風に髪を靡かせ、足音忍ばせながらも。短き夏宵を逃さぬように、大股で歩調を速めた。ちらほらと螢の飛び交う水路を抜けて大きな白壁の屋敷の前に来れば、風鈴が火津彌という来客を知らせるかのように、ちりん、と鳴る――)「……まるで古代の『逢瀬』といった趣きやな。夢の通ひ路、人目よくらむ。」(人目を避けるようにして会いに来たのは、佐官という立場もあるが。万が一あの方に知られでもしたらややこしい事になるからだった。この屋敷に囲っている人物と自分との因縁は今まさに深くなろうとしているところで、恐らくそれ以上を、彼は望まないであろう。)「……見張りご苦労、私だ。例の『客人』に用がある。」(たったその一言を門番に告げ、軍帽を上げた。正門をぐぐって垣根を回り込み、裏庭から侵入してゆく。縁側に面したその庭に足を踏み入れた。)「……オウガ、私や。」   (6/3 23:27:02)


しぃずま@オウガ > 「(熱い風が通る、涼しげに風鈴が鳴る。そこに感じたのは、確かな敵意。狐火のように、熱く、鋭く、狡猾。そしてその狡猾さを表すように、ホヅミはあくまで正常な、平静を保った声で言うのだ。「私や」と。)お前か、狐…(こちらからも敵意を放つ。鬼火のように、熱く、固く、直情。が、今そうしても意味はない。ホヅミがどう思っているのかはわからない。あくまで冷静に、それとも怒りに任せてそれを引っ込めずに話すのか。しかし今こうしてわかったこともある。ホヅミ、あなたがオウガのことを恨んでいる…少なくとも、忌々しく思っているということだ。直近の見張りに付かれながら、オウガはその引き戸を開いて言った。)…立ち話もなんだ。居間の方へいこう…と言っても、俺はこの屋敷の主人じゃねぇけどな。ガハハ。(今は自分が敗者で、あなたが勝者。そして、囚人と看守のような関係だ。だとしても、それ以前に人間同士。敵味方を忘れて険悪な雰囲気を振り払おう、と軽口を叩いた。はてさて、それがあなたに伝わるかどうかはわからないが。)」   (6/4 07:21:25)
しぃずま@オウガ > 「(少しの間廊下を歩いて、居間までたどり着く。居間の机には幾重か長細く厚い和紙が重ねられていた。暇潰しに短歌でも、とオウガが書いたものだ。3枚の内の1枚をちらりと見てみれば。「空を見て 光る星々 暗夜にて 同じ空見る 仲間を想う」…この気丈な男から出てきたとは思えぬ、悲しみの歌だ。しかし直情的で、どこかウェンディアらしさも感じる。無粋ゆえ書かないが、どこか比喩な部分もあり、なんというか、鬼らしくない歌。残り二枚は尊華という国の美しさが描かれているのに、この歌だけは物悲しい。だからこそ、ホヅミの目に入ってきたのだろう。)」   (6/4 07:21:44)


〆鯖/火津彌 > (あなたの声が夜の裏庭に響いた。低く、腹の底から響くような声。あの日喉を灼いてやった事など、当事者でなければわからないのではないかと思えるほどに――相変わらず、妬ける音色だ。無遠慮に放たれた敵意は見張り達を尻込ませるのには十分で、初夏の熱気に乗って屋敷中を支配しているかのように思えた。火津彌は『あの時』と同じように、ごくりと喉を鳴らして軍人然とした凛たる態度で立ち向かう。)「……あぁ、邪魔しよう。」(たった一言、そう答えてあなたの後ろを歩いた。居間へと至れば、その調度品の数々にあなたが丁重に持て成されている事が伺い知れた。)「なに、大した用はない、そう熱り立たんでもよろしいわ。中将のお考えは解らんが、ここであんたに手を掛ければ何もかも台無しや。殺すならとっくにあの場で止めをさしとる。――なあ、解るか?あんたは僕と、中将に生かされたのやで。」   (6/5 22:21:55)
〆鯖/火津彌 > (つらつらと出る皮肉とは裏腹に、あなたの形相――容貌。もはや人ならざる者になってしまったのではないかと思える大きな角に長い総髪。それを目にしながら、こめかみにはつう、と冷や汗が流れた。だからこそ、火津彌は恐れを悟られまいといつも以上に饒舌になっていた。小耳には挟んでいたが、いざ目の前にすると本当に……鬼そのものではないか。)「……む。」(ちゃぶ台の上座に座ろうと大きく部屋の隅を回り込めば、文机に散らばるいくつかの紙が目に止まった。中でもすっと入ってきたその一句は、あまりに真っ直ぐで。腕に覚えのある尊華の歌人に見せようものなら、荒削りだ、無骨だと言われそうな程に純真な心根を唱っていた。)   (6/5 22:22:13)
〆鯖/火津彌 > 「……ふ。」(しかし、そういった表裏のない感情をこそ、火津彌は好みがちだった。『やはり、一騎当千と呼ばれる魔術師だけのことはあるわな。あんたがウェンディア人である事を鑑みれば、ほんの数日の滞在でまずこのようにして形にする事自体が末恐ろしい。』……しかし、口が裂けてもそんな諂いを言ってやるつもりはない。あんたと僕は、今更相容れる事はできないのだから。――そんなもん、『鬼に戯言』にしか、ならんやろ?)「……ま。そういう訳や。命の恩人に、今日は酌の一つくらいして貰うてもバチは当たらんと思うで。」(上座にどっかりと座り、隠すように持参していた尊華酒をちゃぶ台の上に出した。あの密談で、あんたが美味いと言った酒。せいぜい酔って、弱味の一つでもさらけ出せ。)   (6/5 22:22:22)


しずま@オウガ > 「中将、ね…はぁ。(「僕と、中将に」。よくもまぁ、こうぬけぬけとその官位を呼ぶことができるものだ。自らの行いでその中将が自責の念に駆られているというのに。こいつ、まさか本当に知らないのではなかろうな…恋慕する相手に、そしてそれ以前に味方をドゲザさせた…その罪は重いとそう思ってきたが、まさかそれがわざとではなかったと、知らなかったというならば…さらに重い。意図せぬ罪こそ最も邪悪だ。中将、その言葉を聞いたときに、き、という音が聞こえるほどに鋭い空気が走る。眼光は恐ろしいほどに、吸い込まれるほどに黒かった。)恩着せがましい事を言うもんだ。「生かす」と判断し、その行動に移したのは、中将だ。お前はそれに、小判鮫のようにくっついてきただけ…お前が中将と名を連ねられるほどいい働きをしたとは俺は思わねぇ。それは認めねぇ。…あの人がしたことへの侮辱だ。(いいかげんに恥を知れ。そう口から出なかったのは、そう言っても絶対に変わることがないと確信していたからだ。呆れたからだ。)」   (6/5 22:59:03)
しずま@オウガ > 「(角やら髪やら髭やらから、威圧感が放たれる。しかしまぁ、元々呆れから出た感情だ。それがいつまでも続くことはなく、ため息を吐くことで切れた。)俺のこの姿が気になるかい…まぁ、そりゃそうか。「鬼」ってのは、こっちの国じゃ忌々しい者らしいからな。それが俺の字から来てるのかはわからねぇが…とにかくいい印象がないのはよく知ってる。今の俺にゃ関係ないことだと思うが…あんさんは。ホヅミは、どう思うよ?鬼の伝承。(差し出される酒の、肴にでもと話題を振った。しかし目に入ったその酒は…リンゴのような味の、あのときの物だ。いやはや、これはこれは懐かしい。)」   (6/5 22:59:28)
しずま@オウガ > 「ガハハ、随分となつかしいものを出してくれたもんだ…以外とお前さん、俺を見てるんだな。(なんて、皮肉めいた声で言ってみせた。怒るも静も貴方次第だ…あくまでこれは冗談。あなたの反応の少しでも見れたならそれでもいい。)」   (6/5 22:59:42)


しめ鯖/火津彌 > (あなたのため息にぴくりと反応をし、続く言葉に火津彌は顔をこわばらせたまま凍りついた。『……ましい……もんだ……中将……お前は…………思わねぇ………‥侮辱だ』――……こいつは、何を言っている?中将中将と気安く、どの立場からものを言っている?得意げに浴衣を纏って、尊華人にでもなったつもりか?呆れよりも先に、その愚鈍さに怒りがこみ上げてくる。物分りの悪い男や。視野の狭い男や。あんたの居場所が王国でなければ、今程出世などしていないだろう。喉から手が出るほど欲している『居場所』を、あんたのような人間が、なぜ。立場を弁えずに粋がるのならば餓鬼でも出来る。あんたは、それほどまでに浅慮な男やったか。死に損ないの捕虜であることを省みることもせず、『恩着せがましい』ときたか。やはりあの時ぶち殺してやればよかった!中将の判断が何だって?これは戦争やぞ、それが組織におる者の言葉か!?戦争をなんやと思っとるのや、舐め腐りおって。国民を護るためだとか綺麗事でも抜かすつもりか!?その阿呆みたいにでかい剣をぶんぶん振り回して、英雄にでも、聖人君子にでもなったつもりか……!?)「………っ!!!」 (01:21:10)
しめ鯖/火津彌 > (血走った目を悟られないように伏せ、卓の下で拳を握り込める。線香花火のようにぱちぱちと毛細血管の切れる音がして。『……俺のこの姿……こっちの国じゃ…………とにかく……………どう思う………』続くあんたの間抜けな自分語りなど、もはや聞いていられなかった。どうでもええ。あんたの見た目などどうでもええ。あんたが鬼やろうが閻魔大王やろうが、ぶち殺してやりたい気持ちに変わりはない。……ぎりぎりと噛みしめた唇からは血が滲み出した。それでもあんたを殺せないのは、中将の指示やからに他ならない。忌々しい、何もかもが忌々しい。ぎりぎりのところで自我を保っていた火津彌をとうとうけしかけたのは、弾けるような笑い声だった。) (01:21:24)
しめ鯖/火津彌 > 「…………――やかましいわ、おのれ薄鈍がアアアアァアッ!!!!」(酒瓶を手に持ち、それを卓に叩きつけた。派手な音と共に硝子の破片が飛び散り、どくどくと溢れ畳にしみこんでいく。その酒がこぼれきる前に、割れた酒瓶の底のほうを持ち水弾をびしゃりと顔に食らわせてやった。濃度の高いアルコールで目が焼けて、激しい痛みを伴うはずや。今日あんたとぶつかり合う気はさらさら無かったが、―――わからせてやる。調子に乗って粋がっているだけの、貴様の矮小さを。) (01:21:29)


しずま@オウガ > 「(正直、油断していた。まさかここまで、貴様が矮小だったとは思わなんだ…なるほど、ホヅミ、貴様の言葉を借りるなら、「これが戦争」ということか。さすがのオウガも、この痛みには声を抑えることができない。水弾は確実に顔に食らったものの、後から飛んでくる硝子の破片を、手のひらの痛みも無視して横薙ぎに掠め取った。そして、「風を読み」あなたの位置を察知し、脚部、腹部、頭部…は危険なので、頬に。そして左右、回避の可能性をできるだけ下げるためにあなたの体とは少し離れた左右の位置へ硝子片を投げる。)…痛いじゃねぇか、この野郎…!(投げれば、顔を手探りした後、痛みの走る目を押さえた。)」 (02:04:14)
しずま@オウガ > 「てめぇがそこまでの屑野郎とは思わなかったよ…「軍人酔いの狐」が…!(流れる空気を読んで、しっかりとあなたのいる位置を捉えた。…殴れば一撃で死ぬ。歯がゆい、殺してしまえば不利になるのはこちらだ。そこまで考えて、この行動を起こしたというのか。血走る目はよく見えた。どう行動に移すかも注視していた。なのに回避できなかったのは、前述の通り、ここまで矮小で卑怯な男とは思わなかったからだ。)器の小さい男だ!てめぇのようなものに、知ったような口を叩く資格はねぇ!(先程まで抑えられていた感情と、鬼気が鋭く放たれ、居間どころか屋敷全体がその空気に包まれた。これまでに、この男がここまで怒ったことがあるだろうか。)」 (02:04:33)
しずま@オウガ > 「手前勝手に自分の夢ばかり見やがって!そのためなら自分を貶めるのも厭わないってのか!(あなたの細い首をひっつかみ、軽々と持ち上げる。)お前はどれだけの人に愛されてきた!愛されようとしてきた!愛そうとしてきた!今の怒りは何故に!中将のために、そうだろう!愛そうと思う人間がいるのに、愛そうと…してくれる人間がいるのに、自分を自分の夢のために堕とすんじゃない!お前は気付いていないかもしれないが!中将は、あの人は!咲夜は!」 (02:04:49)
しずま@オウガ > 「(ついに、字を呼んだ。逆鱗に触れるだろう、それを分かっていてしかし触れたのは、あなたの注意をこちらの言葉に集中させるためだった。愛だのなんだの、あなたはそういうものが嫌いなのは分かっている。その怒りは尊いものだとそう思う。しかし、それでも、譲れない所はあるのだ。お前のことに責任を持つくらい、お前のことを!(口をつぐんだ。愛した人が、他人を愛していると、自分の口で言うのは難しい。鬼とて人間だ。厳密に言えば、人間の心を持っているのだ。そういう嫉妬心は絶対に現れる。しかし、それでも今は、口にしなければならないと、つぐんだ口をもう一度開いた。)愛しているんだぞ!」 (02:05:12)
しずま@オウガ > 「(その声量は、異常と言えた。いや、声量よりも鋭い言葉とその雰囲気は、異常と言えた。庭園の竹が爆発するように割れる音を立てながら朽ち果て、池の水はほとんどが蒸発した。…おかしい。鬼の怒りとは、こうまでおかしい物なのか。周りの生命にも関わるような、おかしい物なのか。…人間だけには影響がなかった…それは鬼の自制心で、理性だ。怒りで関係のない人間を殺すことができるほど、心は鬼ではない…人間の心を持っているのだ。)」 (02:05:27)


〆鯖/火津彌 > (すぐさま飛んできた硝子片。顔を庇うようにして両腕で守ると、それはまるで弾丸のようにばちばちと跳ねた。『馬鹿力が……!』両腕を解き顔を上げてあなたを睨みつける。左頬に深く刻まれた生傷から、だくだくと血が流れていた。力ではあんたに敵わないであろう事は、体格差を見れば瞭然だった。それでも、無計画と言われようが己を抑えつけることはできなかったのだ。『屑野郎』と詰る言葉は、火津彌の黒い火に油を注いだ。神の力を借りたい気持ちを押さえつけて、ぎりぎりと唇を噛みちぎる。これは戦争やない。こんなもんが戦争であってたまるか。魔術なんぞ、使ってたまるか。)「『知ったような口』……?あんた、心でも読めるんか?そっ……くりそのまま返したるわ!あんたに、何が解る!立場も弁えずに粋がるだけなら餓鬼でもできるわ!手前勝手な夢?そらあんたのほうやろ!」(首を掴まれて持ち上げられても、火津彌は吼えるのをやめなかった。) (02:50:42)
〆鯖/火津彌 > 「あんたのいる騎士団は、何のために戦っとんねん!勝つ為に決まっとるやろが!あんたの自己中心的な英雄気取りで振り回して殺した『お仲間』の事など忘れたか!?……あんた、は…美虎でっ、『可能性は、読めていた』、などとのたまったな!覚えとるぞ、はぁっ、僕は……っ!うっ……地獄に、墜ちろっ……!自分のことは、はぁっ、はっ、たっ、棚に上げて、よう回る…口や!……う、げぇっ……神島で死んでいった奴らと、……あんたはあの世で……再会も、ぐ……果たせん、やろうなっ……!」(叫びながら、宙に吊られている苦し さから時々嗚咽を漏らした。こんな風に喉を封じ込めて、自分の言いたい喚き散らすんか。そういうのを言い逃げと言うのやで…!卑怯だ?どの口がっ……!ほんまに、全部、全部があんたに返してやりたい言葉やわ!)「………ぷ、くはっ、ははははは!!!ひははははっ!!!」(あなたの言葉に呼応して、火津彌は弾けるように笑いだした。一瞬の躊躇を見逃さずに、体を押しのけるようにしてあなたから離れた。) (02:51:08)
〆鯖/火津彌 > 「愛、愛やと!!どこまであんたは僕を楽しませてくれるんや?!ほんまに忌々しい、氷山の一角を見て全てを知ったような口ぶりやな!軽々しく口にするなよ、単細胞!何故そこで中将が出てくるのかわからんがな、あの人が僕にしてきた仕打ちのひとつでも教えたらんと自分の視野の狭さすらも分からんか!?あの人はあんたとちごうて仕事はきっちりやりはるのよ!聖人君子とでも思ったか!?ああ馬鹿馬鹿しい、勘違いも甚だしい!あんたに中将の何がわかる!」 (02:51:22)


しずま@オウガ > 「仲間の事を忘れられるわけがないだろう…!(押し退けられて最初、そう言った。)…そうだよ、勝つために戦ってるし、俺は英雄気取りだ…!立ち直ったでもなんでも言うがいいさ、俺はお前に負けた英雄気取りだ!だけどな、気取ってでも俺は、救える人を救いたいんだ…!救えなかった人を幸せであれと望みたいんだ…!傲慢だ、俺の中身は傲慢だ!(何を言っても、負け惜しみにしかならない。くそ、くそ、くそ。器が小さいのはこちらも同じではないか。自分を棚にあげてしまっている、そうだあなたの言う通りだ。鬼は傲慢で、全てを救えるわけでもないのに強い力を持って、都合のいい考えばかりが頭の中で浮かんでしまうほど卑怯で、卑怯で、卑怯で。)」 (03:42:15)
しずま@オウガ > …なぁ狐よ。何でお前は…(そんなに苦しそうに笑うんだ。…自分で気づいていないことが多すぎる。ホヅミも、王牙も。あぁそうだ、貴方は恋をしているのか。中将に。だから、「何がわかる」とわめき散らすのか。)違う。俺が言いたいのは、そうじゃないはずだ…(なぜこいつの心配をしているのだ…自分の人格と言う呪いが、今までにないほどに憎い。こいつのことが憎いはずなのに。それよりも呪いが憎いなんて、本当、なんて都合の良い頭だろうか。)俺も全ては知らない、もちろんだ。だがな、お前の見る全てが、その人の全てじゃねぇ…!俺はお前の知らない咲夜という人物の全てを知っている!お前は俺の知らない咲夜という人物の全てを知っている!なぁ、俺が知っている咲夜は、酷い仕打ちというものを愛ゆえにする人だ…!聖人君子なんかとは思わねぇ、軍人だ、そんなやつがいるはずもない!」 (03:42:36)
しずま@オウガ > 「だけど俺が見た咲夜は、驚くほど人間で、人並みに怒鳴って、人並みに泣いて、人並みに…!(恥じる、その言葉は口にしてはならない。口を濁した。)確かに、俺の言葉は軽々しかった。そこは謝ろう。(存分に怒り散らすと冷静になって、畳の上にどかと座った。)」 (03:43:08)
しずま@オウガ > 「そうだ。俺の言葉は軽々しい、いつもだ。あのときも。(「俺の弟子になれ」と、そう言った言葉は適当で軽々しかった。)あのときも。(「辛かったな。」と、そう言った言葉は知ったかぶりで戯れ言だった。)あのときも。(「ミス・レフィーネ。」と、そう言った言葉は、大人を祝福するような子供扱いだった。)あのときも。(「あいつらの分もお前が生きてやればいい。」と、そう言った言葉は、無責任でありきたりな考えだった。)あのときも。(「交渉は成立だ。」と、そう言った言葉は、軽率で考えなしだった。)あのときも。(「これ、やるよ。」と、そう言った言葉は、簡単で軽薄だった。)あのときも。(「千騎を一騎で落とす男だ。」と、そう言った言葉は、強いようで傲慢だった。)あのときも、あのときも、あのときも…(涙をこぼしていた。あの人たちに、そしてお前にかけた言葉は、そんなに、薄いはずがなかった。なのに、思い返す度に水で薄められていく。虚しい、あぁ、虚しい…その虚しさに、鬼の涙がぽろりとこぼれたのだ。)」 (03:43:21)


〆鯖/火津彌 > (火津彌の言葉を認めながら、傲慢だ、と開き直ったように喚き出したあなたを細い目で見つめた。手の甲で頬の血を拭い、あなたが話終わるのを待つように押し黙る。まだ中将の話をするのか?……なんや?こいつは。何がそんなに……僕の知らないところで、褥でも共にしたか?傍目から見て不自然なほど距離の近づいた二人がその実、裏で繋がっていたというのは、よくある話やが——……我ながら素っ頓狂な発想に、全く想像がつかなくて笑えてくる。あの人は男とか女とか、そんな枠組みから外れた妖怪のような存在。男に組み敷かれるようなタマではない。畳に座り込み、ひとり回想するようにぶつぶつと言葉を漏らしはじめたあなたを見下ろした。涙———。鬼の目にも、涙は流れるのか。驚きから目を瞬かせるが、火津彌にはあなたの心情など知るよしもなく。そこには確執のような温度差があった。)「……ようやく分かったか?自分の立場が。」(吐き捨てるようにそう口にした。その声はくぐもって、掠れた響きだった。) (18:53:46)
〆鯖/火津彌 > 「先程の言葉、撤回してもらおう。あんたにトドメを刺そうとしたのは、尊華帝国軍佐官としてやるべき事をやっただけや。殺るか殺られるか、あれはそういう戦やったはず。あんたとて、僕を殺すつもりでかかってきたはずやろう。中将がなぜあんたを『生かす』と判断したのかはまだ解らん、解らんが、僕はあの人にある種の信頼を置いているから従っているまでのこと。本来ならば武功を立てたはずのはこの僕や、『小判鮫のようについてきただけ』?『中将と名を連ねる程の働きをしたとは思えない』?勘違いも甚だしい。帝国軍の事は帝国軍の事。あんたが口を出す筋合いはない上に、あんたは一番言ってはならん立場であるはずや。……解ったか。お客様気分も程々にせえ。」 (18:54:10)


しずま@オウガ > 「あぁ…何て愚かしいんだろうな、俺は。そうだ、そうだよ。全てお前の言う通りさ。…失ったのは俺だ。手に入れるはずだったのはお前だ。(先程までの、竹を割り池を乾かす雰囲気は、あなたに言いくるめられて完全に消え去った。角が生えてからずっとだ。悪夢が、忘れ去っていた悪夢が、胸を貫いて。自分が誰なのかわからなくなる。今の自分が本当の自分なのか。まだ掘り返されていない、プツリと消えた記憶の先…いや、正確には作り替えられた記憶の真実。それを知るほどに、彼らとの思い出が偽物になっていく。自分という人間が偽物になっていく。涙と共に記憶の色が溢れていく。抑えられない。流れる度に心は痛み、更なる涙を作り出す。)」 (20:03:42)
しずま@オウガ > 「(尊華人は、直接的な言葉を「無粋」と言う。しかし故にこの、)涙を意に介さねぇ…(という「無粋」はわからないのだろうか。右手で、まだこぼれそうな涙を無理矢理ぬぐう。わかってくれなんて、しかもそれをその尊華人に言うなんて。傲慢すぎることだと、そうは思う。だから心の中だけでこの思い出は色褪せてなんかいないと自分に言い聞かせて。)あの人が俺を生かした理由は、どちらにもわからねぇ。…俺達ゃ咲夜の全てなんか知っちゃいないんだよ…!(濡れた右手を眺めながら、そう言った。)中将と名を連ねられないってのは、あくまで生かしたことについてだ!殺そうとした行動については俺は見事だと思ってるさ。俺だってそこまではわかる!(濡れていない左手で角を思いきり握った。)生かしたことにお前は名を連ねられない!自分の立場がわかっていないのはどっちだ!(消えかけていた空気は、一瞬で姿を取り戻した。しかし、また何か切っ掛けがあれば、すぐに切れてしまいそうな糸を命綱にだが。)」 (20:03:58)


〆鯖/火津彌 > (あなたの言葉は、乾いて荒れた火津彌の心にすうと染み込んでいった。浅ましい優越感にじわじわと、支配されていく。この場でほんの一瞬言い負かしたところで、喉から手が出る程に妬ましいあなたの『居場所』が、自分の物になる訳でもないのに。誰かに認められる訳でもないのに。あなたを屈服させればさぞかし胸がすっとするだろうと思っていたけれど、後から込み上げてくるような無力さに虚しさを覚えそうになる。……捕虜という立場に屈服させているとしたら、それこそ……僕の手柄ではないやないか。……忌々しい呪いのような感情を振り切るように頭を左右に振った。いいや、僕は何も間違ったことは言っていない。間違ってなどない。)「……は?何か言うたか?」(ぽつり、と零されたあなたの一言は聴き逃した。誰の為の涙かは知らないが、それが自分の為では無さそうなことはあなたの言葉を聞いていれば薄々と解った。それがまた——羨ましくて。)「中将の次は、咲夜と来たか…。」 (21:03:31)
〆鯖/火津彌 > (先程も何度もあなたが口にしたその字。同じ尊華人である自分ですら、いや、だからこそか。そのように呼んだことはない字。何か、引っかかりを覚える。続くあなたの、相手を認めるような素直さの混じった言葉は、冷静になりつつあった火津彌に、思いの外率直に響いた。)「…………。」(頭を擡げ、しばしの逡巡。認めたくはないが、そういう事であるならば一理ある話。生かそうとは露ほども思っていなかった口で『命の恩人に感謝しろ』と、たしかに言った。そうか、僕の『恩着せがましい』言い方がそれ程、勘に障ったのか?———果たして、そうか?あんたは、そんな男なのか? 再び放たれた身震いする程の怒気。……点と点が、線で繋がる。組織に居るものの言葉とは思えない程愚直に、『人間』一人一人を重んじるあなたの気質。熱っぽく繰り返される『咲夜』という響き。———あの短歌。) (21:04:07)
〆鯖/火津彌 > 「……そう、か。……あんたと僕が、相容れない訳や。」(ぽつり、自分にしか聞こえないくらいの大きさで呟く。あぁ、もう一度売るならば買ってやってもいい、その喧嘩。わけもわからず殺してやりたいという『呪い』のような感情ではなく、今度こそ己の、この鬼灯月光の矜恃を賭けて。軍人と騎士ではなく、オウガと火津彌として。さすがに体躯では敵わないだろうが、この言葉を聞いた上でなら、どうかな?……我ながら馬鹿馬鹿しい策だが、試してみる価値はあるやろう。)「……ふ。」(鼻から漏れる宣戦布告は、尊華人らしい人を見下す小馬鹿にしたような笑い。)「……咲夜咲夜と、なんやおかしいと思っとったが、思い出したわ。美しき香々夜の一族であるあの人に、人目見ただけで心奪われてきた人間が少なくなかった事に。僕は付き合いが長いのでな、すっかりそんな『上辺の』印象など忘れとったが。」 (21:04:35)
〆鯖/火津彌 > (最初こそ、火津彌も彼を女性と見間違えて見蕩れたものだ。どうやらそのどちらでもないらしいと判明してからは受け入れるのに時間がかかった。今はあの人の事は、中性などという言葉でも表せない、『咲夜様』という性別でしかないと理解できるのだが。)「あんたもそのクチか?残念やったな。僕はあんたの知らん『咲夜』を知っとる。乱れ咲くあの人を知っとるで。幼女のような小さな躰は中々他では味わえん、一度抱いたら癖になるぞ。くく……知りたいのなら、頭を下げて相手をして貰うとええぞ。僕のお古で悪いがなァ!」(よくもまあ、ありもしないことをつらつらと並べ立てられるものだと自分に関心する。こんなこと、中将に聞かれたら二度と口も聞いて貰えんどころか、殺されかねないのに……ようやるわ、僕も。) (21:04:51)


しずま@オウガ > 「聞こえてなくてよかったよ。そうしたらもっと、お前さんが冷静でなくなるからな!ガッハハ…!(笑って軽口を叩いた。怒りに冷静さを取り戻した。最初のホヅミとの立ち合いの時も一緒だ。怒りの中にこそ冷静さは現れる。それは、熱い心と静かなる頭があるからこそ。臨場感というものは脳みそから熱いものを分泌させて、体を燃やす。そして熱いものの抜けた明晰な頭脳は更に冴えるのだ。)…分かり合えるはずがない…理由は、必要か?(みし、と、筋肉が犇めく音がする。あなたが口を開く前に、殺意を乗り越えようとする意志を感じた。つまり、だ。この先の言葉は、とてつもない罵倒の類いだろう。殺しまではしないが…その覚悟、買った。全力で応えよう。)」   (6/6 22:09:28)
しずま@オウガ > 「(…応えようと、そう考えた自分がバカだった。…貴様は、なんという屑だ。…最初から書いているように、貴様は、どうしようもない屑だ。)冗談ではすまされんぞ…!(いまだかつて。いまだかつて、鬼をここまで怒らせた者があっただろうか。鬼の周りの、坪、掛け軸、池、木々、空気でさえも。全てが震えているように見えた。…玄関の方から、大きいものが倒れる音がする。…人間だ。見張りの人間だ。命を落とすことはなくとも、気絶にまで行ってしまった。「人智を越えた怒り」だ。これほどまでに研ぎ澄まされ、全てを恐怖せしめる怒りがあっただろうか。木々はもうすでに死んでいる。池にはコイが2、3匹ぷかと浮かんできている。さぁ、その恐怖の象徴たる声で、呪文を紡いで見せようか。)鉄血よ、剣となれ。熱血よ、炎となれ。汗血よ、力となれ。我が拳は炎纏いし武器となる。さぁ、我が拳を剣に。我が拳に、骨身を燃やす炎を。我が拳に、頭蓋割りし力を。太陽の名の下に。」   (6/6 22:09:47)
しずま@オウガ > 「(強化魔術と炎魔術の合成術だ。炎で拳を燃やし、その炎に耐えるため、拳を鋼の固さにする魔術を拳にかける。もちろん自身へのダメージは少ないが、痛いので長く使うことはできないしオウガもあまり使わない魔術だ。さぁ、その拳は、渾身の力を込めて、あなたから見て右頬。先程傷のついた位置へ拳が振られた。風のように当たり前に、あなたの右頬を通過してきた。しかしそれは、静かすぎる正拳なのだ。まっすぐとつき出された力強く静かな正拳。それがあなたの右頬をかすっただけなのに。…あなたは、右の歯が頬から見えてしまっていた。)」   (6/6 22:10:11)

『螢の虫媒、その蘭へ(仮)』へ続く