この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

笑い方を忘れた小鬼

(ゼダス)

ガエリオ/ゼダス > 【笑い方を忘れた小鬼 / ソロル】 (あの笑顔に包まれ、幸せと言うものを心の底から感じた時から早数日。その幸せは…あっという間に戦争の業火で焼き払われた。蝋燭の灯りが微かに残る薄暗い工房…チカチカと室内を照らしつつも、その先…若干の赤さを含み、吐かれた吐瀉物によって汚れた洗面台。家主はと言えば、その付近に置かれた手摺に両手をつけ、ただ茶色い壁に充血した両眼をむけ…ぽろ、ぽろと。涙を溢し続けていた。…人は絶望すれば気が滅入るだけでなく身体にまで異常を来す。物は喉を通らないし、無理矢理に水分を胃に流せば逆流する。吐いて、吐いて…吐き過ぎて血が混ざる程に。目の下には隈が浮かび、見るも無惨な姿だろう。とても健康的姿とは言えない。…ぱくぱくと、口を小さく開けば)『ッッ…なッ……んで、…なッん…で……。…なんで、…。……ぁ…あの人がッッ…死ななくちゃッッ…ならなぃ…ッッ…』(『千騎長オウガは戦死しただろう。…死体に関しては未だ不明。…』…この報告が、どれ程のものか分かるのか。)   (6/2 21:12:09)
ガエリオ/ゼダス > (攻城戦があったことは理解していた。していたさ。…あの人の強さに安心しきっていた僕がいた。例え敗北しても、あの人なら無傷と思っていた僕がいた。だって…僕の“師匠”なんだよ。…負けるはず…ないんだよ。…死んだなんて、何度言われても信用出来ない。それに、百騎長両名の居場所すら分からない。様々な噂が飛び交う。あの騎士団長の情報すら薄い。…王国は滅茶苦茶と言う一言に尽きる。…けど、今の僕は国の心配なんかに気を向けてはいられない。だって、だって…家族同然の人間を殺されたんだ。死体を見ていなくたって。気が、おかしくなりそうだ。…負けたっていい。奴隷に成り下がったっていい。…訳の分からない事を浮かべてるって思ってくれていいから…どうか、あの人を。あの人達を。僕の家族を返してくれ。…)『_____ッぐゥ…ゥッウゥ…ッ__…!……ぁ…ぁァッッ…!』(思い切り、壁に小さな頭を打ち付けた。)   (6/2 21:12:18)
ガエリオ/ゼダス > (何度も、何度も何度も。額から一滴の血液が流れる程。髪と流血が混ざり合い…鼻からも目からも。涙を溢し続けながら、力なく叫んだ。…憎い、憎いッ。…スーリに居た奴等が、尊華が、帝國が。僕の居場所を奪った彼奴らが憎いんだ。彼奴らが居なければ今回の攻城戦なんて起きなかった。生まれて来なければ僕の日常はこれからも続いてた。…両手の拳を握り、歯を食いしばる。子供の考えとかどうでもいい。また孤独になった僕の脳内を埋め尽くす思考…深く考えていられない。一言で表すなら、【復讐】。奪われ、黙っていられる訳がなかった。嗚咽を交わせながらその場を離れ脚は工房の奥を目指し進み始める。…途中、食事台…視界に映り込む“思い出の傷薬”。…脳裏に浮かぶ彼女の笑顔。…ルビーの輝きはもう、見れないかもしれない。…目を伏せれば…。)『 ……約束、…守ってあげられッ…なくて、…___ごめんなさい…。』   (6/2 21:12:26)
ガエリオ/ゼダス > (貴女の無事だけは祈るから。…僕がどうなっても。…鳩時計が今でも聞こえてきそうな思い出の一室を後に。…ギャラルホルンが静かに眠る工房に辿り着く。重々しく開かれるハッチは何処か悲しくて。…けど、迷い等ありはしなかった。…コックピットに寝かせられてる上着…。かつて、オウガさんが若い頃に着ていたと言っていた…騎士団の制服。…乗り込むなり、その大きくて、ぶかぶかの上着を肩から掛けては。…1人、身を抱くように。)『……許して、下…さいね…。……“師匠”…。』(貴方は復讐を望まない。でも…残された僕にはこの道しかない。…ハッチが閉じれば…身を起こす機体。操縦機器に手を。…そして、王都を発つのだ。……翌朝、荒らされたような工房を吹き抜ける心地良い風は。誰の背も押す事はなかった。〆)   (6/2 21:12:37)