この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

千騎長の過去

(オウガ)

しぃずま@オウガ > 「(悲鳴が上がる。殺人鬼が現れた。そう叫ぶ声が王都中に響く。いやはや、命知らずなものだ。王都を守るのはそこらの警察だけではなく、「聖騎士」だっているというのに。しかし彼は、それが目的だった。世の中には、狂った思想と腐った力を持つ者がいる。包帯でぐるぐる巻きの体と、人間の生きていける極限まで細められた長身、道端に捨てられていた機械技師などの使う作業用のズボン、そして右手に持った長い剣で、闇夜に紛れ人を殺していた。彼は名もなき男、そう、名もなき。スラム街にて一人で育ち、子供の頃から人を殺し続け、聖騎士でさえも殺したという、言わば戦闘の…いや、殺しのプロフェッショナルだ。隈が目を覆い、口は変わらず赤い口腔と白い歯を見せて笑っている。彼に付けられた通り名は、「白刃の笑顔」。警察や騎士団に殺害許可も出ている凶悪な殺人鬼であった。しかし今宵は運が悪かったらしい。本物の鬼と出くわしては、殺人鬼では太刀打ちできない。)   (5/21 11:18:14)
しぃずま@オウガ > ヒャオ!(異常なまでに細く長い腕は、その合わない焦点と共に動かされた。パキン、と金属同士がぶつかり合う音がする。巨大な剣に、長い剣がぶつかっている。剣士二人は、どちらともその実力を認め、挨拶をし出す。)オレは魔術師じゃねぇぜ、騎士サン。「白刃の笑顔」。ヒャッハハ、本気で来いやァ!(これまでにない楽しさが、笑顔の身体中にぞわっと鳥肌を立たせた。剣を持たない左手を地面に置き、構えを取った。)殺人鬼なりのプライドってか?じゃあ俺の名も教えておこう。千騎長「オウガ」。魔術剣の使い手…これ以上、語ることはないだろ?(あぁ、と小さく笑顔は答える。その口は元々高い口角が普段よりもかなり上がり、瞳はギンと開ききっていた。)   (5/21 11:18:32)
しぃずま@オウガ > (ド、と地を蹴る音が鳴る。どちらも驚異的なスピードで、剣を打ち合わせる。オウガは事前に炎を宿らせていた剣で攻め、守り、攻め、守りを繰り返している。殺人鬼は急に姿勢をかなり低くし、相手からは届かない位置に少し下がる。すると、そのリーチを生かして足に切りかかってくる。これをオウガはサーベルで対応。このスピード感を考えると、剛剣は無い方がいいかと鞘に差した。それを挑発と早とちりした笑顔は、その行動に怒りを覚え、いつもより早いスピードで切りかかる。「本気」だ。これまでは余興に過ぎない…どちらも一方に特化した「本気」で戦う。)   (5/21 11:18:55)
しぃずま@オウガ > (空気を切る鞭のような音が鳴り、ぐにゃぐにゃになった右腕で笑顔が剣を叩きつける。オウガはまた弾き、胸の左側に突きを繰り出す。笑顔は防御しきれず、左胸に思いきり焼け焦げた穴が開き、ぼろぼろと焦げた部分が崩れ落ちていく。しかし、更に速く剣の鞭が振られる。こちらも防御しきれない、とオウガは咄嗟に飛び退くが、右胸が少し切られてしまう。オウガは離れた位置から飛び上がり、流星のごとく笑顔の頭上から降ってくる。それを鞭のような剣筋で弾く。よく見ると、錯覚ではなく本当に腕がぐにゃぐにゃに曲がっている。骨を折っているのか。まさに狂人。感覚が死んでいなければ出来ない芸当だ。弾かれたオウガは打ち上げられ、着地した瞬間に後転することで衝撃を逃がす。そこを笑顔は狙った。少しの隙に漬け込んで、脳をかち割らんと剣鞭を降り下ろす。オウガは回避しきれず左肩を深く切られるが、すぐに刃を抜き、一言も声を発さず、一滴も汗を流さず、冷静に笑顔の方へ向かっていっている。)   (5/21 11:19:17)
しぃずま@オウガ > (オウガは乱れ切る。想定外の早さに殺人鬼も感嘆の声を上げながら受け流し続けるが、3発ほど貰ってしまう。連打を避けるために思いきり横に飛び、建物の壁を蹴って背後からその剣を振る。が、オウガはこれが振り切られる前に、逆に腹へ強烈な攻撃を食らわせる。ぶしゃ、と赤い飛沫が弾ける。じゅう、と赤い炎が腹を焼く。笑顔はその無いはずの痛みに耐えながら、一歩も引かずオウガの左肩に蹴りを食らわせた。そのときやっとオウガから声が出る。ぐ、と少しだけ、痛みを感じた声を。だがまだだ。状況は変わらない。だから笑顔は畳み掛けるため、下がるオウガに一瞬で近付き、置いていかれた剣鞭が速度を付けてオウガのみぞおちに飛んでくる。オウガは避けようとするが、異常なスピードを避けきれず、傷を負っていた右胸に大穴が開く。そしてそれは振り上げられ、切り開かれる。)   (5/21 11:19:42)
しぃずま@オウガ > (両方、同じくらいの血を流している。両方、致命傷を持っている。まさに死闘…町中で始まった死闘だ。オウガは力を込めて、上段中段下段と連続で切りつけた後、下からアッパーをするように剣を振り上げる。得意の早業だ。それに笑顔は長い剣で全てガードして見せるが、最後に抜かり指が炎に焼けてしまう。しかし笑顔は指も焼けたまま攻撃を続けてくる。傷を抉るために胸の穴を狙って突きを放つ。消耗しているオウガは避けることはできず、何を考えたか近づいていく。やがて裂傷に剣が突き刺さる。が、オウガは止まらず、先程までとは逆の腕の左腕で切りかかる。慌てて笑顔は剣を抜き、防御の体勢に入るが、オウガの剣とは逆の位置に剣を置いてしまい、しまったと思いながら、右腕を切り飛ばされる。)   (5/21 11:20:08)
しぃずま@オウガ > …マダダ…!(はらり、と包帯が落ちた。ボコン、と、何かが膨らむ音と共に、切られた腕から血が溢れ出す。それは、筋肉の膨張。よく見れば、包帯が置いてあるところに、クレーターがある。岩の霊力…いや、もっと「重い」霊力の込められた包帯。なんとも恐ろしい力だ。細かった体が、あんなにも大きく。強い力と鞭のようなしなやかさと早さが合わされば…それはそれは恐ろしい。オウガは右腕が上がらない。左腕でしっかりと剣を持ち、筋肉の膨張により力の込められた鞭…いや、もはやそれは鞭ではない。「アナコンダ」の如く、大きく太くしなやかな動きで繰り出してくる斬撃を弾き返す。しかし、その力はかなり強く、かなりの労力を使わされた。剣を力強く振り切ってやっと弾き返せる。だがその弾いた隙を狙って、大きくなった体の懐に潜り込み、胸の真ん中を切り開かんと、剣を振り上げる。)   (5/21 11:20:27)
しぃずま@オウガ > (しかし意外と素早いものだ。完全に回避されてしまった。めげずにまたその回避の隙を狙い、突きを放つが、そこを笑顔は蹴りかかる。オウガはわざと胸に受けて、その足をがっちりとつかみ、足を深く切る。しかし蹴りの力は凄まじく、先程とは比べ物にならないほどの痛みが受け止めた胸に走った。骨が折れた感覚がした。肺に骨片が突き刺さるのを感じながら、オウガは右腕を狙って切りかかった。足を捕まれ自由に動けない笑顔は、避けきることができず、腕を半分切られてしまうが、その代わりにと笑顔はオウガの右肩を噛み千切り、プッと吐き出した。左手で掴んだ足を前方に投げても、奴は立っている。千切れそうな足で。血塗れになりながら、低い姿勢になって、オウガの方へ飛びかかるが…途中で力尽き、倒れる。オウガは、ただ仁王立ちをして、倒れる笑顔を見下ろした。)   (5/21 11:20:50)
しぃずま@オウガ > …ハァ…ハァ…最後に…言い残すことァ…あるかよ…(魔術を1度も使わなかったのは、笑顔が早すぎたからだ。剣だけしか動かすことができなかったのだ。それほどまでに、強い。だから最後に、少し喋らせてやる。しかし、よく見ると…顔にドーピングの跡がかなりある。紫色の隈に、その笑顔。そして、痛みも感じられないと見た…するとつまり、これはスラムで噂の人間性の代わりに、力と寿命を手に入れられるという、一種の呪術を利用したドーピングだと推測できる。誰が売っているのかは知らないが…非人道的だ。オウガは全く好まない。)   (5/21 11:21:46)
しぃずま@オウガ > お前の師匠、殺しがいがあったよ…今は取り締まられてるがよ…一発で死ぬ劇薬を食らわせてやるだけで死ぬんだぜ!?伝説って慕われてたやつがよ!あの様は見てて楽しかったね!最後にお前と会えてよかったよ!(動けないまま、平常な声で言った。死ぬ前にこいつを怒らせてやろう、そんな愚かな考えだった。オウガは、確信した。こいつが誰なのかを。しかしオウガは、もうすでに「自分」を持っていた。怒りも、恨みも、もはやない。私怨などくだらないものだと、そう言ったのはあの師匠だ。皮肉なものだ、仇にその思いを理解するきっかけを作ってもらえるとは。)ガッハッハ…俺も、お前に会えて…よかったよ。(そう一言言うと、オウガは渾身の力を込めて、残念そうな笑顔の首をはねた。)」   (5/21 11:21:50)