この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

自立の種火

(セリヤーナ)

フルディア/セリヤーナ > 「それじゃ、行ってきます!…ハンカチ持ったかって?バカにしないでよね!」(今日はスーリのキャラバンを離れ、一人でホーリアの森に入り一泊する予定。朝早く、白みはじめた空を背に歩みを進める。背負った大きなバックパックには一通りの野営道具と保存食や飲料水。結構な重量だが慣れたものだ。幾度と通ったルートではあるが、早朝の静謐な空気の中を白銀の雪原の端っこに足跡を残すように歩く高揚感と緊張感は、何度味わっても良いものだ。) (朝の陽射しが眩しくなってきたころ、森の入り口に到着した。草原とは"空気"が変わるのを感じると、自然と言葉が漏れる。)「…お邪魔します。」(森には精霊が住むという。巷じゃそれはオランウータンだのなんだのと、しょうもない議論がなされているようだが、ボクには関係ない。物事を"理解"するしかしないんじゃ、そんな人生つまらない。"理解"と"信仰"は同居するはず…そんな考えに至りはじめていた。森で過ごす時間はかけがえのないものだ。自分なりに世界を感じ、諷喩に満ちた神話の示すところを感じる時間。)   (5/27 22:25:12)
フルディア/セリヤーナ > (森を進むと美しい湖のほとりにでた。今日はここで野営することにしよう。真上から降り注ぐ木漏れ日の中、持参したテントを組み立てていく。大して時間はかからない、さっさと組み上げて荷物を押し込む。弓矢とナイフを持ち、空の荷袋を肩に引っ掛けて散策に出かけよう。薪は絶対、新鮮な食糧を採ることができればさらにいい。) (夢中で森を散策した。木の実やハーブを摘み、薪を拾い蔓を収穫した。…と、近くで物音がする。気配を探ると野ウサギを見つけた。慎重に弓を構える。弦を絞る音が緊張感を掻き立て…一気に解き放つ。苦しげな鳴き声の下へ駆け寄ると、矢は野ウサギの後足を射ていた。)「………よし」(十字を切って祈りを捧げ…ナイフを構えてとどめを刺す。)「…っ」(この瞬間だけはまだ慣れない。"一は全、全は一"と古の教えは説いた。)「もし本当にそうなら、ボクの想いや信仰もいつか宇宙に届くのかな」(少し重たい気分で血抜きし腸を除く。せめても腸を埋葬し、もう一度短く祈りをささげてその場を後にする。)   (5/27 22:25:29)
フルディア/セリヤーナ > (薄い繊月が太陽を追って沈もうとするころ、散策に没頭していたことに気が付いた。背の篭には薪に果物・山菜が幾分か、それと野ウサギが1羽。薄暮の刻、まだ辺りを何とか見渡せる程度には明るいが、もたもたしていると真っ暗になってしまう。)「しまった、もっと余裕をもってテントに戻るべきだった…火を灯さなきゃ道に迷っちゃうよ…」(拾っていた薪や竹の棒で松明を拵えて…目を閉じ祈るように詠唱。)「踊れ 大地を駆ける炎のロアよ 姿を顕し夜を祓い 蹉跌の巡礼を照らせ ~ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア~ 《ジャック・オー》」(ぽぅ、といくつもの火の玉が浮かびあがる。1つは松明を灯し、残りは周囲を跳ねて、森の中へ散っていく。照らされた夜の森を走り抜け、火の玉に案内されるようになんとかテントまで戻ってこれた。)「危なかったぁ…遭難するところだったよ」(安堵のため息をつきながら薪を組んで松明の火を移し、焚火を熾す。切り株に腰を下ろして空を仰ぐと、満天の星空に火の粉が爆ぜた。)   (5/27 22:25:43)
フルディア/セリヤーナ > 「お腹が減った…夜ごはんにしよう。」(昼間に狩った野ウサギ。手早く捌いて焼いていく。山菜を少々香りづけに振りかける。塩だけは持参した。塩分は森ではどうしようもない。海沿いの町へ行ったら、海水を煮詰めてみるのもいいかもしれないな、なんて考えながら、目の前の湖から水を汲んできて蒸溜する。これは一晩がかりの作業になりそうだ。一泊くらいの飲料水は水筒に持参してきているが、まぁ念のためだ。)「ふぅ…」(蒸留水の滴が器に軽やかな音を奏で、肉から滴る脂が焚火をパッと明るくする。そんな光景をただじっと見つめて…『無為に時を過ごす喜び』だとキャラバンの大人たちから教わった。それがどんなものか腹の底でわかったわけではないけれど、今がそれかもしれないな…)「あ!忘れてた!」(もう一つ持参した食糧があったのだった。とうもろこし粉を練った生地、これを薄く伸ばして焼くつもりだったのに、このままじゃ先に肉が焼き上がりそう。)「んぅ…まあ仕方ないか。先にお肉を頂こう。」(独り立ちするにはまだまだだな、と自省する。)「食糧もいろいろ持たせてもらったし…それを全部自分でって…道は長いなぁ…」(ため息が更ける夜に溶けていく。)   (5/27 22:26:02)
フルディア/セリヤーナ > (翌朝、小鳥の囀りと朝露の香りに目を覚ます。日の出も間近だ。テントから出て、燻った焚火の後始末をし、すっかり器に溜まった蒸溜水を水筒に移す。そうこうしているうちに太陽が顔を出しはじめた。瞳を閉じて手を胸に当て、陽の暖かさを全身で感じる。)「"スーリャ・ナマスカーラ"」("太陽礼拝" 長く続けてきた朝の祈りの言霊。朝に陽射しが柔らかな風に乗って頬を撫ぜるのを感じながら大きく深呼吸して、気を循環させる。)「よし、満たされた。朝ごはん食べよう。」(ぐっ…と大きく伸びをして、昨日採った果物と新鮮な水で喉を潤す。朝露を纏ったテントが乾くまで、野ウサギの毛皮をなめしたり木工細工を作ったりして過ごそう。そうしたら、名残惜しいが帰路に着こう。)「今日は暗くならないうちにキャラバンに合流しなきゃ…ね。」(自嘲気味に笑って朝の日課を終える。森が労わってくれたような晴れやかな気分だ。)   (5/27 22:26:23)