この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

出会い

(竜灯&雅螺)

クノ/竜灯 > 夜、尊華帝國、帝都榮郷。料亭や居酒が並ぶ花街区画の隅には、珍しい事に竜灯の姿があった。この時間帯、普段の竜灯であれば酒に溺れて騒いでいる頃合いだと言うのに今日は道端の縁台に腰を下ろし、「ウェンディア王国伝」なる書物を読み耽っては時折恐らく借り物であろう本をどこまで読んだか忘れないよう、開いたままで下向きにして傍らに置き。腕を組み直しながら足を動かし、一定のリズムで地面を爪先で叩いていた。)「⋯⋯うん⋯魔術砲や魔術銃技術者を尊華に連れてこれば、若しくは学ばせれば再現できるはず。⋯⋯いや、じゃけんど設備は俺らに用意出来るか?はじめからこじゃんと密輸しゆう方が⋯⋯じゃが商人が居たとして、靡かせる程の金が尊華にあるがか?────ああド畜生!!!!いかんぜよ!駄目じゃ!駄目じゃ!!!」   (5/23 12:58:50)
クノ/竜灯 > (段々と早まる靴音に合わせ呟かれる独り言は増えていき。最後には周囲の人間が一気に振り返る程の大声を響かせて、直ぐ様寝かせていた本を再び手に取りぺらぺらと頁を捲る。もう小一時間程この場所で「あーでもないこーでもない」と叫んでいるせいか、通りすがりの人以外は反応を見せなくなっていた。それ以前に何故竜灯が血眼になってこんな事をしているかと言えば⋯⋯今日の博打で大負けし、居酒出来るほどの金を持ち合わせていない事が原因であった。せめて欲求を抑えようと珍しく読書に手を出して有意義な試行錯誤を繰り返していた竜灯だが、その考えはあまりに突拍子なものであり穴だらけの計画は脳内で遂行しても浮き彫りになる程で、それがまた竜灯を激しく苛立たせていた。)「魔術砲さえあれば尊華はウェンディアを押し潰せる筈じゃ!!そうすれば功労者の俺は伝説として語り継がれゆう筈ぞ.........」   (5/23 12:58:53)


極夜@雅螺 > 「捕らぬ功労の皮算用〜。……いやいや、何てね。其れはさて置きそこの君、そう君。赤い鉢巻がお洒落な君だ。声が大きい。道行く無辜の人々の耳を潰したいなら話は別だけれど、そうじゃないなら声は控えた方が良い」(さても此の花街は本日も騒がしい。花街、今日も盛況なり。其れは其れで如何なのやら。零れる灯が目を刺し、手招く艶やかな指先に吸い込まれて行く人々の波は押し返すばかりで留まる所を知らない。ぐい、と少々乱暴に人並みを掻き分け、僅かに人の流れが失せた、其の時。びりびりと耳朶を直接殴り、鼓膜に其のまま突進して来る大声に目を瞬かせた。微かに伏せていた紅い瞳がぽかんと見開かれ、貴方を捉えるように向けられ。──何だって?押し潰したウェンディアが功労者?いや冗談、聞こえていた。聞こえていたけど其れは街中で、其れも賑わう花街で怒鳴り散らす内容かい?僕だったら自分の部屋に悠々陣取って自分の頭の中で思考する内容だよ其れ。まぁ、ふぅん……でも、何だか面白そうなことを叫んでいるね。摘む気もない華を眺めて歩くより有意義そうだ──)   (5/23 13:35:50)
極夜@雅螺 > 「其れで?魔導砲とウェンディアが何だって?ちょっと俺にも聞かせてくれないかい?あ、拒否権は無しだ。いや話したくないなら話さなくても僕は一向に構わないけれど劈く声量で叫んでいたのは君だから自業自得」(にぃ、と愉悦と好奇に捻じ曲がった口元から巫山戯た言葉が躍り出る。目を細めて勝手に縁台に腰を下ろし、雑に帯刀していた刀を軽く指で跳ねた。鮮やかな夜の灯る街の片隅、空に昇る月の暖かな光とさえ無縁の血に濡らした如し瞳を細め、貴方に早口に尋ね)   (5/23 13:36:00)


クノ/竜灯 > 「⋯なんぜ?悪いのう声が太いのは生まれつきじゃ!!」((俺は酒が飲めんと腸が煮えくり返リそうなんじゃと口が滑る所だった。顔を上げて見上げるとそこには黒い髪に真っ赤な目の格好えい男がこっちを見ている。こがな奴に限って顔が良いきにと調子に乗るんじゃ、と酒精が足りず考えも纏まらずで苛つく頭の中で失礼な言葉を並べていた。お陰で貴方の顔を見た時に一瞬引っ掛かりを覚えた事すらも抜け落ちてしまったらしい。鼻を鳴らして再び文字の海に視線を落とした竜灯だがまたしても邪魔が入る。ずしり、と縁台が軋む音と先程よりも近くなった声に背中を丸めたまま首だけを曲げ、口元を歪めてから手に持った本を力無く足の間にぶら下げると今度こそ面倒臭いものを見るように貴方を斜め下から覗き込んだ。)「これは俺の作戦やき、成功したら功労者は俺じゃ。俺が発案ぜよ、それを心して聞いちょくれ。」   (5/23 14:18:42)
クノ/竜灯 > 「これは俺の作戦やき、成功したら功労者は俺じゃ。俺が発案ぜよ、それを心して聞いちょくれ。」((...何だかんだ興味を持ってくれたのは悪くない気分だったらしく、それに構想段階の話、話した所で特に取られる事も無いだろうとたかを括り。小さく肩で息を吐いてから本を一度閉じて傍らに置き。両手を使ってジェスチャーを交えつつ話し始めた。)「ウェンディアの魔術砲を盗む、若しくは作る事が出来れば、と考えていた。⋯俺は尊華に足りんものは、速さやと思うちょる。何でもそうじゃ、しきたりやら何やら古いものに囚われすぎて全てが遅いんじゃ。それに比べてウェンディアはどうか、奴等は俺らより遥か先におるぜよ。単に呪文の速さがどうこうの話じゃなく、何もかも遅れちょるちや。⋯⋯勿論尊華にも良い所あるとは思うけんど、おんしはどう思う?ウェンディアが俺らより進んどる部分を片端から盗んでいきゃ敵無しな気がしないがか!?」((最初こそ落ち着きを保っていた口調だが、話が進むに連れて語気は荒く身振り手振りも大きなものへと変わっていき。一方的に捲し立てた後勢いよく己の両膝を叩いて〆ると、貴方を真っ直ぐ見つめて答えを待つのだった。   (5/23 14:18:44)


極夜@雅螺 > 「そんなにカリカリしないでくれ、生まれ付きなら仕方ない。嗚呼仕方ないとも。というか君は一体如何してそんなに当たりが強いんだい?反抗期?」(喉奥から小さく笑みが落ちる。花街にはよく来るが、そこ彼処で人を招き寄せる華麗な花の蜜に溺れる為に来ている訳ではない。ただ、楔に囚われたことを知って尚も咲き続ける乙女の華が酷く滑稽だと……嗚呼、嗤いながら華を眺める。意味もなく怠惰な物見遊山に興じるのもそろそろ飽きていたが、今夜は退屈しなくて済みそうだ。此れは僥倖、棚から牡丹餅。囚われない笑みを崩さないまま、貴方の心をささくれ立たせるだけの効果しか生まないであろう言葉をいとも容易く紡ぎ落とし)「ふーん……うん……まぁあまり大声では言えないけれど、確かに尊華の人間はしきたりに風習慣習、囚われ過ぎている。勿論僕は嫌いじゃないとも。嫌いではないけれど、盗むべき場所がウェンディアにあるのも事実だろうね。成る程、進んだ魔術砲が盗み取れれば攻城もだいぶ楽になるかも知れない。彼方の鳥を撃ち落とすより動かない的を撃つ位には容易くなる」   (5/23 14:38:35)
極夜@雅螺 > (──確かにね、僕も元は軍部の人間だ、あまり大きな声では言いたくないけれど何時迄も古き良き戦法に従っていたらウェンディアの速さには絶対に追い付けない。尊華が勝つ事はある。あるけれど、ウェンディアの技術を獲れれば勝星を増やす事に繋がるのは確かだよ。……ま、でも、元々はウェンディアの技術だからね。元々相手が弱点も強みもよく知る武器を其のまま借りて来て使うようなものだ──くるくる回る口は人を惑わす事にしか使わず、嘘八百に大言壮語で騙し騙った回数数知れず。そんな自分が、よくもまぁ此れだけ同意の言葉を吐き出せたものだ。七歩の才を持つ詩人の描く詩吟が如く朗々と紡がれる思案に暫く耽り、ゆるりと口元に弧を描いて「だが、」と否定を匂わせる一言を吐き出し)「盗んで来た所で其れは元々ウェンディアの技術だ。僕達よりウェンディアの方が余程、魔術砲の扱いを知っている。弱点を知っている。汝の作戦を使えば成る程。ウェンディアと同じ舞台には立てるさ。ただ、立っただけだ。同じ武器を使う以上、其れだけで"ウェンディアに勝てる"なんて断言出来ない」   (5/23 14:38:48)


クノ/竜灯 > 「うん。じゃろ。」((⋯⋯前言撤回しても良いかもしれん。俺の話を聞いて否定しなかった事に竜灯は心から喜んでいた。当初のざらついた言葉遣いはなりを潜め何処か落ち着いた声が口から漏れる。何より竜灯を喜ばせたのは、しきたりやら風習やらに囚われすぎているという尊華の現状、俺の最も嫌いな事に対して同意を得られた事だ。食えん男かと思っていたが、案外話が分かる奴かもしれんのう。と相手が自分より遥かに経験も位も高い⋯それこそ天地程の差がある人物だということは露知らず。軍事戦略に近しく詳しい存在の貴方の話を、自分の論を否定されているにも関わらず何度か頷きながら顎に手を当てて聞いていた。)「⋯⋯⋯⋯その通りちや。」((悔しいとも思わない程に相手の言は理にかなっていた。良い道具を持っても使い手が素人であれば⋯⋯。そこまで考えて竜灯が出した答えは更に途方も無い感情論に等しいものであった。)「⋯⋯けんど、じゃ。」   (5/23 15:04:36)
クノ/竜灯 > (徐に立ち上がると背中に描かれた竜胆車を貴方に見せつけ。夜風に赤いハチマキと羽織がたなびいた。)「言ったじゃやいか、尊華にだっていい所はある、時間は掛かれど魔術は尊華の方が強いちや。⋯⋯それをまだウェンディアは持っとらん訳じゃ!!つまり、つまりのう!」((振り返り両手を広げると縁台の貴方へと詰め寄って。目を見開き爛々と輝く瞳で貴方を射抜く。楽しそうに自信満々に話す姿はまるで夢を語る少年のようで。広げた掌を強く握り締め、竜灯は口元に勝気な笑みを称えて続けていく。)「速きこと風の如し、侵略すること火の如し!最初は上手く使えなくても、その最初だけは確実に俺らの方が上じゃ、奴等が尊華の良い所を盗まんとする前ならば、俺達だけは帝國王国の足し算ぜよ!!!どうじゃ、そうは思わんがか!?のうおんし、どうぜよ!」((ぐっ、と伸ばした片手で相手の肩を握り、顔を引き寄せて瞳を細め。ニヤついて同意を求める。先代元帥である貴方にはそれこそ子供の考えたような稚拙なものだろうが。   (5/23 15:04:38)


極夜@雅螺 > 「頭から否定するのは馬鹿のする事だよ。君の論には一理ある。で、残念ながら麗しき慣習に浸る尊華で君の思想は若干浮いてしまう。まぁ仕方がないんだけど」(元来、糸をゆっくりと紡ぎ合わせるように文化と習慣を寄り合わせ、歴史と名付けられた布を織り成して来たのが此の國だ。尊華人からすればウェンディアの技術を盗むなぞ、美麗な紋様を描きながら織り上げられた布にシミでも落とすような行為に見えてしまうのだろう。ゆるりと落ち着いて来た貴方の声に目を細め、手持ち無沙汰に刀の柄を弄りながら流石に声を潜めた。こんな事を大声で言ったら誰かさんに迷惑が掛かる。妹の胃を爆破するのは趣味じゃない)「へぇ?汝は否定しないんだね。良いね、うん、実に良い。欠けた部分があると受け入れられる人間は完璧を徹底し過ぎる人間より余程有用だよ。君は柔軟な思想の持ち主だね。案外そういう人の方が鮮やかな色を出せるものさ」(てっきり頭ごなしに否定して来るかと思ったが、成る程、月を獲るような突拍子もない事を言い出すだけあって、ある程度の否定的な色を受け入れられる度量はあるようだ)   (5/24 22:15:53)
極夜@雅螺 > 「うん、ちょっと判ったから離れてくれるかい?近い。其れと声が些か大きいな。僕の鼓膜が貧弱ならもう三回は爆発四散してるね。──さて確認だ。君はウェンディアに尊華の技術を盗られる前に、盗ったウェンディアの技術と尊華の技術を組み合わせて一気に叩いてしまえば良いと?」(──うん……先手必勝とは言うし、別に御伽話だと払い落とすべき意見ではない。けれど、足りないね。致命的に足りない。発想は面白いさ、其れは認める。ただ、死神と運命が交差して舞踊を舞ってるような戦場で大事なのは有用性だ。僕の主観ではない、事実だよ。例えどんなに目を奪う人間でも、使えなければ"捨てられる"──朧な月夜の光が瞳を跳ねる。淡い金色と真紅の混ざる瞳をすぅと細め、ぐいと近付いた貴方の顔をただ見詰めていた。心の抜け落ちたような、つめたく冴えた無表情で)「駄目だね。其れじゃあ駄目だ。例えば其の一策に賭けてみたとしよう。失敗したら如何する?何人死ぬ?おまけに尊華の作戦はまるごとバレる。国にも命にも大損害だ。其の作戦には実用性がない。戦に携わる者が夢物語を語るな。せめて第二第三の策くらいはないと勝てないよ」   (5/24 22:16:06)


クノ/竜灯 > 「その通りじゃ。こがなくらいふっとい作戦のほうが、ちまちました謀略策略より余っ程単純で強いと俺は思うぜよ。」((離れてくれるかと一蹴され、文句の一つや二つ言いたそうな表情を一瞬だけ浮かべるも素直に貴方から一歩後ろへ下がり。数秒前の竜灯を認めるような台詞もあった故か片手を腰に当てて、一切穴のない完璧な作戦と言わんばかりに胸を張った。尤もその後に続いた否定的な言葉を受けあからさまに表情を不満げな色に染めてしまったが。)「っっっ⋯⋯はーっ!おんしもやはりそう言うがか!!」((腕を組んで鉢巻と羽織を翻し、背中の竜胆車を見せつけながら、大きな声で悪態を吐いた。二人を包む暫くの沈黙はほんの僅かに冷たく感じられるものであったが。意外にもその空気を打ち破ったのは竜灯の方であった。)「⋯⋯悔しいが、反論の一つも浮かばんぜ。おんしの言う通り、この作戦は穴だらけじゃ。おんしに聞いて再確認出来たぜよ、軍人では無さそうやけんど、おんしはきっと俺よりも頭が良いのじゃろう。」   (5/31 20:49:31)
クノ/竜灯 > ((ぼさついた黒緑の髪を乱雑にかきながら、諦めたかのように溜息混じりに口にする。出会った時から初めて会ったとは思えないような妙な引っ掛かりを感じる相手ではあったが、竜灯はついぞその違和感を気にする事は無く。背を向けたままに数歩進んでから、少し顔を上げて空を見上げた。)「⋯⋯けんど、やらんとは言っとらんちや。これを思い付いた時から俺は、必ずやってみせると決めちょった。やき、おんし、俺の名を覚えておくといいぜよ。───竜灯。いつか伝説を作る男の名前きに。」((ふっと振り返り、自信に溢れたニヒルな笑みを残すと男は夜の花街へと姿を眩ませていった。縁台に借り物であるだろう本を一冊置き忘れて。   (5/31 20:49:32)