この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

趨里にて

(オウガ&火津彌&咲夜)

しぃずま > 「(背の低い草を踏みしだき、草原を鬼が往く。右手の剣に炎が宿り、左手の剣は赤く光る。依然変わり無く鬼気を放ち往く。しかし、その制服の下では、包帯に血を滲ませていた。特に、深く傷ついた右肩が痛む。満身創痍の中、一切の休憩を無しにここまでやってきた。襲いかかる魔術師を焼き切り、無傷で。しかし、この状態で官位を持つ強さの者に出会えば…それは、死に直結する。しかし、オウガはそれを恐れない。死ぬ覚悟は毎回できているのだから。だが逆に、その大胆不敵な行動が、ここまで生き延びる要因となっている。なるほど「鬼」と呼ばれるわけだ。戦火の予感を感じた生き物たちが、飛び立って行ったり、足の間を抜けていく。オウガにもその予感が働いていた。この先にいるものと出会えば、接戦の末に、死ぬ。)」   (5/19 16:26:17)
しぃずま > 「…また会ったな、狐よ。(一対一の戦闘体勢だ。剛剣を鞘に入れる。そして、右腕の怪我に負担をかけづらくするために、炎剣を左手に持ち変えた。こいつは目敏い。それを見逃さないだろう、それはわかっていたため、むしろ露骨に右肩を庇う。)ガッハッハ…死んでもお前をぶっ倒してやるぜ。(豪胆な笑い声が聞こえたかと思えば、鬼気は1層広がる。彼を中心に風がざわめき、草はその鬼気になびいていた。ヒュン、と、自らの体の前で剣を斜めに一振りすれば、姿勢を低くして構えた。)」   (5/19 16:26:33)


〆鯖/火津彌 >  (草原に響き渡る地鳴りのような低く落ち着いた声を耳にし、火津彌は頷く代わりに首を軽く回した。肩を慣らすように、これからの戦いに備えて気持ちを切り替えるように。)「…よう響くええ声ですわ。やはりあんたはええ魔術師や、声だけでわかる。」(以前あなたに会った時よりも少し掠れたがらがらとした声でそう呟く。恨みがましさを、皮肉に込めて。……しかし、あなたが良い魔術師であるというのは当然の事だろう。相手は千騎長、かたや自分はしがない佐官。元から釣り合うはずのない二人がこうして何度も戦場で再会を果たすのは、どんな因果、因縁であろうか。右腕を庇うように大剣を持ち替える仕草を目にして、ますますそれを強く感じた。拮抗する闘いを見せよと神が仰られているようやないか、と。)「死んでも、ですか。……おやまあ、随分元気な事ですな。そんなに鼻息荒ぁせんでも構ったるわいな。……葛葉がな。」   (5/19 18:20:20)
〆鯖/火津彌 > (にやりと口角を上げ剣を構えたあなたがこちらに飛びかかってくるよりも前に召喚を完了しようと、口早に詠唱を終わらせる。青い狐火が浮かび、半分人間、半分狐のような男の姿となる。甲冑を着込みすらりとした刀を持った、剣士の姿。やはり葛葉も、剣士同士で闘う事が嬉しいらしい。)「…葛葉、『銀の構え』や。」(ばさりと袂を翻しながらそう命じると、妖狐は火津彌そっくりの笑みを浮かべて、左足を後ろにひいて重心を低く取る。刀は脇に構え、剣先を後ろに下げながら火津彌の前へと躍り出た。あなたから見て急所が集まる正中線を正面から外し、こちらの刀身の長さを正確に視認できない効果を狙う、いわゆる『金の構え』に似ているが……葛葉のそれは全く左右が対称だった。   (5/19 18:20:33)
〆鯖/火津彌 > 本来の金の構えならば右脇に刀を構え、左の半身が無防備になる。しかし右腕、つまりこちらから見れば向かって左側を負傷しているあなたに左の半身を晒すのは愚策というもの。どうせ攻撃を誘うのならば、思うように動かぬ右腕を使ってもらおうではないか。……そこまで考えた上で、火津彌は葛葉に指令を与えた。無防備な右半身、迎撃には下段や横からと、あなたの視線外から有効な一手を浴びせる事が出来るはず。葛葉狐ももはや美虎での一戦のように、無策に飛びかかったりはしない。じりじりと焦げるような緊張感がそこにはあった。)   (5/19 18:20:41)


しぃずま@オウガ > 「いい魔術師か…ガハハ、お前の悪運には負けるぜ。(真実味のある皮肉に、真実味のある皮肉で返す。「悪運がなければ」オウガはあなたに勝つことは容易い。しかし…やはり、あなたは恵まれた運の持ち主。たられば言っても、その強みは変わらない。だが、抵抗をやめるつもりはやはり全くない。皮肉も痛みも強くは意に介さず、ただ鬼気と鬼が佇むだけだ。)」   (5/19 19:01:45)
しぃずま@オウガ > 「…芸を増しやがって、俺にとっちゃ嬉しくねぇ変化だぜ…(ゆらり。オウガの腰あたりにある剣の炎が揺らめき、またオウガの重心が右にずれたその瞬間だった。狐男、葛葉と言ったか。真右からの黒い視線を感じるだろう。左腕を振り、剣を脇腹に向けて一閃する。右半身はその左半身に隠されて、虚を突かねば届かない。技術。それが、オウガの最も得意とする「剣術」だ。一挙一足が、バネを使った、力の抜けた「技」の動き。そして、攻撃には、重たい力と固いバネが使われて、かなりの威力が伴う。しかし、それも負傷のせいか、少し遅い。一閃が振りきられると、オウガは前のめりで飛び上がり、頭上。彼の頭と葛葉の頭が向かいあっていた。炎を纏った黒い刃が何度も頭に振られ、そして着地点からまた横薙ぎの一閃。それ以上の攻撃はない…刹那の一瞬が、あなたに与えられる。)」   (5/19 19:02:03)
しぃずま@オウガ > 「(かに、思われた。最後の横薙ぎと同時に、何かオレンジ色のビー玉のようなものが、ホヅミ、あなたの方へ飛んでいった。それがなんなのかは、すぐにわかることとなる。相手の攻撃を警戒しながら、オウガは口を開いた。)広がる炎よ、爆発せよ。内なる炎を、今は散らす時。太陽の名の下に。(ビー玉に亀裂が走り、オレンジ色の光が辺りを照らす。するとその瞬間、爆発が、炎が、散る。それは、丸く固められた炎だったのだ。炎はその固められた内部で勢いを増し続け、寝かせておくほど火力が上がる。これは10日もので、人1人吹き飛ばすには十分すぎるほどの火力を見せた。それを避けられたかどうかを、視認させぬと言わんばかりに煙が上がる。草は焦げきり、炎はもう残っていない。それほど、瞬間的な爆発だったということだ。)   (5/19 19:02:18)


〆鯖/火津彌 > (脇腹に放たれた一閃に応じる、下から上へと払うような左切上の太刀筋。すぐさまあなたに向き直り、葛葉は頭を上げた。これには刃で受ける事をせず、前方に受け身を取るようにして転がり避け、そのままあなたの鳩尾目掛け下からの突きを放とうとする。地から突き立てるようにしてあなたの着地を待っていた刃。それで決すると思っていた葛葉と火津彌であったが、最後にもう一撃、一閃が待っていた。その水平に薙ぐ太刀筋は葛葉の胴にまともに入り、ゆらりと輪郭が揺れた。)「……く、うっ……!」(声を発したのは火津彌であった。葛葉に同調して、脇腹が焼けるように熱く痛むのを感じる。このままでは、美虎の二の舞である。葛葉とあなたが競り合うようにして刃を交えているうちにと、小さく詠唱をはじめる。)「…… 三相、四智、五行……六道。劫火の縅よ、いざ給へ……!」   (5/19 20:08:10)
〆鯖/火津彌 >  (空に浮かぶ七つの狐火。それは柱になり鎧のようにつづり合わされてゆく。あなたの放った火の玉がこちらへ至り爆発するのと、炎の結界が出来上がるのはほぼ同時であった。――しかし、それはあなたの攻撃を先読みして創り上げたものではなかった。爆発に巻き込まれる事はなかったものの、結界越しでも届く強い風圧によって火津彌は後ろに飛ばされた。幸運なのは、その姿がこの炎によって見られなかったであろう事。)「悪運か……あんたの言う通りやわ。」(あなたに聞こえないように小さく呟くと、そのまま近くの岩や木を伝い、あなたの背後へ回り込むべくよろよろと足を動かした。炎の結界の中にいると思わせることができるのなら良いのだが…。歩いている途中で、完全に背後に回り込む事は断念した。いくら遠回りをしても、この開けた草原では難しい。せいぜい横からが関の山だろう。…そう時間もかけてはいられない。木の陰でどっと腰を下ろし、脇腹の痛みに耐えながら詠唱をはじめる。)   (5/19 20:08:18)
〆鯖/火津彌 > 「尊き華の宮処に御坐す妖狐、常音。小さき不知火の燈しを——……」(それは、あまり戦闘向きではない呪文。煙管に火をつけたりするのに使役するだけの小さな管狐を呼ばう言葉だった。善狐・常音はその姿を現し、蛇のようにするりと火津彌の首に絡みついた。)「…常音。行ってこい。絶対に気づかれるな。」(恐らくこの間に、葛葉を呼ぶ言霊の力は弱くなっているはずだ。一度の詠唱がそう長くはもつ訳もない。もしかしたら、もう消えているのかもしれない。…あなたが火津彌を探しに来るのも時間の問題。もはや、この小さな管狐だけが頼りだった。常音と言う名のその狐はまだ焼けていない短い草の間をするすると這いながらあなたへと近づいていく。狙うはその喉――首に絡みつく事が出来れば…)「オウガさん、あんたほんま”ええ声”してはりまっせ。……奪ってやりたくなるくらい、妬ましいほどに。」(あとは、小さな狐火でも充分だ。)   (5/19 20:08:24)


しぃずま@オウガ > 「(揺れる輪郭と、上がる硝煙。集中力を二分して、その2つを注視する。しかしそれとは違う方向から、喉元に吹く風を、感じとる。予想外の場所からの奇襲と、傷のせいで、体が追い付かない。)ぐぅっ…!(先程の動きで、右肩の傷が少し開いてしまったのだ。その少しの遅れが、致命傷となった。簡単に、蛇に首を巻かれてしまう。だがそれを気にせず、オウガは焦げきる前に、と掠れた声で呪文を唱えた。)鬼が如く燃え盛り、狼が如く暴れ狂う炎よ。花が如く咲き誇り、鳥が如く舞い踊る炎よ。太陽の力よ。我が身の前に集え。集いし炎は、宝石のように赤く輝き、烏のように黒く染める。全ての原初たる炎よ。我らが炎よ。この魂強く支え、世界を救う炎よ。この心強く煽り、世界を巡る炎よ。この体強く燃やし、世界を食らう炎よ。全ての炎よ。集いし炎よ。憎く、そして哀らしい彼らを、空へ見送るがいい。太陽の名の下に。(口早に、しかし正確に唱えれば、どこからともなく、いくつもの炎の玉が、オウガの掲げた両手の上に集まる。)」   (5/20 16:04:44)
しぃずま@オウガ > 「(焦げる臭いと、痛みを感じながら、あのとき思ったことを思い出す。あなたとオウガは水魚の交わりで、しかし分かり合うことのない存在。「因縁」だ。それが、あなたから見た戦争だというのは分かった。そういう意見もあるだろう。しかし…味方をも裏切るのは頂けない。お国のために仲間を蹴落とすなど、愚の骨頂だ。だがそれさえも、あなたにとっては意に介さぬ「戦争行為」。あぁ、分かりあえないな、と知るのに、さほど時間はかからなかった。それが、終わるのかどうかは、わからない。)」   (5/20 16:05:06)
しぃずま@オウガ > 「(これは、オウガの豊富な炎魔術の中で「最大級の魔術」。その炎は、集まりきった炎は、かなりの大きさだった。30m程もある、巨大な。燃え盛る炎、暴れ狂う炎、咲き誇る炎、舞い踊る炎…様々な炎がそこから放たれる。数十、数百の炎が、宴のように。いくら木に隠れているとはいえ、1つでも当たればかなりの火傷をしてしまうだろう。ふと、あなたの足元へ、暴れ狂う炎が襲いかかる。草についた炎が燃え上がる…かと思いきや、その炎はすぐに消える。それは、優しい魔術。対象のみを燃やす炎だ。それ以外を襲うことはない。木を屋根にすれば、どうにか致命傷は防げるだろう。)が…っは…(全力を出しきった。血は包帯を通り越して制服にまでにじみ、血塗れで黒い皮が喉から吐き出される。左手で蛇…いや、狐を掴み、熱さを我慢しながら、地面へ投げ捨てる。)お前も…がっは…ハ…災難だな…(咳を笑いに変えて、その狐に語りかけると、膝を落としかけるが、ざく、と、もはや火のない剣を杖がわりに地面へ突き立て、立ち上がる。)   (5/20 16:05:26)
しぃずま@オウガ > 首…取れよ…それがお前の…勲章に、なるなら…(そう一言残すと、仁王立ちで、剣に体重を乗せたまま、気絶した。倒し切れなかったことを悟ってだ。誇り高き者は、膝を付けること無く、地面に背を任せること無く、そのままの姿で殺されることを願った。もはやどうしようもないと、そう悟ってだ。しかし、悪運がいいのは何も、あなただけではなかったらしい。…遠くから、名も知らぬ、美しいあの人の声が、意識の最後に聞こえたがしかし、自分にとってはもはや関係の無いこと、とオウガは考えて、眠りについた。)」   (5/20 16:05:42)


〆鯖/火津彌 > (ゆらり。あなたの長い呪文が大気を揺らしはじめたのに気づき、火津彌ははっとして木の影に隠れた。だが、その声が掠れ始めた事までは耳に出来なかった。遠かったからといえばそれまでであるが、それ程までに朗々、堂に入ったものであったからだ。戦場に狂い咲く火炎の焼灼が鼻孔を薫ずる。パチパチと彈ける音は優しき拍手のようであった。ゴウゴウと響く音は怒号に似ているように思えた。炎はついに火津彌の足元のほうにまで至り、彼はもはや魔術を詠唱する事もままならず呼吸を止めて目を強く瞑り、コートの袂で目鼻を隠しながらその場を動けずにいた。『万事休すか……』そう思ったのもつかの間、炎は思いの外早くに収束する。はっとして辺りを見回せば、草原は燃え尽きる事なくそこにあった。そして気づくのだ。これが、これこそがあなたの魔術なのだと。)「……は、まるで……野火の難やな。は、はは…ははっ…!」(線が切れたように腹の底から笑いを響かせ、立ち上がった。くたりと立ったまま動かないあなたの元へ、草を蹴り飛ばしながら近づいてゆく。)   (5/22 23:23:07)
〆鯖/火津彌 > 「……さしずめそいつは、草薙の剣という訳か?面白い、面白い皮肉やのぉ!!はっはははははははは!!」(火津彌の気持ちとは裏腹に、その笑い声は、手は、小さく震えていた。耳の横ぎりぎりを通り髪を焦がした炎に、顔は地面に落ちる程の汗をかいていた。)「……なんとか言ったらどうや……オウガ。」(返ってきた言葉は以外なものであった。)「……は?」(首を取れ。)「何を……」(今まで何を言われても怒りに変えていた。反骨精神に変え、己を保っていた。しかしその言葉に火津彌は、はじめて動揺の色を見せたのだった。)「……オウガっ……!!」(今にも倒れそうなあなたの髪を掴もうとする。図体の大きいあなたの旋毛を見るのはこれが初めてだ。激昂のままに引っ掴み、そのまま立ち上がらせようと思った。――しかし、その手に触れた固い感覚にぎょっとして声を漏らす。)   (5/22 23:23:15)
〆鯖/火津彌 > 「……っ………!?」(ぐり、と手に当たる岩のような感触。それは小さいけれど、まさしく角としか形容できないもので。『あんたは、何者なんや。』その言葉を飲み込み、己を奮い立たせる。)「……ああ、もう何も言うまい。止めを刺してやる。あんたを殺して、僕は…僕はっ……!!中将にっ……」(『中将に…?』ぐらりと目が泳ぐ。中将がどうした?口走った言葉の続きを紡ごうと息を吸い、呼吸を整える。……ああ、そうや。僕は中将に――)「……なる……そうやっ、中将になるんやっ……!!」(空いているほうの左手であなたの首を掴み、止めの詠唱をはじめる。その声は小さき狐火のように揺らぎ、震えていたけれど。)「……一如、二諦、三相、四智、五行、六道――」(じりじりと手に熱が集まる。詠唱の声は、数が上がるごとに大きく、徐々に叫びに似たものとなっていく。)   (5/22 23:23:20)


骨牌/咲夜 > (煤けたにおいが鼻腔を刺激する。どこかで炎を得意とする魔術師が戦っているのだろう。先の戦いでの傷が癒えぬ咲夜は前線に向かうことはせず指揮を執ることに専念していた。王国が鳳頼に巣食う蝗を退ける前に帝國側に攻め入ってくるとは思わなかった。王国襲来の報が伝えられた時、まさかと呟いてしまったことが咲夜の脳裏に苦い記憶となって蘇る。地図をみれば王国は上下に分断されている危機的な状態であり、交易をおこなうため是が非でも陸路を確保せねばならない状態であることは明白。とはいえ件の事件は帝國と王国の両方に暗い影を落としており、そこへきての鳳頼陥落だ。わけの分からぬ新興の呪を用いるヨズア人を敵にするよりも、これまで何度も小競り合いを繰り返して来た、美虎の防衛戦にて勝利経験もある帝國領を、王都と美虎からの挟撃する方が易しとみたのは仕方のないことだ。お誂え向きにも帝國領のなかで趨里は突出している、攻め入らない理由がない。それでも、なぜかあの国は攻めては来ないのではないか、そう信じきってしまっていたのは密談を交わした男のせいだろう)   (5/23 22:13:52)
骨牌/咲夜 > この咲夜ともあろうものが、愚かな……。(双眸を伏せ、小さく呟いた言葉は「鬼が来るぞ!」という叫び声により掻き消された。鬼――祖国の伝承にもそのような記述が載っていたことを覚えているが、ここでいう鬼は魑魅魍魎のそれではなく、敵国の大将の異名であろう。彼が配置された場所は遠くだという知らせを受けていたが、まさかここまで上って来たというのか。胸に燻る悔恨が頭をもたげようとするのを押さえ付け、咲夜は杖を握りしめると体に走る痛みを堪えて走った。確か彼方には火津彌の阿呆を配置していた筈だ。腐っても佐官、運のない男ではあるが決して弱くはない、だが心配だ。『誰が?』と皮肉げに心が問いかける。一度手を噛まれてから随分と冷遇してきものの、かといってここで失うには惜しい男だと咲夜は自分に告げた。散々目を掛けて来ただけあってここで死なれては寝覚が悪い。炎が上がり、男が巻き込まれそうになる姿が瞳に映った)   (5/23 22:14:05)
骨牌/咲夜 > ――やめろっ!(叫んだが声は届かない。それでも炎は収束し、動くことができたのは火津彌だった。安堵したのも束の間、止めを刺そうとする姿をみて咲夜は同じ言葉を、まったく逆の意味で繰り返していた)……やめろ、もうよい。どうせ死ぬ。(火津彌の傍らにまで歩み寄ると炎の収束する腕を掴み、その顔を見上げた。いつも飄々としてすました顔をしている男が、顎先から汗を滴らせ鬼気迫った顔付きで目を見開いている。戦は人をこうも変えるのか。魂の叫びのような火津彌の声は咲夜のもとへと風にのって届いていた。咲夜は眉根を寄せると戦への嫌悪感から火津彌の顔を直視できず、視線をオウガへと移した。気を失っているオウガにこの声は届かないのだろう、けれど告げておきたい言葉がある)   (5/23 22:14:24)
骨牌/咲夜 > 神島のことは申し訳ありませんでした。わたしとて貴方様を裏切りたくはなかったのです。……神島の礼だ、遺体は王国に五体満足で返してやれ。(最後にそう静かに告げると咲夜は手を離し、火津彌に背中を向けると杖を突きながら歩き出した。戦さえなければ火津彌と袂を分かつこともなくいられたのだろうが、この座を狙おうというならば受けて立たねばなるまい。咲夜にはこの座に執着する理由があるのだから)よくやった、……佐官殿。(その声音は真鉄に声をきかせたかのように冷たく響き渡った)   (5/23 22:14:34)


〆鯖/火津彌 > (咲夜の静止が草原に響き渡った。火津彌の意志とは裏腹に支配せんとするかの如く心を埋め尽くす彼の存在に囚われすぎて、幻聴でも覚えたのかと、一瞬。聞こえないふりをしてオウガの首をぎりぎりと締めながらそれを燃やそうとしていた――しかし、静止の為もう一度こちらの腕を掴む姿をはっと捉えれば、否応にも呪文の詠唱は止まってしまった。)「……中将っ……!何故っ……!」(掠れた声で動揺の声を漏らす。どうして此処に来たのか、そして、何故止めるのかと。今にも爆ぜそうなくらいにばくばくと跳ねる心臓と情動。切なくて、もどかしくて、苦しくて、気が狂いそうな焦燥感を持て余して、火津彌は上司である咲夜をいつのまにか強い眼差しで睨みつけていた。よろよろと手を離し、まだ熱さの残る指先が震えるのをもう片方の手で静止しながら。――どうして自分はこの方に逆らえない?――……聞こえているかどうかもわからない相手に語りかける咲夜を目の当たりにし、横から震えた事で言葉を挟む。)   (5/25 23:00:45)
〆鯖/火津彌 > 「……裏切りたくは…なかった……?」(その声は小さく、誰にも聞こえないものであったかもしれない。咲夜のその本心を薄々とは感じていた火津彌であったが、今の今まで認めたくないと思っていた事をはじめてそこで、知るのだった。)「……中将……」(咲夜が火津彌から視線を外して歩みだすと、彼はもはやオウガの側を離れる事も、咲夜の後を追うこともできずに立ち尽くす事しかできなくなっていた。……何より、最後にかけられた一言は彼にとって、あまりに残酷で、強すぎる呪縛の魔術だったのだ。)「……中将……っ。……僕がっ、僕が殺したんですっ…!僕がっ…僕の手柄や、くそっ…くそぉおっ…!!」   (5/25 23:01:01)
〆鯖/火津彌 > (咲夜に聞こえるように叫ぶわけにはいかない。その座を脅かそうと野心を秘めていると思われて、今以上に敵視されては、もう。……絞り出すような声で、掠れた喉を震わせてその情動を体の外に出そうといった、悶絶であった。葛藤であった。――お願いだ。『よくやった』だなどと、そんな声で、簡単に――……)「……畜生……畜生ッ……!!ぐうぅっ……!」(咲夜の姿が見えなくなった頃。両の手で激しく頭を掻き乱し、火津彌の長い髪をまとめていた白い紐が、ぱさりと地面に落ちた。)一旦〆   (5/25 23:01:06)