この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

酒は詩を釣る色を釣る

(火津彌&梟)

〆鯖/火津彌 > (【酒は詩を釣る色を釣る/尊華帝國帝都榮郷にて】「……はぁ、どいつもこいつも……。」(火津彌は軍服の黒いコートの袂をばたつかせて、足早に花街を歩いていた。事情により守山防衛に参じる事が出来なかった埋め合わせでもさせられているかのように、このところは何時にも増して部下の世話等の雑用じみた職務ばかり。今から顔を合わせる梟という兵は中でも厄介で、職務中に酒をきこしめしている事に対する呼び出しを大胆にも何度かすっぽかしていた。酒の一杯でも奢ってどうにかこうにか懐柔するという訳にもいかなさそうなあたり、ひねくれている分うつけの竜灯より質が悪そうだ。考えているうちにいきつけの呑み屋との情報があった場所にたどり着き、店主には『ここに帝國軍の兵が世話になっているな。』とだけ告げてどかどかと二階へと上がりこんだ。店主は火津彌の軍服姿に一瞬萎縮したようで、何も言ってこなかった。)「……おい!お迎えに上がったぞ。お大臣。」(あまりキレのない皮肉を放ちながら、座敷に声をかける。)   (5/12 17:13:34)


ミカ@梟 > 「(行きつけの酒場。何時からここに居ただろう。太陽が目を張り照らす日中、本来なら職務がまだ残っている筈だが、梟は時間を肴に怠惰を混ぜて、酒瓶片手に強い酒を煽っていた。酒を一口含ませれば、まるで牛が反芻するかのように薄い幸福と時間をかけて、堕落が消化されていくのを楽しむ。熱い罪の味が喉を過ぎていけば、火のような息を吐いた。くらりと頭が揺れる様な気がしたが、それが心地いい。ふわふわと軽くなった意識をのさばらせて、手元に置いていた煙草を手に取った。マッチを擦り、それを炙る。先端を煌々と光らせれば肺を満たし、満足気に紫煙を燻らせた。立ち上る煙が明かりの元で幾何学的な模様を描き、消えていく。臭い煙草の煙に包まれて、彼の穴の空いた心は、ゆっくりと満たされようとしていた。このまま一日が終わってしまえば──、そう、拙い望みを得た直後だった。)……これは、左官殿。俺に何か用ですか。貴方の望むものは、ここにはありませんよ。(目線は机の上に落としたまま自虐の様な笑みを浮かべ、言い放った。」   (5/12 17:41:23)


〆鯖/火津彌 > (黄燐の燃えた独特の匂いの中、太陽光に照らされた煙の中に身を隠すようにして佇んでいたあなたは、その輪郭も、言葉尻も、笑みさえも薄っすらとしていてどこか気怠げだった。上司である火津彌に対してものらりくらりと虚ろな返事を返すのは、酔っているからなのだろうか。火津彌はふうと鼻から息を吐き、つかつかと歩み寄ってあなたの前に立膝でしゃがみ込むと、銜えている煙草を奪い取って自分の肩よりも高くに上げて。)「……遊冶懶惰の極みやな。もう、気ぃは済んだんと違うか?……私の望むものが何か、知ったような口をききやがって。勤勉な部下とでも言うと思ったか?放蕩もん。」(あなたから奪い取った煙草を素手の指の先でもみ消し吸い殻を灰皿に置くと、机の上にあったおしぼりで指先を拭く。)「…火傷したわ。」(本部に戻れ、と言うのは簡単だが。それでは根本的解決にならないだろう。どっかりと腰を下ろし、軍帽をぱさりと脱いで居直りを決め込む。やれやれ、厄介な仕事を回されたもんやわ。)   (5/12 18:24:58)


ミカ@梟 > 「(煙草の居なくなった手をちらりと見やると、そのまま膝の上へ置いた。物寂しそうに1、2回とん、とん、と指先で叩くけば、憂鬱に染み込ませたような顔を目の前の左官へと向けた。言葉の反響する脳内、淡々と、そこから滲み出るように湧き出た言葉が口から吐き出される。)気が済んだかって?──見りゃわかるだろ。“お取り込み中”だよ。説教たれるつもりなら別の日にしてくれ、左官殿。勤勉なんてもんはどっかに捨ててきちまったんだ。(礼儀もクソもあったもんじゃない。煽るように首を傾げれば、手を伸ばして酒瓶をこちらへ寄せた。やる気の無い態度、無気力に酒瓶を傾かせれば、そのまま口へと流し込んだ。熱く、喉を焼くように、酒を胃に注ぎ込めばかっと熱くなる腹の底。ぐらぐらと押し寄せる浮遊感に笑みを浮かべ、『あんたも飲むか?』なんて巫山戯た口調で酒瓶を上司へ向けていた。)」   (5/12 19:25:19)


しめ鯖/火津彌 > (まるで、こちらを挑発しているかのような態度。上司である自分を前にしても全く怯むことなく発せられる梟節に、火津彌は腹の中でまた苛ついた炎を燻らせていった。)「別の日…?…一体何十年先になる事やら。」(首を傾け、癖のあるあなたの髪がぱさりと顔にかかる様を見つめる。うざったいその髪引っ掴んでみなまで今すぐお説教してやろうか。いや、駄目だ。落ち着け。自分を律するように奥歯をぎり、と噛み締めて、なんとか上司らしい言葉を取り繕おうとしてみる。)「……そんなに死に急ぐように呑んで、どうした。そのままでは身体がもたんぞ。……何がそんなに呪わしい。同じ死ぬなら戦場で死にたいとは………」(聞かせる気があるのかないのか、ごく小さな声で呟く。あなたのほうもこちらの話を聴いているのか聴いていないのか、言っているそばから酒瓶ごと煽っていた。極め付けに放たれたふざけた台詞に、とうとう火津彌は)   (5/12 20:23:26)
しめ鯖/火津彌 > 「………大概にせえ!」(向けられた酒瓶をなぎ払うようにして手で弾き飛ばす。酒瓶は座敷に転がり、がしゃんと音を立てて近くにあった空の皿を割った。中にまだ残っていた酒はみるみる畳に吸われていく。行動とは裏腹に、火津彌の頭はどこか冷静だった。地雷を踏まれた訳ではない、青二才のする事がそこまで癇に障ったわけではない。これは教育や。上下関係を解らせるために必要な事や。そう自分に言い聞かせれば、すう、とみるみるうちに瞳に青き冷たさが宿っていく。)「……ぐたぐだとお前の管巻きに付き合ってる暇は無いんや。中身のない話はもう結構。何が不満だ?軍か?新しい元帥か?それとも私か?え?よもや戦争とは言うまいな。」   (5/12 20:23:38)


ミカ@梟 > 「(ガシャン、そう音を立てて散った酒瓶。畳に大きく染みを作る酒を、横目でチラリと見やった。──ああ、勿体ない。煙草も、酒も、彼のしょうもない拠り所は奪われた。何も残らぬ身の回りに、諦めたようにガクッと項垂れると、それから足に降り掛かっていた煙草の灰を払い、つぶやくように言う。)俺はね、左官殿。戦場で死のうがここで死のうが変わらんのですよ。結局ただの死体に成り下がるだけ。だったら死ぬまで楽な方を取ったっていいじゃねぇか。俺みたいなのにゃ、何も残せやしねぇ。(途端に紡がれた哀愁を孕むその言葉は、どこか人生に対する諦めのようなものを感じさせる。死んでしまえば終わりだ。国の為に、民の為に、愛する人の為に。それらの為に何を賭けようと、それが死体になってしまえば関係ない。簡単に、夢のように消えてしまう。守ろうとしても、結局守れない。──それならば、この人生に意味などあるか。)」   (5/12 21:13:09)
ミカ@梟 > 「言っちまえば、全部が不満だよ。あんたも、軍も、元帥も、戦争も、俺自身も。どうしようもないくらいに、大っ嫌いだ。(静かに、けれども力強く、奥歯を噛み締めながら言った。ふつふつと沸き立つ心の底は、怒りというものを炙り出しては口から吐き出させていく。なにを偉そうに。お前に何がわかる、そう言いたげに、陰鬱な目線を目の前の上司へと向けるのだ。)」   (5/12 21:13:11)


〆鯖/火津彌 > (力なく項垂れたように見えた梟であったが、紡がれた呟きはまさしく、火津彌の望むものであった。はぐらかされて、煙に巻かれるよりは本性がちらつくような台詞がよっぽど好ましい。本部に戻れば幾らでもそういった皮肉の応酬を耳に出来るのだから。これが酒という針で釣り上げた詩であるならば、その甘美なる水に感謝しよう。――私も、それが心底嫌いという訳ではない。)「……お前自身も。か?」(人は本音を必ず最後に隠す。これがあなたの本音であるとするならばこのからっぽな遊冶懶惰など全てに納得が行くような気がした。……こいつが逃げようとしているのは、己の無力さからか。中身のなさそうな言葉を選びながらもそれでも言葉を紡ぐ事をやめないのは、恐らく。――淋しいのだ、引き裂かれそうそうなほどに、無性に孤独でたまらないのだ。火津彌は決して察しの良い方でなかったが、もうすぐ三十路ともなれば読み取るなという方が難しい。……否、自分にも覚えがあるのだ。)   (5/12 21:55:48)
〆鯖/火津彌 > 「……産まれた時から、心の底から、國や民の為に働こうと思う馬鹿はおらん。皆己を教育するのだ。兵として生きていく為に、そうしなければ狂ってしまうからや。大義名分というのは戦士を酔わせる体の良い酒という訳や、わかるか、梟。」(こちらを睨みつける眼差しをまっすぐ見据えて火津彌は答えた。説き伏せよう、諭そうなどとは思っていない。殴りたければ殴るがいいという気持ちを込めて、睨み返しながら。)「崇拝するもの。…お前の言葉を借りれば、愛する人か。……それに賭けるものなんて一つしかないやろ?『何を賭けても死体になれば同じ?』…そら、お前が生半可だからや。正気なんて賭けるな。未来なんて賭けるな。矜持なんて賭けるな。誇りなんて賭けるな。勝利なんて賭けるな。僕ら軍人が賭けるべきものは――いや、賭けられるものはたった一つ。命のみや。」   (5/12 21:55:53)
〆鯖/火津彌 > (押し付けがましさすら感じられるような一方的な持論を展開した後、ようやく徐に腰を上げて、自分が転がした酒瓶を拾いに行って。)「……よっぽど喉が乾いとったんやなぁ、この畳も。まるで”狂い水”の中毒患者のようやと思わんか。あれ、お前も大変やったそうやな。」(振り向き、座り込んでいるあなたへ上から眼差しを向ける。『兵を酔わせる大義名分の酒なら、お誂え向きのお方がおるやろ。仮初めの忠誠でも、ほろ酔いくらいにはなれるぞ。』…その言葉を言うには、やはりまだあなたという人物が解らない。喉まで出かかったそれをごくりと飲み込む。自分がそれにはどうもなれそうにもない力不足も、また歯がゆくて。)>梟さん


ミカ@梟 > 「(流れ込む言葉、循環する脳内、しっかりと咀嚼してから飲み込んだ。)あんたの言う通りだよ、俺ァ生半可で中途半端なクソったれだ。ろくに大義も果たせねぇダメ人間、そんなことはよーく分かってる。(項垂れた梟の口から零れたのは、手首を掻く様な自虐。自分が出来損ないの様に語るそれは、まるで煙草の煙のように消えてしまいそうだった。)だがな、そうやって自分を騙して大義名分だ忠誠だって、死んでいく奴らを見てると無性に腹が立つんだよ。(ギリ、と爪がくい込むほどに握られた拳。ふるふると震え、今にも崩れてしまいそうな身体は、内から燃え上がる怒りで焼かれそうだ。)大義名分の為に命を賭けるのが真っ当か。結構、そりゃご立派な考え方だ。だったらそのまま大切な大義とやらの為に死んじまえばいい。俺にゃ真似出来ない。大義名分の為に死ぬなんざクソ喰らえ、だ。──わかっちゃくれねぇか、火津彌。お前に口説かれるつもりはねぇぞ(酒瓶を手に取る上司を眺め、煙草を手に取った。カサ、と音を立てた箱の中身は既にがらんどう。口寂しさに唇を噛めば、固く握っていた拳をゆっくりと開いた。)」   (5/13 00:04:11)
ミカ@梟 > 「人の命なんつうもんは、簡単に賭けていいもんじゃねぇ筈だろうが。これが甘えなんて事はよく分かってる。でも、受け入れたかねぇんだ。(死んでいった仲間の顔が、今でも鮮明に浮かび上がる。本当に死ぬ意味はあったのか。死んで何が得られたのか。そんなこと、梟には微塵も理解出来ていない。)──こんなに悩んじまうようならいっその事、狂い水で俺も死んじまえば良かった。(唇を震わせる程しか声は出ていない。だが、その言葉にどれだけの思いが込められているのか。指先で腹をなぞると、なぜ中途半端に突き刺したのか、後悔に押し潰されそうになる。仲間の待つ地獄へ、一番近づけたというのに。)」   (5/13 00:04:13)


〆鯖/火津彌 > (堰を切ったように溢れ出すあなたの言葉は支離滅裂のようにも思えて、とかく頑固だった。酒に酔っていても自分を曲げる気だけは一切ない芯の強さはまさしく、いかにも火津彌の気に入りそうな尊華の男そのもの。上司である自分を呼び捨てにし、『口説かれるつもりはない』ときたものだ。口角をにやりと上げ、何かを言おうとしたその時だった。)「………。」(赤裸々に、露わになるあなたの葛藤。酒に逃げているなどとわかったような考察を繰り広げた己を思わず恥じ入らずにはいられない程、火津彌は未だ苦悶に溺れきっていたあなたの心の片鱗に触れてしまったような気がした。)「…………私の事は佐官と呼べ。」   (5/13 00:44:57)
〆鯖/火津彌 > (長い沈黙の後ようやく振り絞るように出された言葉は、あなたの見せた腹の内に対し、なんの答えにもなっていないかのように思えた。しかし、あなたには知る由もない事だが、少なからず火津彌なりの決意も含められていて。――尊華帝國軍佐官。将官に次ぐ役職で、軍人達の指導役を兼ねており、指揮力が求められる。火津彌はあくまであなたの上司として、とことんまでその心の病みに付き合おうと、今この瞬間に腹を括ってみせたのだった。)「口説かれるかどうか決めるのはまだ早計かもしれんぞ。……お前はあまりに遊び方を知らなすぎる。逃げ道が酒と煙草と戦場しかなければ、鬱屈するのも当然や。……少し、私も喋りすぎた。明日は本部に顔を出さんでもええ。」   (5/13 00:45:11)
〆鯖/火津彌 > (ふい、と顔を逸らして、あなたを解放する為に、一階のほうへ降りる階段へ向かいながら。時折地が出るたびに漏れていた子供のような一人称を改めて軍人らしくただした後、軍帽をかぶり直して。)「その代わりすこし付き合え。花街のいろはを一から教えてやる。」(一兵卒と思い侮っていたようだ。『紅翼の蒼』を相手に一撃で懐柔しようというのが端から甘かったのだ。母親譲りの切れ長の瞳であなたを一瞥すると、返事はきかずその場を後にしたのだった。)〆   (5/13 00:45:17)