この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

弓張月の笑顔

(ヴァンジャンス&婀娜)

大和守.ヴァンジャンス > 「────」(──カツン、と固い音が静かな廊下へ鳴り響く。普段ならば人気が多く、静まる事など殆ど無いであろう場所ではあるが、現時刻はもう月も沈んできた頃合い。自ずと人も減ってくるのであろうか。まだ起きている者達も、少ないとは言えないだろうが朝昼よりは減っている事は否めない そんな起きている者の一人、この場所──ウェンディア聖騎士団本部、その聖騎士団の頭である女性──ヴァンジャンスはふと、廊下に取り付けられた窓から上を見上げる。月を見つめるその双眸、それと同じ色に輝く黄金色。優しく儚く地を照らす月光に照らされ、ヴァンジャンスの白と金の髪が輝く。まるで絵画の様なものが出来上がっており、それでいて其は何処か儚いもので。)   (5/12 00:25:55)
大和守.ヴァンジャンス > 「…………──失敗したっていい、か……。……ふ、あんなにも早く見抜かれるなんて、……思ってもいなかったな」(不意に、ため息を一つ。次いでぽつりと、噛み締めるかのように呟いたのは、自分の心を溶かした男の言葉。あんなにも早く見抜かれ、あまつさえ氷を溶かされてしまうなど、考えてもいなかったのだろう。しかし、その男の言葉は彼女の救いにもなっているのだ。其が無ければこうして月を見上げる余裕すら無かったはずだ……。まるで惚けた様に月を見つめる。その彼女の雰囲気は、就任式で『誓いの宣言』を言い放った時よりも柔らかくなっている。刺々しい、氷の様なものが薄れていたのだった。)   (5/12 00:26:03)


山葵:婀娜 > ……おや。団長、こんばんは。(月明かりの下に晒される、金色混じりの白銀が靡く。絵画のような美しさを含んだその姿は、どんな者でも固唾を飲む程に美しい。)団長も、眠れないのですか?…もし違ったら恥ずかしいけれど。(団長”も”、と尋ねているのを聞けば、どうやら彼も眠れないようだ。例え夜、誰にも見られなかったとしても彼は化粧を欠かさないようだ。そこは彼なりのこだわりなのだろう。此方も高いヒールの渇いた音を地で鳴らしながら、ヴァンジャンスの側へと近寄る。その女性と大差のない端正な顔立ちと、少しだけ低い声。油断していればするりと蛇のように人の心の中へと入り込んでくる、掴み所のない男が彼女を見つめる。)…団長、夜は好きかい?……ボクは好きだよ。醜い物が、見えなくて良い。(まるで意図の読めない質問を投げ掛ける男の目は夜の闇のように真っ暗で、その瞳にヴァンジャンスを写した事で銀色を帯びていた。)   (5/12 09:36:53)


大和守.ヴァンジャンス > 「……嗚呼、そうだな。少しばかり考え事があってな……眠れんのだ」(不意に声を掛けられれば僅かに肩を揺らす。月に意識が行っていたせいで、足音や気配に気付かなかったのだろう。ふと貴方の方を見ては、ヴァンジャンスは何だお前か、というかの様に一つ息を吐いて。次いで、尋ねられればそれに返答して。『考え事』。それはきっと、この聖騎士団の事だろう。今後どうしていくべきかなど、考えることは多くあるが──何よりも、他の騎士達への接し方。それが今、ヴァンジャンスが一番悩んでいる事だ。あんな『宣言』の後だ。少なからずそれを疎んでいる者達や恐怖している者だって居るのだろう。だが、今のヴァンジャンスは少しばかり考え方が変化している。ある男に救われたから。氷を溶かされてしまったから。それによる変化が、こうして貴方の言葉に冷たくではなく、普通に返答しているからだ。それに加え、貴方が近付いてきた事にも何も言っていない。溶かされる前ならば、貴方の質問にも冷たく応じていた。今はそれが、幾分柔らかくなっているのだ。)   (5/14 01:49:15)
大和守.ヴァンジャンス > 「…………夜か。そうだな……好きでも嫌いでもない、と言っておこう。つまりは普通だな」(まるで意図の読めない言葉を聞いては、貸微かに怪訝そうにしながらもそう返答して。何故今そんな質問を投げ掛けられたのかが疑問でしかない。しかし、それでも冷たく遇わず、こうして答えている。ヴァンジャンスとしては夜よりも朝の方が好きらしいが、それは口にしない。質問されれば素直に答えるが、必要な事しか口にしないのはどうやらまだ変わっていないらしい……。)   (5/14 01:49:23)


山葵:婀娜. > …!……そっかそっか(すんなりあしらわれると思っていれば、話に応じた騎士団長に少し驚きの表情を浮かべる。少し前はもっと、ピリついた気を纏っていたが、今はそれが和らいでいるようにも感じた。何かあったな、などと考えつつ考え事があり眠れない、との言葉の耳を傾ける。)…恐れ多くも、そのご相談に乗らせて頂いても?(そう敬語を紡ぎ口角を上げる。月明かりに揺れる真っ赤な口紅が、弧を描いた。)…普通。成る程。……嫌なことが有れば、夜が包んでくれる。悲しいことも、妬ましいことも、苛立つことも。…どうかな、尊華とウェンディア、二つを紡ぐ糸となる星…。…そんな僕に一つ、感情を撒けてみるのは。(やけに長い言い回しだが、要約すると彼女の話の聞き手となりたい様子だ。怪しさを増す彼の口調も、全て夜風に呑まれていき辺りは静寂が支配する。)   (5/14 02:04:00)


大和守.ヴァンジャンス > 「…………では、一つ話してみようか」(自棄に長い言い回し。それを聞き、ヴァンジャンスはしばし考えるかのような素振りを見せて。あんな『宣言』をした後なのだ。そんな自分が彼に話しても良いのだろうか、と不安になってしまうのだろう。だが、貴方が相談に乗ろうかと自ら言っているのならば、それも良いかもしれない、と結論を出す。そして、やや何かを迷うようではあったのだが、決心したのか口を開いて。)「……まぁ、考え事と言っても大したものでは無いのだが……。……ほら、先日の『就任式』の事があっただろう。……その、どう接して良いのかと、そう思ってしまってな……」(──相変わらず彼女は口下手らしい。そこは何時までも変わっていないようで、やや漠然としない説明を口にして。それはヴァンジャンス自身も気付いているらしく、もっと良い説明は出来なかったのかと胸中で自身に呆れる。こんなもので伝わるのかと、何ならもう一度最初から説明するべきなのではないかと思考しつつ、彼女は静かに月夜を見上げていて。)   (5/14 02:22:44)


山葵:婀娜. > ふむふむ……(先日の一件。あれは確かに、強烈に記憶に焼き付いていた。決心したように此方に事情を話す彼女は、少しだけ眉間に寄っていたシワが和らいでいる。しかしそれは、人の表情を読むのに長けた己でも分からないくらい微細な変化であるし、一般の騎士達にそれが判断出来るとは限らない。彼女を見ればさっさと何処かに隠れてしまう騎士だって少なくは無いだろう。)…騎士達の為を思っての発言だったんでしょう?…あの時の貴方は、とても子供のように思えてしまってね。…それも優しさ故の、冷徹さ。(失敗を恐れる彼女の姿を褒められようと背伸びする子供に重ね合わせる。しかし純粋な、騎士達を守りたいと言う気持ち   (5/14 02:33:48)


大和守.ヴァンジャンス > 「…………こ、子供……そ、そうか……」(意図が読まれていた事よりも、“子供”という言葉に反応する。貴方から見たらそんな風に見えていたとは思っていなかったらしい。彼女は苦笑を浮かべ、だがすぐにその表情を変える。何かを憂うかのような、そして何処か疲れたような色も混じる表情を。)「……まぁ、全員に理解されずとも良いのだが。一部の者だけでも理解してくれていれば、それで良い……」(──そもそも、彼女はあの言葉の理解されることを期待してはいなかったのだ。喪う事を過度に恐れ、そこから出てきたのがあの言葉。それを理解されることを期待してはいなかった。むしろ、あのような感情任せに考え付いたあの言葉。あんなもの、あのまま理解されずに朽ちていけば良かったのだ。──だが、貴方はそれを見抜いた。ヴァンジャンスの氷を溶いた彼も、きっと分かっているのだろう。情けないなと胸中で自嘲しつつ、彼女は月を見つめ続ける。その穢れなき光を、羨むかのように。)   (5/14 02:59:28)


山葵:婀娜. > …ふふ、少しだけですから、そう気負いせず。(苦笑いを浮かべるヴァンジャンスにそう言葉を掛ける。直ぐに表情を険しいものへと変え、疲れの混じった表情を浮かべるヴァンジャンスには少し唇を噛む。…何だ、そんな表情も出来るのか。…願わくば、自分にだけ見せて欲しい。)……なればまた、宣言すれば良い。「己の命を第一に考えろ」と。当たり障りの無い言葉は人を警戒させうる。…貴方が、いかに騎士達の身の安全を願っているかを説けば良い。…その時には、ボクが言葉のトゲから貴方を護る盾になって魅せよう。(簡単な事ではない、それは知っている。だからこそ、それを彼女自身が言わなければならない。彼女が受けるどんなことでも、己が盾となり受け止めよう。そうして彼女を本当の意味での騎士団長にするのだ。厳しさの中に溢れる優しさが、今の彼女にはキチンとあるのだから。)   (5/14 03:08:40)


大和守.ヴァンジャンス > 「……そうか、……そうだな」(貴方の言葉を聞き、ヴァンジャンスはそれを噛み締めるかのように数秒瞳を綴じる。再び瞳を開いた時には疲れたような表情は浮かんでおらず、今まで悩んでいたものが解消され、微かに晴れやかとなったものがそこにはあって。仲間に救われてばかりだな、とそうも思う。彼に氷を溶かされ、貴方に悩みを解決してもらって。助けてもらうなど、ましてや頼るなどと、ヴァンジャンスの記憶上では殆ど無い経験だ。……だからこそだろうか。何時もは動かない表情筋が緩み、笑みを浮かべそうになってしまう。)「…………有難う。今日は、よく眠れそうだ」(緩むのを止める事も無くそのままにしておこうと、ヴァンジャンスは微かに笑みを浮かべながら感謝の言葉を口にして。笑みなど、他人の前では殆ど見せたことがない。騎士達にもそれは一度も見せたことがないもので──つまりは、笑みを見せるのは貴方が初めてだ。その事にヴァンジャンスは気付いていないのか、特にそれを気にした様子も無く。熟、色々と可笑しな所が抜けている団長だ。)   (5/14 03:30:19)


山葵:婀娜. > ……ふふ、どういたしまして。(よく眠れそうだ、その言葉と共に緩む頬。彼女の笑顔はこの月よりも美しくてつい見惚れてしまう。とは言えあまり長々と女性の顔を眺めるのも無礼だろう。緩みっぱなしの彼女を時折半目で見つめながら、金色の光を紡ぐ月を見つめる。夜空にぽっかり、穴が空いたようだった。)……良い顔になりましたね、団長。(少し危なっかしく、少し抜けていて、優しい心を持った彼女。…どうしても、守りたくなってしまう。その金色の髪が月明かりを反射し、それが眩しくて思わず目を細めた。)   (5/14 03:44:46)