この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

出会い

(咲夜&糸蜘蛛)

あくび。/糸蜘蛛 > …ふむ、何だ、久方ぶりに戻って来た気がするな。(尊華帝國…彼の生まれた場所だ。言わば彼の故郷であり、今もこの國に彼の家族が暮らしているはずである。何かの不幸で命を落としたりしていなければ、の話だが。入口である門を潜った先で、彼は久しぶりに舞い戻ってきた故郷の香りを全身で堪能するかのように、一度大きく息を吸い込んだ。どこか懐かしさすら感じられるのは、それほどの時間、彼が尊華帝國を訪れていなかった証である。しかし、久方ぶりと言っても実際の時間経過で言えば精々ひと月かふた月程度のモノ。長い人生の中で見れば相当に短い期間の間では、帝國内にも特にこれと言った変化は見られない。もしかしたら、帝國内のどこかには微々たる変化、些細な変革などが起こっているのかもしれないが、流浪人である彼がそれを知る由もない。数度の深呼吸を行った後、彼はカラン、コロンと一定のリズムで鳴り響く下駄の音を街内に小さくこだまさせながら街道を歩き始めた。)   (5/10 23:06:47)
あくび。/糸蜘蛛 > やはり居心地は悪くない。とは言え、生まれ親しんだ場所である故、それも当然と言えば当然か。(故郷に帰ってきたことで少しばかり気分が高揚でもしているのか、口数はいつにも増して多くなる。今だって、隣を誰が歩いているわけでもないのに独り言として上記を紡ぎ、挙句“居心地が悪くない”などと至って当然の感想を抱いた自分に小さく笑いまで零している始末だ。周囲の人が目にすれば不審者として映りそうなものだが、人の行きかいが激しく、皆慌ただしそうにどこかへ向かっていくこの街道で、彼の行動を逐一観察している者など恐らくいない。宛もなく行き先もなく、地を踏みしめる度に感じられる尊華帝國の空気や雰囲気に神経を研ぎ澄ますかのように黄金色の双眸を閉じ、街灯と月明かりに照らされて仄かに明るい街中を歩み続けるのだった…──)   (5/10 23:06:50)


骨牌/咲夜 > (提灯の灯が風に揺れる夜。夏も近付く夜ともなると暖かな気温が寝苦しさを誘い、散歩でもしようかと淡紅梅に淡萌黄を重ねたいわゆる『杜若』と呼ばれる狩衣姿で、少女めいた姿には似合わぬ杖を片手にゆっくりとした歩調で夜道を歩く。季節にあわせて伸ばした髪を高く結い上げてはみたが、それでも元が地を擦るほどに長ければ腰の辺りで狐の尾のようにふわりとゆれて、その重さに双眸を細め手櫛で梳こうとしたその時だ、灰銀色の瞳に映ったひとつの人影。顔かたちは尊華人のようであるが問題になるのはその腰から下げられた拳銃、まったくと首を横に振れば歩調を速めて貴方の影に追いつこうか)……そこな御仁、止まられよ。異国からの旅人がこのような夜更けに何事でしょうか。(そうして貴方の背中をけぶるような睫毛の下から見上げれば静かにそう囁こうか。並み大抵のものならば確かに貴方の動向に気をとめることもなかっただろうが、わたしは軍人。帝都への攻撃があったばかりともなれば見逃すことも難しく、問題が起きないことを祈りながら貴方が動くのを待った)   (5/10 23:21:26)


あくび。/糸蜘蛛 > ん?おやおや、今回の帰郷はお迎え付きか?俺も出世したものだな、はははっ。(突如、自身の背後から声を掛けられた。異国からの旅人、と言う言葉が聞こえた故、最初は自分ではない他の誰かに声を掛けているのかと思ったのだが、余りにも聞こえてきた声が自身の近くだったがために、恐らく自分のことだろうと言う判断を下すこととなった。それにしても、異国の旅人とは酷い言われようである。確かに自分は流れ者だが、それでも尊華帝國の人間に相応しい容顔や格好をしているつもりだ。一体、自身のどこに“異国”などと言われる点があろうか…──そこまで考えて、彼はふと自身の腰に携えられている銀色の得物に目をやった。なんせそこに拵えられていたのは、明らかに尊華帝國では手に入らない形状をした“拳銃”だったのだから。これか!これのせいか!などと思いながら、しかしそんな動揺を表に出すことはせず、声のした方へとくるりと振り返って声の主と相対する。)   (5/10 23:33:54)
あくび。/糸蜘蛛 > それに誰かと思えば、軍の中将官殿では無いか。ふむ、やはり風の噂や遠目で聞くよりも美しい。(自身のことを見逃さず、声を掛けてきた曲者が誰なのかと、黄金色の眼でその姿を認識したところで、彼のその眼は驚きを示したかのように僅かに見開かれる。軍人と言っても、ただの一兵卒であれば、彼がその表情に驚愕の感情を滲ませることは無かった。だが、そこにいたのは軍人としての立場上、上から数えた方が早い役職に座る存在であり、そして間接的や遠目ながら見聞していた情報よりも数段麗しい女性の姿だった。ほう、と感嘆混じりの声と共に、口元に小さく弧を描いて笑みを浮かべる。これはまた、帰って早々とんだ大物との邂逅を果たしたものだ。運命の悪戯とは時に恐ろしく、愉快なモノよな。)   (5/10 23:33:56)


骨牌/咲夜 > (男の手が腰へと動いた。咲夜は僅かに双眸を細めていつでも呪を唱えられるようにと唇を薄く開く。遠目からみて若い男であったがその見立てに間違いはないようで、銃を撫でる指先には若さが感じられる、二十代くらいだろうか。余裕めいた笑い声が夜闇に響き、遠くを歩いていた人が足を止めてこちらを振り返るのが視界の端に映り、舌打ちしたくなる気持ちを堪えつつ苦々しい表情のまま此方を振り返った貴方と相対した)……えぇ、お察しの通りです。わたくしは尊華帝國中将官、香々夜家の咲夜。ゆえに貴方のそれを見逃すわけにはゆきませんでした。先ほど帰郷と申しましたが、いずこへのお帰りですか?   (5/10 23:54:38)
骨牌/咲夜 > (振り返った男の容貌は妖艶。男に使う表現として適切ではないのかもしれないが、目元を飾る泣き黒子と月光を受けて輝く銀髪、野生の獣めいた油断ならぬ金眼がそんな感想を抱かせた。口元を彩る貴方の微笑を見れば、眉間に刻まれた皺が深くなる。声を掛けた相手がこの咲夜に声と知って怯えないだけの場数を踏んできた男なのだろう、これは厄介と周囲に聞こえぬよう声量を落して更にその出生を探るべく問いかける。軍の上層部に身をおいている身であれば美辞麗句は聞き慣れているため貴方の浮ついた言葉には眉すら動かさず、両手で杖の頭を掴むと挑むようにその金眼を下から睥睨した)   (5/10 23:54:47)


あくび。/糸蜘蛛 > さくや、咲夜か…。心地良い響きだ、実に良い“字”をしている。(まるで本筋から話題を逸らすかのように、彼は彼女からの問いかけや質問に応じる様子を見せない。告げられた相手の“字”を反芻するように二度、声に出して繰り返し、首を小さく縦に振りながらに彼女が付けたのだろう字を賞賛する。それが本心なのかどうかは、彼のこの流れ者に相応しい剽軽とした立ち振る舞いの奥にある、彼の心の底を見ることができて初めて目に出来るモノ。自身の感情を相手に悟らせないことを意図しているかのように、軽薄な笑みを浮かべながら糸蜘蛛は彼女の様子に首を小さく傾げて見せた。)   (5/11 00:05:07)
あくび。/糸蜘蛛 > 何をそんなに警戒する必要がある。眉間に皺まで作って、折角の美人が台無しだぞ?咲夜。(出生、目的、素性。相手がこちらに対して探りを入れたい箇所が数々あれど、彼はその一切を語る素振りを見せない。緊張、警戒。どちらかと言えば敵意に近い感情を自身に向ける彼女をどこか諭すように、或いは無駄なことだと揶揄うように茶化した言葉を返答として紡ぎ出していくだけだった。──それにしても、俺の身内は“こいつならば出し抜ける”と想定して俺を“中将官まで登りつめられる”などと評したのか。今思えば、随分買い被られていたな。などと胸中で呟きながら、こちらを真っ直ぐに見上げる彼女を彼もまた、真っ直ぐに見下ろす。周りの様子も、相手の心理すらも意に介さない。彼はどこまでも流木だ。ある意味でそれは、究極の自分勝手とも言えるのだろう。)   (5/11 00:05:08)


骨牌/咲夜 > (求めた答えを柳に風とはぐらかす貴方の振る舞いに、咲夜は人差し指を動かしカツカツと杖を叩く。さてこの男の化けの皮を剥がすにはどう攻めようか、笑みに彩られた唇が此方の名前を繰り返すのは自分の名前を告げたくはないからだろう、小首を傾げるようすもどうにも演技臭い。生意気な子供を躾けるには尻を叩くのが昔からの習いであるが、従来で魔術を使うのは出来れば避けるべきであり、紅唇の隙間からふぅと溜息に近いちいさな吐息を吐き出すと、此方をまっすぐ見返して来た貴方の視線から逃れて視線を月へと向けた)   (5/11 00:27:35)
骨牌/咲夜 > ……今宵は月の綺麗な夜ですから、警戒するなという方が難しい。貴方も夜に咲きたくはないでしょう。せめて名前くらいは名乗っていきなさい、それともわたしに同行して暗く冷たい場所で夜を明かしますか?(瞳に映る月は夜の闇に映えて美しく、すさんだ心も僅かにだが慰められる。貴方の言う通り不機嫌な顔をするのは自分らしくない。言葉遊びを続ける貴方の態度は年を重ねた咲夜からみれば子供の戯れ、それにあわせて補導の真似事をするのは柄ではなく、さっさと人を呼んで片を付けるべきだろうと結論を下し、双眸を伏せると肩の力を抜いた。そうして聞き分けのない子供に早く寝ないと鬼がでるぞと言い聞かせるような声音で、静かにそう語り掛けるのだった)   (5/11 00:27:44)


あくび。/糸蜘蛛 > お前と共に明かせるのなら、暗く冷たい場所で夜の華を咲かすのも一興かもしれんなぁ。(はははっ。と彼はまた笑い声を漏らした。その様も、実に軽薄だ。ふと目を離せば、夜の闇の中へと紛れ込み、瞬きの間にこの場からもいなくなってしまいそうなほどに、糸蜘蛛と言う男の在り方は軽薄で曖昧なのだ。時にはこうして女性に口説き交じりな揶揄いを零す色男に、またある時は戦場で血を求め、他者を斬ることを快楽や悦楽とする殺人鬼に…──そうして幾つかの顔を持つ彼の、一体どれが本当の“糸蜘蛛”なのか。彼女の脅すかのような言葉に対しても、やはりと言うべきか彼はまともな返答を下しはしないだろう。彼女に釣られるように自身もまた目線を空へと向ける。ああ、実に良い夜だ。こんな夜にはやはり、妖しげに闇の帳で咲く華を散らしてみたくもなるもの。枯れる前に、摘み取って散らしたく…──)   (5/11 00:39:53)
あくび。/糸蜘蛛 > まぁ、茶番は一先ずここまでとしておこうか。糸蜘蛛、それが俺の“字”よ。姿諸共、ゆめ忘れぬよう。(だが、また彼はその表情を変えた。先程までが軽薄で掴みどころのない笑顔なのだとすれば、今彼が浮かべているのは同じ笑顔でも種類が違う。どこか、悪戯っぽく笑ってみせるのだった。それこそ、彼女が先程彼を表した言葉、“妖艶”と言う表現がよく似合う笑みを浮かべ、自身が付けた字を告げる。糸蜘蛛、その名に、もしかすると聞き覚えがあるかもしれない。尊華出身の、流浪の旅人の字だ。自身の字を告げた後で、凡そ尊華人には似つかわしい会釈を行う。自身の胸元に手を当て、そのままお辞儀を。字と共に、この姿と然と目に焼き付けておくように告げながら。)   (5/11 00:39:55)


骨牌/咲夜 > まさか、わたしが案内するのは入り口まで。お前様と夜を過ごすほど暇ではないのでね……まぁ、お前様が寂しいと袖を濡らして見せるのならば、やさしく慰めてやらぬでもないよ。(鼓膜を揺らす楽しげな笑い声もやはりどこか薄っぺらい。貴方もそれを意識してそういう態度を取っているのだろうと徐々に予測がついてきた、ならば戯言使いには戯言で応じよう。唇の端をゆるりと持ち上げて笑えば、肩を流れ落ちる白髪に細い指を絡める。身体が性を知る前に時間を止めているこの身、女性にみられやすくはあるが本家の嫡男として育てられた意地もあり、女扱いされることはどうにも鼻に付く。自分の性を知らせるべく己よりも随分と背の高い男を相手に臆することなくそう返しては、貴方の思惑をよそに月を眺めるその横顔をこっそりと盗み見た)   (5/11 01:07:28)
骨牌/咲夜 > 糸蜘蛛か、ほぅ。……なるほど、枝に止まった渡り鳥を相手に、わたしは問答をしていたというわけか、ふふっ。さてどうしようか、ゆめならば明日になれば忘れてしまうものです。(貴方の唇が名を告げる。それは風の噂でだが一度は聞いたことのある名で、言葉とともに軽く頷けば趣の変わった貴方の笑顔に双眸を細めた。あぁ、此方の表情の方が親しみが持てる、とは心中での呟きに過ぎず、帝國ではなかなか見ることのない礼儀作法に僅かに眉を持ち上げて驚きを示すものの、まったく別の言葉を紡ごうか。それは今宵散々揶揄われたことへの意趣返し、零れ落ちる笑い声を手の甲で隠せば杖の先を道の先に広がる闇へとむけた)一所にとどまらぬ鳥ならば、さっさと飛んでゆきなさい。今宵は見逃してあげますから、どうか帝都を騒がせぬように。そうでなければ、貴方の巣がどうなっても知りませんよ。   (5/11 01:07:38)


あくび。/糸蜘蛛. > 釣れぬなぁ。俺が相手では不満か?良い男だと自負しているのだがな。(咲夜からの、こちらと同じように言の葉を好きなように散らし、弄んでいるかのような戯言じみた発言に、そんな物言いもできるのかと小さな笑みが零れた。帝國の中将と言うくらいだから、お堅く融通が利かない。生真面目を地で行くような性格をしているのではないか、などと思っていたのだが、どうやらそれはこちらの勘違いであったらしい。端正な咲夜の容顔が、唇の端を釣り上げて笑ったことによって微かな妖しさが灯ったのを、彼は見逃さなかった。きっと、今まで自身は咲夜の前で、あるいはもっと様々な人の前でこんな風に笑っていたのだろうなと、何故だか咲夜の笑みを見ていてハッキリと確信した。)   (5/11 01:26:58)
あくび。/糸蜘蛛. > 端からそのつもりよ。お縄になって縛られるなど、俺は窮屈で自害してしまいそうなのでな。お言葉に甘えて、今宵はまた別の止まり木に移るとしよう。ではな、咲夜よ。何れ、また会おう。(騒ぎを起こさないようにと諌める咲夜に、糸蜘蛛は当然だとでも言いたげに言葉を返した。血腥い戦場も物騒な沙汰も嫌いではないが、この帝都でそんな真似を働けばタダでは済まないことくらいは彼も理解している。彼が人斬りとしての性を顕にするのは、それが罪にならない場所で、罪に問われない相手を前にした時だけだ。咲夜が杖の先で眼前に広がる夜闇を指し示すと、彼は流れるような動作で身体をそちらへ翻し、別れの言葉と共に片手をひらひらと背中越しに振りながらまた、歩みを進めた。いつの間にか夜の帳は降り、先程まで彼らの周りでひそひそと囀っていた者共らの姿も今はない。そして、彼もまた、直に咲夜の視界から消えていくことだろう。夜の闇に紛れるように、その姿を溶け込ませるように、やがて糸蜘蛛の姿は帝都の中へ消えていく。今宵の一幕はこれにてお終い。次の幕が上がるまで、黎明に時が差し掛かるまでは休息だ。今宵は、良い夢が見られそうだ。)〆   (5/11 01:27:38)