この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

出会い

(ラヴィス&糸蜘蛛)

ひよ。@ラヴィス > 数多の石柱が、白く、だがその軽くふうわりとしたような色合いとは対照的に、重々しく、そして荘厳な雰囲気を醸し出すウェンディア王都の聖堂は、真昼の陽光が射し込むことも少なく、またそれがあるとするならば、ステンドグラスを通り抜け、見るも鮮やかな色合いとなっては石柱などを照らす。側廊などに備え付けられた燭台の灯火は昼間だというのに揺れ動き、時折その白くもふもふとした耳を突くように響くパイプオルガンの音は、どこか心地よい。──ウェンディア王国聖騎士団司祭、ラヴィス。結界魔術の類により頭角を現した彼女は謙遜な太陽の信徒であり、それ故に司祭である。一通り、午前の礼拝などの儀式は済ませただろうか。聖堂の巨大な木造の扉をぐっと押し開けた彼女は、石柱の隙間から直に射し込む陽の光に目を細めつつも、厳格な聖堂の雰囲気とは対照的に、開放的な風などが頬を、髪を撫でるその感覚を楽しんだ。   (5/11 14:39:39)
ひよ。@ラヴィス > 時はすでに昼時であり、であればそこに騎士、少し目を遠くへ向けるのならば国民などが食事処を探し、太陽のもと王都のあちこちを歩いているのは至極当然のことだ。彼女もまた、そのひとりであった。「……今日のお昼、どうしましょ。ここ数日は魔術の研究だとかで碌なものを食べていなかったから……そろそろ、何か美味しいものを食べたいものだけれど」 特にあてなど無く、さて、どうしたものかと、彼女は近場にあった適当な木製のベンチに“よいしょ”と、小さな掛け声と共に内股で腰掛けて、そう独言りながら道行く人々を眺めていて。   (5/11 14:39:51)


あくび。/糸蜘蛛 > やれやれ…この人混みの中ではろくに煙も吸えんな。(人通りの多い街道で、一人小さな溜息と共にぼやきを漏らしたのは、“糸蜘蛛”の字を関する流浪の旅人である。糸蜘蛛が自分の故郷である尊華帝國へと久々に帰郷したのは、未だ記憶に新しい。だが、すでにその身は帝國の中には無かった。早々にまた旅へと出た彼が訪れたのは、ウェンディア王国だった。午前の間に、王国内で引き受けていた依頼のいくつかをこなし、昼食を済ませたり今夜の寝泊りする場所でもゆっくり探しながらどこかで休憩しよう…──そう気楽に考えていた彼の算段が甘かった。ちょうどお昼時に差し掛かったくらいの時間、その時間帯の王都の街中は、人が文字通りごった返していた。おまけに今日は気温も少し高めだ。そんな中、この人混みの中へと身一つで放り込まれれば暑苦しくて堪らない。むさ苦しさの余り、腹の底から怒りがストレスとして湧いて来そうな程だ。)   (5/11 14:51:24)
あくび。/糸蜘蛛 > …どこか座れる場所へ…あそこだ。(そろそろこのどこまで行っても収まりそうにもない人の多さにうんざりしてきたところだ。一度行き交う人々の流れに逆らって人混みを抜け出し、座れる場所へ移動しよう。と考えた彼は、足を動かしながら辺りを頻りに見渡す。それに合わせて、汗で少しばかり湿った白銀の髪が揺れる。白銀の髪と共に忙しなく動く黄金の眼が、視界の端にベンチに座る人影を捉えた。それを逃さぬよう彼は人混みをやや強引に掻き分けて突き進み、やがて人混みを抜けて木製のベンチに座っている彼女、騎士団らしい装いをした女性の前へ飛び出してくることだろう。やや息を切らしているのは、きっと気のせいではない。)   (5/11 14:51:25)


ひよ。@ラヴィス > 右、或いは左から絶えず人々の声が、猫のような耳へと入り込んでは抜けてゆく。その様子は戦時などという言葉を霞め、ただ平穏を極めているようにラヴィスの瞳には映っていた。思わず口角が若干だが上がり、目を細めてしまう。──そんな時だ、彼女の目の前にひとりの人物が飛び込むように映り込んだのは。雪か、白雲かと見紛うようなその髪は暑さからか流れた汗でやや湿っているように見え、そしてその息はどこか忙しない。服装を見ればその人物が凡そ王国の者ではないことは瞭然だが、然しながらこういったことはあまり珍しくはないのだろう。「あの、大丈夫ですか、息が荒いように見えますけど」 ラヴィスはそう、特に表情のひとつをも変えずに尋ねてみれば、そのまま少し左へ詰めて座り、彼が落ち着ける場所を確保してみせた。そしてこそ、彼に対して「座った方がいいですよ」と、スペースを空けたベンチを真白い尻尾の先で、ちょん、とつついて座ることを促す。その表情は特段困った旅人を手助けするような様子もなく、かといって冷淡なわけでもなく、ただ少し素っ気なく映ってしまうだろうか。   (5/11 15:04:46)


あくび。/糸蜘蛛 > いやぁ、すまぬな。いい加減、あの烏合の群れから抜け出したいところだったのだ。それに加え、ここに座っているのが美人な女子だったものでな、少々急いで来てしまった。(こちらを心配しているわけではないと、彼は彼女から漂う少しばかりの素っ気無さから簡単に察することができた。これまで世界中の各地を旅人として訪れ、色々な場所で数え切れないほどの数の人間、時には人間以外の生物と語り合い、時には争って命を賭しての凌ぎ合いを繰り返してきた彼は、凡そ人が纏っている雰囲気や空気と言うのを感じ取りやすいのだろう。しかし、この王国の人間ではない異邦人だからと言って敵視されているわけでもないことにひとまず安心した。知り合いでも何でもない男に対する対応なぞ、大抵の者はそうだろうと…──悪意を向けるでも善意を差し伸べるわけでもなく、ただ無関心で無頓着。その点、こちらに一応の配慮をしてくれている彼女は優しい部類と言えるかもしれない。)   (5/11 15:15:02)
あくび。/糸蜘蛛 > いやはや、あのままでは窮屈で窒息してしまうところであった。王都とは、いつもこんなに賑やかなモノなのか?(いつも通りの軽薄な軽口も程々に、“よっこらしょ”と年寄りのような声を漏らし、片手で額に滲む汗を拭いながら彼は彼女が尻尾で指した、ベンチの空いている場所へと腰を下ろした。はははっ、と乾いた笑いと共に剽軽な笑みを浮かべながら、この王国の人間であろう彼女に対して質問を投げた。彼がウェンディア人ではないことは相手もすでに見当がついているはずだ。…──いや、それよりもこの女子、今尻尾でベンチを叩かなかったか?手ではなく、ベンチで。)   (5/11 15:15:03)


ひよ。@ラヴィス > 「ええ、まあ……お昼時ですし、それに王都ですし。これくらいの人が行き交うのは、きっと嘗てのヨズア、そして尊華だって同じだと思いますよ」 両手をベンチにつき、脚を軽く伸ばしてぱたぱたと小さく揺らしながら、顔を若干の角度で斜めにして、そして隣の男性の方へ、じとっとした瞳を流す。彼が美人だとか、そういった言葉などを軽率に自身に向かって零す度に耳は多少ぴくりと動くが、しかし表情は先程と同じ、じとりと、まるで変な人間を見るようなものであった。その様子は宛ら“その手には乗りませんよ”と、手の内を読んでいることを密かに相手に誇示するようなものにも見えるのかもしれない。「首都が賑やかなのは至極当然なことでは? それを問い掛けにするなんて、面白い方ですね。今日は一体どんな目的で此方へやって来たんです?」背凭れのすぐ側で白いふさふさとした尻尾が左右にそっと揺れ動く。その感覚は彼女が脚をパタパタと揺らすのと同じようなペースだった。耳が少し垂れた彼女のやや冷たいトーンの一語一句は、きっと人混みとその熱に揉まれ、汗でやや湿ったようにも思える彼には良い熱冷ましにでもなるだろう。   (5/11 15:31:13)


あくび。/糸蜘蛛 > そんなものか…。ならば、俺の見聞が足りてないだけなのかもしれぬなぁ。(元々、彼が日中にこうして時間を作って休息を取ろうとすること自体、あまり多いことではない。普段ならば、彼は昼間でも関係なく依頼をこなしているか、都市部や国内などからは離れた静かな場所で、新たな出会いや刺激を求めて旅をしている最中なのだから…──故に、彼女に対して先の問いかけを投げたと言うわけである。とは言え、彼は自身の素性どころか、字すらも彼女に対しては明かしておらぬ身。自身を顔を見ただけで自分が誰かと見抜けるような見識の広い者でもない限りは、初対面で彼が“異邦人”であることは見抜けても、“根無し草の旅人”であるとまでは分からないのだから、彼女がさも当然のことを疑問としてぶつけてきた彼に疑念を抱くのも致し方ないと言える。けらけらと音が聞こえてきそうな笑いを零しながら、こちらをじとりとやや冷ややかに見る目に、不思議そうに小首を傾げて黄金色の眼でじっと彼女を見返すだろう。)   (5/11 15:42:38)
あくび。/糸蜘蛛 > ここへやって来たのは運命の招いた偶然よ。或いは、貴殿と出会うことが宿命付けられていたから、なのかもしれぬな、ははっ。…それで、獣混じりの娘よ、そなたの字はなんと言う?折角偶然が繋いだ縁だ。聞かせてはくれまいか?(目的を問われた彼は、単なる偶然だと口にした。それだけで言葉を止めることはなく、こちらを探るように紡がれた言の葉から意識を逸らすように、先程と同じような軽口を零す。改めて彼女の姿を直視すると、やはり見間違いなどではなく、彼女は獣人らしかった。と言っても、明らかに人間に近い方、ではあるが。獣人と邂逅したことがないわけではないが、珍しいものは珍しい。それに、もっと辺境の地ならば兎も角、ここは王都だ。王都にも獣人はいるのだな、とどこか感心を覚えつつ、流れるように彼女から字を聞き出そうとする。彼の方からそれを教える素振りは見られないが。)   (5/11 15:42:40)


ひよ。@ラヴィス > 「運命だとか、宿命だとか、……。あなたは何を言っているんです? よくもまあ、出会って数分程度の人にそう、色々言えますね……」言葉のひとつひとつを、一々大袈裟……とはまた違うが、然し誇張してどこか遠回しに伝えるその特徴、それは彼の服装からも窺えるが尊華のものとみて八か九割が正当だろう。尤も、彼女の目線からしてみればそんな振る舞いももう少し直球で言ってくれたほうが判りやすいし、そしてその一言一言にここまで疲弊しなくても済むというものなのに、中々どうして異文化交流とは難しいものである。さて、然しこの隣の男は、どうにもニコニコ、いや、けらりとかもしれない。そんな笑みを浮かべて、一見、愛想は良い。それこそ、一々物事を直球に伝え、その表情も冷ややかなラヴィスと比べてみれば、人が寄るのは彼の方なのだろうが、どうにもその一枚の顔の奥に何かが潜んでいるようにも思える。これは彼が特別そうだというわけでもなく、ラヴィス自身が尊華の人間に対して抱いている、半ば偏見のようなものであるのだが。   (5/11 15:58:04)
ひよ。@ラヴィス > 「別に、わたしが字を教えるのはいいですけど。そうなったら、しっかりあなたにも答えてもらいますからね。……それと、“ケモノ”って呼ばれ方はあまり好きじゃないんですケド。なんだか野蛮な感じがしますので」“字を教えてはくれないか”という提案に条件を貼り付けるように、彼女はそう視線だけを彼に向けて告げた。どうにも獣混じりと呼ばれたことがあまり気に食わなかったようで、そう条件を提示さえしてしまえば彼女はぷいっと視線を戻しそっぽを向いてしまう。「わたし、ラヴィスです。あなたは?」そう短く自己紹介、といっても“字”を伝えただけだが、間髪入れずにすぐに相手に問いかけてみせて。   (5/11 15:58:16)




あくび。/糸蜘蛛 > はははっ、これは手厳しい。嫌いか?こういう根も葉もない、ふわふわとした空想論は。それに、時間の積み重ねだけが全てではないぞ、宿命とは等しくそう言うモノだ。(出会って数分との言葉に、彼はまたしても笑い声を漏らした。一体何がそんなに面白いのかと思われるかもしれない。強いて何が面白いのかといわれれば、見た目から察するにまだそんなに年端もいかない彼女が、随分と現実的な思想をしていることだった。彼がこうした根拠のない机上の空論、あの手この手を尽くした言葉遊びでまんまと手篭めにしてきた女性は数知れず。それこそ、今の彼女のように大人と子供のちょうど中間くらいに位置すると思われる年齢の女性こそ、こう言った言葉に心が揺らぎやすいと踏んでいたのだが…──どうやら、彼女はそこいらの女子とは少し違うらしい。そうこうしている間に身体の汗も引いてきたのか、本格的に寛ぐかのようにベンチの背凭れに背中を預けて足を組んで。ただ、“時間の積み重ねが全てではない”“宿命とは等しくそう言うモノ”と語る彼の目には、僅かな哀愁が感じ取れるかも知れない。彼女が相応に、他人の表情や雰囲気に鋭ければの話だが。)   (5/11 16:12:29)
あくび。/糸蜘蛛 > くくっ、では獣と呼ぶのはこれで終いだな、ラヴィス。俺は糸蜘蛛だ。ほれ、望んだ通りこちらも字を教えたのだから、こちらを向かぬか。(拗ねてしまったのか、実に子供らしい仕草で顔を背けた彼女に、彼は堪えきれない笑いを殺しながらも口端から零した。大人の子供の境目、背伸びをしたくなるお年頃。手を伸ばせば、達観すれば大人になれるのだと、彼にもそんな風に思っていた時があった…その思考こそが最も稚拙で幼稚なことなど、当時の彼は思いもしなかったが。獣呼びが嫌ならばと、彼女がたった今告げた字で呼びながら自身の字を同じように述べる。同時に、未だこちらに向き直らない彼女の方へ向けて片手を伸ばし、抵抗されたり避けたりしないならば嫋やかな動作で彼女の顎に手を添え、人力でもってこちらを向かせようと。)   (5/11 16:12:31)


ひよ。@ラヴィス > 「は、はあ……系蜘蛛さんですね。とりあえず、覚えておいてあげます。あなたはどこか人誑しのように思えるんですケド、そういう方なら尚更、女性に対して獣なんて言うのはどうかと思うんです。あなたの経験がまたひとつ、わたし助言なんかで積み重ねられたと思うと癪ですが、覚えておいた方がよいと──って、ちょっと!?」彼女は、字を告げたあとも、彼が獣と自らを弄ぶのだろうと読んでいたようだが、どうにもその予想は外れたらしい。事実を告げるラヴィスの言葉の中に、どんな笑いの種を見つけたのかは見当も付かないが、しかし大声をあげて笑う彼に対して若干引きながらも、その獣呼ばわりがすんなり無くなってしまった。中々に調子が狂う。然し油断をしていればまた何を言い出したものか、まるで分からない。やや子供らしい、むくれた様子でそっぽを向くという行いを続けたまま極力目を合わせずにいよう。   (5/11 16:32:19)
ひよ。@ラヴィス > ──そう思っていた彼女の思考を刹那、遮ったのは、自らの顎に添えられた自分の手よりも遥かに大きく、そしてどこか骨っぽい手だった。その手は紛れもなく、この胡散臭い人物のものだ。思考の処理が追い付かないまま、ラヴィスは硬直し、そうしてその身体は、いや顔は容易く隣の彼の方を向く。夏空を思わせる青い瞳と、満月のような金色の瞳、その二つが眼前の白髪の彼に向けられ、しきりに瞼を開けたり閉じたり、ぱちぱちと繰り返しては“へ……っ?”なんて声を零していて。   (5/11 16:32:34)


あくび。/糸蜘蛛 > 覚えておいた方が良い、その言葉はそなたにも送ろう、ラヴィス。ゆめゆめ忘れるな。この姿も字も、脳裏に記憶しておくが良い。(何をそんなに驚いているのかと、彼の方へと顔を向けられたラヴィスの反応を見て、彼は疑問を抱いた。急に顎に手を添えられて、こちらを向かせたことだろうか。それとも、彼が意地悪く彼女を獣と呼称しなかったことだろうか。ともあれ、先程まで年相応の子供らしく頬をむくれさせ、頭から生えている動物らしい耳も相まって、小動物か何かのようだった彼女が、今はどうだ。状況を理解できておらず、呆けたような間抜けた声を漏らして頻りに瞬きを繰り返している。手を払われるだとか、そんな反抗的な態度を予想していた自分もいたが…──これはなんとまぁ、実に愛い反応だ。)   (5/11 16:43:16)
あくび。/糸蜘蛛 > …それとも、俺のことを忘れることなど決してできぬよう、俺が手ずからそなたの身体に刻み込んでやっても良いぞ、俺と言う男の存在を。(彼女のその反応が面白かったのか可笑しかったのか、とかく気に入ったらしい彼は、ニヤリと口角を釣り上げると、自身の状態を前のめりにし、未だ驚きが拭えない表情のラヴィスへと自身の顔を近付け、自身の容貌を彼女の頭の上の耳元へ…。人よりも数段音の聞こえが良さそうな、その大きな耳の傍で、心の芯まで届くように囁きかけるのだった。それは甘い誘惑か、それとも猛毒を纏った罠か。──戯れてみるか?糸蜘蛛足る俺の糸巣の中で。)   (5/11 16:43:18)


ひよ。@ラヴィス > ──どうにも、未だに状況が正しく理解できていないようだ。彼女の脳裏は混迷しており、然しその色の異なる二つの目は、凡そ鼻と鼻とが触れるのではないかともいえる距離で眼前に居る彼と、そこから視線を逸らした先、王都の広場を行き交う人々の内、度々こちらを向いては、溜息を吐いたり、或いはにやりとする者など、そういった人々との間を頻りに動いていた。長くふさりとした白い睫毛はそれに伴い両方の瞳を隠し、そしてまた開きを繰り返し、尻尾は揺れ、耳はぴんと直立していて緊張と混乱を強く反映している。そうして、何度か視線を動かした末に周囲の視線と、今自分が陥っている状況を理解した彼女は彼を押し退けようとするも、どうにも一手遅れてしまったらしい。   (5/11 16:57:54)
ひよ。@ラヴィス > 気が付けば、相手は自らの耳元で吐息混じりの酷く甘ったるい言葉を垂れ流しており、それがそのまま耳から入り、そして彼女は思わず身体をぴくり、と震わせる。──が、軈てハッとしたように顔を上げれば、その白肌は黄昏時の空のように赤く染まっているが、しかし以前より確実に自らに近付いていた彼を弱々しく、力無さげに跳ね除ける。「……ちょ、ちょっと……なな、なにしてるんですか、ひ、人前ですよ……! ぁ、いや、人前じゃなければいいとか、そういう意味でもないですけど!」 口から零れる言葉がひどく詰まる、なにせ予想外すぎた上に、こういった経験は今までを振り返ってもまるでない。動揺する彼女は宛ら、怒った子猫のような表情で目を細め、上目で相手を見て。   (5/11 16:58:12)


あくび。/糸蜘蛛 > 人前でするのは嫌か?周囲で囀る小鳥共に見せ付ける、と言うのも悪くないと思うんだがな。(何を言っているのかと思われてもおかしくない、言葉の意味を察せられたならば頬を平手されても文句は言えない発言。自身の言葉に、その大きな耳を分かりやすくぴくりと動かして反応し、身体すらも甘言の前に震わせる彼女は、まるで本当の小動物かのようだった。蜘蛛の糸巣の中へと捕らわれてしまった、小さくか弱い小動物。さて、このままもう二、三言ほど、酷く甘い呪詛じみた言の葉で彼女を絆し、あわよくばそのまま、などと健全な者の前ではとても口に出せないような想像を脳内で膨らませていたところを、不意に自身の胸板を彼女が手で跳ね除けるようにして押すので、彼女と近付いていた距離が離れてしまった。それと同時に、彼の双眸に映る彼女の姿。頬を赤く染め、怒りと警戒を顕にする子猫のような表情、異なる色彩を放つ双眼は細められ、こちらを上目で見上げる。しかし、子猫は子猫だ。彼にとっては彼女の怒りを滲ませた表情も、その愛らしさを肥大化させる魅力、くらいにしか思えない。)   (5/11 17:10:29)
あくび。/糸蜘蛛 > 熟れた林檎のようだな、実に愛らしい。冷めているのかと思っていたが、そなたも存外乙女ではないか、ラヴィス。(彼女の真っ赤に染まった顔の肌を“熟れた林檎”と表し、まるでそれが当たり前かのように愛らしいと口を零す。浮かべられた柔和な微笑みと共に彼女へ届けられる言葉は、彼女を揶揄っているようにも、嬉々とした感情を宿しているようにも聞こえるだろうか。まるで、自分しか知らない秘密を知った童のような。ふと、こちらを見上げる彼女へと再度、不意に手を伸ばした彼は、許されるならば片手で彼女の頭をそっと撫でやろうとするだろう。自身が飼育する動物を愛でるような手付きで。)   (5/11 17:10:36)


ひよ。@ラヴィス > 「い、いやに決まってるじゃないですか……! ……ぁ、こんな人前で、しかもそんな、さっき初めて会ったような人となんて、当然です」無意識に彼女は自らの左腕で、右手の二の腕にあたる部分の布地をぎゅっと握り締めている。胴の前に腕を出す仕草、腕を組むなどと似たそれは、本人の意図しないところで本能的に働く自己防衛だろうか。先程の呆けていた時間に溜め込んだ言葉を今、纏めて放出するかのような勢いでそう切り出した彼女だったが、だがそう声を張り上げる度に、どうしてか周囲の視線が突き刺さる。不本意、といった様子で声を潜めて、だが確実にそう自らの意思を、遠回すことなく、変わらず直球に、明確に伝える。「そんなこと言っても、もう効きませんから。も、もももう無意味ですからやめた方がよろしいかと」ラヴィスの表情とは対照的に、変わらず笑みを浮かべる相手がそっと彼女の頰に手を差し伸ばしたと思えば、するりと尻尾を動かし、その相手の手首に巻き付けでもして阻止しようとする。やや色素の薄いように見える瞳孔は広がっており、耳は垂れ、その小さな身体は微かながらに震えていて。   (5/11 17:23:36)


あくび。/糸蜘蛛 > ふむ。確かにここは、少々出過ぎた輩の視線が多すぎるようだな。お陰で、ラヴィスが俺ではないモノに意識を取られてばかりいる。実に不愉快だが…さて?(さっき初めて会ったような人と、と言う部分の言葉はまるで聞いていないかのように右から左へと流し、声を張り上げて溜め込んでいた言葉を放出でもするかのように勢いよく切り出した彼女だったが、その勢いはすぐに空気の抜けた風船のように萎んでいく。どことなく気まずそうに、不本意と言った様子で声を潜めて話し始めた彼女を他所に、彼は上記の言葉と共に先程から見世物を眺めるようにこちらへ好奇の眼差しを向けている者共へと鋭さを増した黄金の目を向け、片手を自身の腰に納められている刀へと掛けた。そのまま白銀の輝く刃を抜き放とう…としたところで、彼の剣幕と雰囲気に呑まれたのか、こちらを眺めていた国民らは怯えを滲ませながら急ぎ足でどこかへと駆けていった。…──ただ横を通過するだけならば兎も角、俺の話し相手の意識を俺から逸らすほどの出過ぎた真似は許されぬ。神が、太陽が善としようがこの俺が許さん。)   (5/11 17:36:01)
あくび。/糸蜘蛛 > …それで、何だったかな。照れてしまうゆえこれ以上のお戯れは人目のないところで、だったか?(刀の柄から手を離し、それ以降立ち止まってまでこちらを眺めるような人物がいなくなったのを確認した後で、またけらけら、飄々と掴みどころない笑顔で、彼はとんだデタラメを口にすることだろう。既成事実と言う言葉があるが、彼のそれは最早単なる捏造だ。しかし、それを何の悪びれもなく述べながら、彼女の頭を撫でやろうとした自身の手に巻き付いた彼女の尻尾へ目を呉れる。…──尾を持つ獣人は大抵皆、それが弱点だったりするが、ラヴィスの場合は如何だろうか。などと考えながら。)   (5/11 17:36:03)


ひよ。@ラヴィス > 「……ぁ、あの、あまりウェンディアの民を威嚇しないでください。今はこんなご時世ですから、下手をすれば外交問題ですから……」相手が、ウェンディアでは滅多に見ることのない様式の刀剣に手を掛ければ、周囲に好奇心から集まっていた野次馬は蜘蛛の子を散らすようになってしまう。僅かな動作しか彼はしなかったが、然しその纏う威圧感、剣気とでもいうのだろうか、それは尋常ならざるものであって、正直、ラヴィス自身もやや圧倒される。──軈て人の大凡が散った頃には、彼は先程までの雰囲気をどこへ捨て去ったのかと思うほど、本来の飄々とした掴み所のない、もっと言ってしまうのならば胡散臭い笑みをたたえてラヴィスの方を見、あまりに自然な流れでそう虚構を築き上げるものだから、   (5/11 17:51:28)
ひよ。@ラヴィス > 「そうですね、人前でなけれ──ああもう、ダメですから!」と流され、尤も油断を見せたラヴィスの自己責任ではあるのだけど、頰を膨らませて彼の手に巻き付けていた尻尾を幾分か強く、きゅっと締め付けてみせる。まるで悪びれる様子もなく嘘を吐き、時折蜜を交え、そうして蜘蛛の巣にでも絡め取るように彼女を追い込む相手に対しては警戒心が殆どであるが、きっと彼女は掌の上でころり、ころりと転がされてしまうのだろうか、以前赤い頰のままでむっとしていて。   (5/11 17:51:41)


あくび。/糸蜘蛛 > ただ牽制しただけよ、煩わしい蜘蛛の子が散って静かになったであろう。まあ、これくらいの行為が威嚇と捉えられて外交問題に発展するほど、この国の主が臆病で、矮小であるならば、俺も少しは立ち振る舞いを考えるさ。(忠告じみた彼女の言葉に、彼はウェンディアと言う決して小さくはない国に在住する人々を上から値踏みでもするかのように、先の言葉を紡ぐことだろう。それは、自国を愛し、ウェンディア人に生まれた者からすれば祖国を愚弄し、軽んずるような言葉と受け取られるかもしれない。が、それで冷静さを欠いて怒りを顕にするようであれば、それこそ彼は“それまでの器”と言う判断を下すだけなのだろう。とは言え、何もウェンディアと言う国に喧嘩を吹っ掛けに足を運んだわけでもない。自分は尊華帝國軍の軍人ですらない、ただの根無し草だ。故に、彼女がこちらの言葉に対して不快な態度を見せたり、琴線に触れられたかのような反応を見せる前に、「冗談だ、気を悪くしてくれるな。」と補足するように言葉を足した。)   (5/11 18:03:25)
あくび。/糸蜘蛛 > ははっ、まるで色付く前の果実のようだな。やはり愛い…いたたたっ、痛い痛い。そう締め付けるな、思わず尾を掴みそうになる。(自身の言葉が余程自然な流れで繰り出されたせいか、目一杯に警戒を張っていそうなものなのに、言葉に流されてしまいそうになる彼女。自身が赤くなれと言えば赤くなり、青くなれと言えば青くもなる。自身の言葉、行動一つで様々な色に変化を来たす彼女は、正しく果実だ。そんな様子にまた、“愛い奴”と口にしようとしたところで自身の手首が彼女の尾に締め付けられると、痛い痛いと呻きながら抗議の声を漏らす。緩めるか放さないと尾を掴むぞ、と。)   (5/11 18:03:28)


ひよ。@ラヴィス > 「……ん、冗談ですか。あなたの言う冗談は時折、冗談に聞こえない時があるんですが……まあ、とりあえず良しとしましょう」やはり、どうにもいけ好かないようだ、尊華の民というものは。わざわざ二面性など作らずとも、常に素の自分で直接的な議論などをすれば良いものを、それをどうして隠そうとするのか。先ほどの彼の一面だってそうだが、ラヴィスを相手にする場合とそうでない時であまりにも纏う雰囲気が違うので、ラヴィス自身そういう人物はあまり好ましく思っていないようで。さっきのような剣気と、それと今自分に向けられるその笑顔、相反するその二つの仮面劇に、どうにも翻弄されては調子が狂ってしまう。   (5/11 18:18:42)
ひよ。@ラヴィス > 「だって、今これを離したらあなたはわたしに何をし出すか分かったものじゃありませんから。油断はしないって、多分わたし、さっきも言いましたよね」相手の手首を締める尻尾のその先端を小刻みに動かして手の甲を微かにくすぐろうとする。はぁ、という溜息と同時に改めて視線を周囲に向ければ、先程のような群衆はとうに散り散りになっている。とりあえず、周囲の目が刺さるという不安された彼女は、決して安堵できる状況ではないが、しかし頰の火照りを冷ますように、その肌が元の白さに少しずつ戻っていって。   (5/11 18:18:59)


あくび。/糸蜘蛛 > ははっ、それは俺の演技が上手いと言うことか?参った参った、俺に旅人や剣士、魔術師としての才だけでなく、演者の能まで備わっていたとは。(──自分の才能が恐ろしい。そんな風に言いたげな言葉を零す彼。その言葉だけを切り取れば、彼は自身の才能や素質に溺れて付け上がっているお調子者に他ならないが、彼女も察している通り、今彼女の前でこうして自分の才能をひけらかすかのようにして言葉を並べている彼が、糸蜘蛛の素顔とは限らないのだ。あくまで飄々、どこまで剽軽で、どんな場でも軽薄、その上胡散臭い。それもまた、糸蜘蛛と言う男の顔であり、先程寸分の時だけ見せた、剣呑とした雰囲気を纏った剣客としての彼もまた、紛れもなく糸蜘蛛を構成する要素の一つなのである。)   (5/11 18:28:51)
あくび。/糸蜘蛛 > …やれやれ、聞き分けのない奴よ。忠告はしたぞ?(──尻尾で片手を塞いでいれば手出しはできないなどと、俺も随分と甘く見られたものだ。自身が離すように、或いは拘束を緩めるように忠告を行っても尚、彼女は巻き付いた尾を緩めない。それどころか、尾の先で自身の手の甲を擽っているのだから、これは悪戯とも言えるだろう。ならば、悪戯な子供には相応の仕置が必要と言うモノ。小さな溜息の後、自身の手に巻き付いている尾を、ぐっとこちら側に引き寄せるように彼は自身の手首を引くだろう。尻尾が千切れることなど万に一つもない力だが、彼女の身体をこちらへ引き寄せるには十分な腕力を込めて腕を引き、彼女の身体がそれに合わせて自身の方へ引き寄せられて来たのならば、彼女の背中に手を回してその小さな身を抱き竦めてしまおうとする。)   (5/11 18:28:53)


ひよ。@ラヴィス > 「あなた、本当によく嗤いますよね。わたしそれほど面白いことでも言ってますか? 正直何が面白いのか、あんまりわからないんですケド」何かある度に、いや、ラヴィス自身が何かをする度にといってもいいが、其れ程に彼はよく笑う。けらけらと、本心から笑っているのかすらも判別がつかないような、そんな怪しい嗤いである。そうやって嗤いながら、愛しいだの、何なのを軽率に囁くその振る舞いなのだから、こちらとしてもいちいち耳が垂れる程に疲弊する。別に夢見がちな少女のように、その表面上の言葉だけに一喜一憂するような、そんなものではないが、振り回されるといった意味ではそれと大して違いなんてものはないのだろう。   (5/11 18:42:24)
ひよ。@ラヴィス > 「聞き分けのないって、それ、あなたの言える言葉なんですか? むしろそれはわたしのセリフだと思うんですけど。大体ですね、そうやって……痛っ、何す──っ!?」全くだ、ラヴィス自身何度も止めるよう繰り返しているのに、なかなかどうして話の上手い彼がその流れを手際よく塗り替え、自らのタームにしてしまうというのだから、彼女も困ったものである。“はぁ?”とでも言わんばかりの顔でそう言い返すラヴィスの表情は数秒後に尻尾を握る彼によって、一瞬ばかり微かに痛みに歪み、すぐに目をきりりと細めて相手を見れば、反論する隙など与えんと言わんばかりに、華奢で小さなラヴィスのその身体はぐいっと引き寄せられて、150cmを切るその体躯はすっぽりと相手の腕の内に収まってしまうだろうか。   (5/11 18:42:44)


あくび。/糸蜘蛛 > 何だ、随分と真面目な奴だな。そんなではこの先疲れてしまうぞ。(どうやら彼女は、何故糸蜘蛛がこんなにも笑っているのか不思議でならないらしい。とは言え、彼の笑いに別に大それた理由はない。愉快だなと感じて笑う、場を和ませるために笑う、誤魔化すために笑う…彼が笑う理由など、最早彼自身にも分からない。それほど、自然と笑いが零れてしまうのだ。些細、と言うに値することを気にしているかのような言葉を投げてくる彼女に、彼は真面目な奴だと言葉を返した。恐らく、すでに彼女は自身と対話する中で疲弊を感じているのだろう。物事を真っ直ぐに、正面から真面目に捉えようとする者ほど、恐らく彼とは相性が悪い。それこそ、彼の嘘か真かも分からない言葉に、掌の上で踊らされ、彼の気まぐれで転がされかねない。)   (5/11 18:52:59)
あくび。/糸蜘蛛 > 口数の減らぬ奴だ。しかし、これで分かったであろう?片手を封じたくらいでは物足りんよ。お前をこうして抱き締めることも容易い。(ラヴィスがこちらの言葉に反論してくるのも、彼は意に介さない。もうすでに、手中に相手を収めようとしているのは彼の方なのだ。彼女の背中に回された片手に、更に自身と彼女との身体を密着させるように力が入れられることだろう。その行動までを以てして、“片手を封じるだけでは意味などない”と伝えようとしているかのように。とは言え、大半は自身が彼女を揶揄って遊びたいだけなのだろうが。)   (5/11 18:53:00)


ひよ。@ラヴィス > 「ん〜っ、……。──っはぁ! ちょっと、だめです、何するんですか」そう言って、半ば無理矢理引き込まれたためか、その幼い顔が埋まっていたものを、宛ら息を止めて水中に潜っていたところから顔を出し、息を注ぐような様子で顔を上げ微かに上を向く。先程、強引に、といっても不意を突く形ではあったが顔を向けさせられたその時よりも、より顔は近いようにも感じられる。そう反抗的な言葉を放つがしかし、その表情は威圧感など微塵も見つけられず、どこか強張ったように、そうして瞳が頻りに動く。今にも抜け出してしまおうとそのか細く小さな身体を動かそうが、しかし背中に回されたその手によって抜け出すことは中々に叶わず、見上げれば間近に顔、なす術は見えず、止むを得ず彼女は再び視線を下げて顔を埋めて、ぶつぶつと呟く。「油断してなかったつもりなのに……そもそも、ここ、外だっていうのに……」そうされたその時のように声に勢いはなく、それはどんどん萎んでいっているようで。   (5/11 19:09:43)


あくび。/糸蜘蛛 > 何だ、お前にはまだ刺激が強かったか?(こちらを諌めるような言葉こそ吐いているものの、その表情には最早子猫ほどの威圧感も存在しない。緊張で強張り、戸惑いを示すように落ち着きなく瞳が揺れている。反抗的なのは言葉だけで、抜け出そうにも自身が背中に腕を回しているせいでなかなか上手く抜け出せもしない。挙句の果てに、こちらを見上げていた視線を下へと下げてぶつぶつと何事か呟きを零し始めた彼女に、彼は口角をどこか意地悪く持ち上げた。そうして、まるで彼女を小娘か何かとでも言いたげな言葉を漏らし、)それは失礼した。どうやら俺が手を出すにはお前はまだ熟成と成長が足らんらしい。(勝手に仕置と称して抱き締めておいて、あっさりと彼女の背中に回していた手を離すのだった。離れたいならば、場所が場所故に周りが気になるのであれば離れれば良いと、自分の方が大人気無かったとでも言うように。自ら彼女と距離を取ったり、彼女を跳ね除けて遠ざけることこそないが、彼女からは離れようと思えばいつでも離れられる体勢にはなったことだろう。彼女を見据える黄金の眼が、これまた意地悪く細められた。)   (5/11 19:19:16)


ひよ。@ラヴィス > 相手がラヴィスを離さんと言わんばかりに、背に回していた両腕が思いの外あっさりと解かれる。力無さげに顔を埋めていた彼女は、その軽い体重の支えを彼にしていたようで、背中を押さえつけていたそれが無くなってしまえば、微かに後ろの方へふらりと蹌踉めき、そうしてベンチに両手を突いては体勢を整える。騎士団の衣装を身に纏った胸元のその下、コルセットを巻いた腹部の前で、ラヴィスは自身の右手で左肘の付近を無意識に握り締めて、どうやら力が多少なりとも入っている様子のそれはぷるぷると情けなく震え、彼女のこういった物事への耐性の無さを何よりも強く体現しているのだった。呆然とした表情、そうしてその瞳はただ眼前、少し離れた相手に向けられ、小さな口はそのまま、小さく開かれている。   (5/11 19:37:11)
ひよ。@ラヴィス > そこからは“ええと……”なんて声がただ零れているだけで、体重を支えるそれがなくなった分、自然に離れたその距離以上離れることも、近くこともなく、ただ弱々しく微かに震えている。「……ぁ、あの。あなたは本当に不思議な人ですね、急に近づいたり、急に離れたり。本当、調子……狂うんですけど。その、なんか、上手くは言えないんですけど、変な感じしかしません」 やがて相手から視線を逸らして、そう小さく呟いて。   (5/11 19:37:21)


あくび。/糸蜘蛛 > それが俺のあり方故な、風を御せぬのと同じよ。(気まぐれに近付いて、気分次第では離れて、また気が乗れば近付いて…──そうして常に曖昧に、吹く風に飛ばされる根無し草。それこそが糸蜘蛛と言う男のあり方であり、生き方なのである。どこかに留まることをせず、果てと言う果てへ飛び続ける渡り鳥。ウェンディアの民として生を受け、そこからウェンディアと言う場所に滞在を続けている彼女には、きっと彼の生き方もそのあり方も理解できはしないだろう。だが、それもまた一つの生き方。彼は一箇所に留まる者を見下したり愚弄することもない。人とは千差万別、十人十色とはよく言った物で、人の数だけ色があり、それぞれに違う色彩を持つのが人と言う生き物。彼と彼女とでは、持つ色が異なると言うだけの話だ。)   (5/11 19:49:08)
あくび。/糸蜘蛛 > それでも、不思議で変だとお前が感じる俺を、お前が理解しようと努めるのであれば、その想いに俺が応えるやもしれん。保証はせんがな。とにかく経験を積め。お前がもう少し美味く色付いたその時には、俺が摘み取ってやらんでもない。(そして、彼と言う男は非常に自分本位だ。流れに逆らわない故に、自分と言うモノの生き方を徹底的に貫こうとする。そのためならばこうして他人を困らせ、狼狽させることも厭わない。彼女の身体が力なく震えているのを、彼はその場から動くことなく眺めているのみだ。それどころか、彼女の意思を探ることもなく勝手に矢継ぎ早に言葉を繰り出しているのだから、相当にタチが悪いとも言える。…──どうだ?俺を知りたくなったか?俺に魅入られたか?と、自信満々にそう告げているかのようだ。彼の表情には、それなりの自信と言うか、慢心にも近い感情が窺えるかもしれない。)   (5/11 19:49:10)


ひよ。@プティ* > 「……はぁ、そ、そうですか。美味くだとか、あなたに摘み取られるとか、そういうものは置いておくとして……わたし自身、あなたの話を聞いて少しばかり興味が湧いてきたような気がしなくもありません。あなたはきっと良い知識の探求の、そ、その題材になりそうですから」相手はラヴィスの思考がショートしそうなその寸前だということを分かった上でなのか、そこを彼女自身が知る術もないが、しかしそういった状態で矢継ぎ早に言葉をぶつけてくる。ラヴィス自身、今日体験したようなことは、今まで殆ど無かったと言ってもいい。新たな発見の数々を与えてくれたという意味では、それに報いるべきなのだろうか。とはいえ、どこか自信ありげな相手のその表情をただ見ているだけでは、自らが下に見られているようで癪だったようで、彼女はその呆けていた瞳を再び細め、睨むというわけでもなく、というよりは、相手と同じ自信に満ちたような表情でそう返す。「あなた、よくも色々してくれましたよね。わたし、やられっぱなしは癪なので、いつかちゃんと仕返ししますから」と、そういって尻尾を軽快に揺らして見せて。   (5/11 20:13:37)


あくび。/糸蜘蛛 > くっく、知識の探求の題材とは、これまた奇っ怪な答えよな。まぁ、それもまた一興。俺を使いたくば使うが良い。(自身の言葉の半分くらいはラヴィスに伝わっていないようだが、それもそれでまた面白い。言葉とは、紡ぎ手次第で、或いは受け取り手次第でその意味も色もまた違ったように変わる物。なればこそ、言葉を介して他者と対話すると言うのは実に面白い。他者から届けられた言葉をどう受け取るのか、それを見聞きするだけで飽きない故に。糸蜘蛛を、“知識探求の題材”と言ってのける彼女に、彼はまた可笑しそうにけらけらと笑うだろう。まさか、自分をそんな役に回す物好きがいるとは。しかし、それに対して不快な態度を見せることはしない。むしろ、使いたくば使え、とまで述べてみせて。)   (5/11 20:25:14)
あくび。/糸蜘蛛 > …いつか、いつか、か。では、俺が生きている間に頼むぞ?俺が俺自身の生に飽いて命を絶たない内に。ではな、ラヴィス。俺とお前が結んだ縁、くれぐれも勝手に解いたりするでないぞ。(いつか仕返しを…なんて告げる相手に、彼はまるで相手の“いつか”を急かすかのような物言いをするだろう。俺が俺自身の生に飽きて勝手にどこかで命を絶たない内に、などと。その期限も明確に伝えないまま、ただ彼女に焦燥を与えるように。最後まで自分勝手に振る舞った後、彼は彼女の方へと近付き、最後にポン、とベンチに座る彼女の頭に片手を置いてから、別れの言葉と共に、初めて真っ直ぐな言葉を彼女に伝える。フッ、とどこか澄ましたように笑ったなら、彼は歩き出す。気付けば時刻は夕刻すら過ぎて夜。結局腹ごしらえも宿探しも済んでいないが、愉しい時を過ごせたので良しとしよう。…──根無し草の侍と、聖騎士団の司祭たる少女。二人の邂逅が、互いの物語にどんな影響を及ぼすのか、それは太陽すらも知る由の無いこと。未だに喧騒の絶えない王国の中、彼は雑多な人混みの中へ紛れ、のらりくらりと姿を消すのだろう。)   (5/11 20:25:12)