この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

守山攻城

(ゼペタル&咲夜&獅子唐&梟&竜灯&糸依)

〆鯖/ゼペタル > (ウェンディア王国の王都・ウェントから最も近い帝国領土であるこのスザンは、同名の火山を霊峰として信仰を集める大陸の臍である。麓の街は火山灰に覆われ、この砦も例外ではなかった。ゼペタルの呼び寄せた黒雲と火山の噴煙と灰とで一面が仄暗く、モノクロームの世界のように現実離れしたここは――まるで、盲目の世界。ゼペタルはシントを奪った因縁の尊華帝国に向けて、今一度神儀に則った宣戦布告と同時に攻撃を開始した。)聞け、帝国よ!我らがシント、ヨズアの神の島を剥奪した冒涜へ制裁の雷槌をくれてやる…。花も散り荒れ果てたシントの怒り。その代弁者となることを、我望む!……狂い雨の黒幕はこの俺、黄昏のゼペタルだ。かかってくるがよい!(思うように動かぬ満身創痍の老体。それでもこの口さえ動かす事ができれば、シュクロズアへの祈りは聞きとどけられるはずだ。それだけが今、ゼペタルを突き動かしている核だった。杖をなぞり、回し、なぞり、大きい魔術――豪雨と雷を帝国兵達に向けて放つ。『ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア』。)   (5/2 19:11:58)


山葵:獅子唐 > (火山灰に沈む町。暗雲立ち込め世界が白黒へと染まりゆく。砦の上で高らかに、しかし敵ながら讃賞を贈りたくなるような勇ましい声で尊華へと宣戦布告をする老人を見据えた。右手をゼペタルへ向け詠唱を開始する)… 光煌く所に闇蔓延り、咲かすは逢魔時、散らすは黎明。雲は低迷、空は曇天。今こそ影が……ッ!!(一瞬。耳を張り裂くような雷鳴が、己の付近へと落ちたのが分かった。それへの僅かな動揺からか、詠唱が詰まる。瞬間、雷鳴にも負けぬ凄まじい音が響いた。)ッ……くっ……(しゅうしゅうと音を立てて黒煙が上がり、辺りには肉が焼け焦げたような臭いが立ち込める。獅子唐の右手は魔術の暴発により真っ黒く焼け爛れてしまっていた。)   (5/3 00:53:38)
山葵:獅子唐 > ……はっ……。… 光煌く所に闇蔓延り、咲かすは逢魔時、散らすは黎明。雲は低迷、空は曇天。今こそ影が地を覆い尽くす時。歯向かう敵に向かい矢を放て…!!(じわじわと痛む右手を庇いながら改めて詠唱し直す。何とか詠唱に成功し、己の影から放たれた無数の矢は。己の精神の揺らぎにより情け無いことに格段に威力が低下してしまっていた。)……はっ………。……情けない……。(はぁ、はぁと息を切らしながらも、尚も痛む右手に脂汗を流しながら、よろよろと前線からの離脱を試みるのだった。)   (5/3 00:53:40)


ミカ@梟 > 「吠えろ老いぼれ──ババを引いちまった事、後悔させてやる。(ぽつりと、煙草の煙とともに台詞を吐いた。彼が居ざすは薄暗く、色味を持たない無彩色の大地。岩場に腰掛け、朧朧と瞳に怒りを宿した彼は、じり、と音を立てて、足の裏で味わうようにその灰を踏み込み立ち上がった。腹の傷は、痛みは、まだ癒えてはいない。だがそんなものは、自分や尊華の皆を最悪の渦中へと放り込んだ首魁に対する怒りと、民に対する憐憫に比べるとどうだ、すっかりと消えた訳では無いが、ずっと遠くまで後退したようだ。苛立ちに震える拳は矢先に立つ老人へ向けられ、陰惨な呼吸を数え始める。ひし、ひしとこみ上がる怒りはとめどなく、熱く沸き立つそれは、全身を血流に乗って巡るようだ。)」   (5/6 01:32:49)
ミカ@梟 > 「──『傲岸の亡者 嘲謔の譫妄 謳うは悲心 踊る巫女 凜は禍時 汝凍る蒼よ 三千世界の鴉を堕とし 傲る悪鬼に死の息を』(ぽつり、ぽつりと紡がれる詠唱。気づけば、めきめきと氷が足元を覆う。鉄のように無骨な冷たさ、容赦のない冷徹と無慈悲が形をもって現れたように、巨大な氷塊が、煙草の半分も燃え尽きない内に出来上がっていた。肌を裂くような冷たさに身を包んだ彼は、内に秘めたる『紅翼の蒼』に狂気と殺気を孕ませて、次第にその正体を晒し始めていた。)テメェのツケは、ここで全部払っていってもらうぜ──(バチン、と鳴らされた指。それを皮切りに、巨大な氷塊はゼペタルを目掛けて弾けゆく。彼の怒りや憎しみをその身に宿して。)」  


クノ/竜灯 > 「どいたどいたぁ!!おまんらここは守山ぞ!俺が出ずして誰が出るぜよ!!」((帝國領守山(スザン)。王国王都と大部分を接する要地。天を衝く霊峰が聳え立ち、幾度と無く起きた噴火により火山灰に覆われているこの地域は、古来より王国の攻勢を塞ぎ止める最前線の要害として機能していた。⋯そして今日。攻め込んできたのは一人のヨズア人。一人この要衝に挑まんとするその姿は、かつて神島をたった一晩で落としたとされるヨズアの英雄、尊華の仇敵、シュクロズアを彷彿とさせる。空には黒雲が垂れ篭め、太陽は今や亡き。尊華守山の不倶戴天は隠れたが、決して侮れない大敵が唸り輝いた。⋯今、狂い水より息を吹き返した帝國。言葉を識る者達が砦に集結し、戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。)   (5/5 14:55:43)
クノ/竜灯 > 「⋯聞きとうせ!!!!!」((魔術砦の一角、城壁へと駆け登り立つ兵が一人。羽織姿に赤ハチマキが雨に紛れて吹く豪風にたなびき、砦へと降った閃光に照らされた。続く轟音に負けないよう男は声を張り上げる。)「俺はおんしに恨みは無いが、じゃっけどこの地は尊華守山!!故郷(ふるさと)守るんはこの俺竜灯じゃ!⋯なあご老人、老いて死ぬのを望まんのなら、刮目せよ!!気高き霊峰の護り手にいざ臨め!!!」((穿つ轟雷にも臆せず、竜灯はゼペタルの持つ杖に応え、腰に提げた刀の鞘部分を片手で握ると同じ様に横向きに。)   (5/5 14:55:45)
クノ/竜灯 > 「眠れる業火の帝王よ 目覚めよ真紅を待たずして 我は賛歌を詠う者 汝惨禍を謳う者 霊峰の護り手 我が礼砲に応えん 起きよ主(あるじ)灼灼たれ 熾せ炎延々たれ いざここに 再び統べよ!!」((早口に唱えられた呪文、刀を高く掲げれば、上空に生まれた小さな灯火。炎を巻きながら肥大化していく球状の炎塊は、何れ爆音と共に炎を撒き散らし翼を広げた。翼の映えた蜥蜴の様な姿のそれは、正しく「竜」であった。持ちうる魔力を殆ど使い切ってしまった竜灯は、頭上で刀を鞘より抜き放ち。ぜペタルに向けて切っ先を向け声高に叫ぶのだった。)「⋯⋯行け!直々に火葬してやるぜよ!!」((あの雷が落ちればそこで炎竜を形成し操る魔力は霧散してしまう筈。せめてそれ迄に近付いて相手を焼いてしまおうと決して早くは無いが巨体にしては緩慢ではない速度で炎竜がゼペタルの方へと急降下していった。   (5/5 14:56:04)


〆鯖/ゼペタル > (初めに聞こえてきたのは、雷鳴を切り裂いて轟く暴発音だった。何が起こったのか見えない目では理解することができず、火山の噴火を想起する。しかし火山は己の背にあり、前方から聞こえてきたその音は……おそらく魔術である事を、ゼペタルを察しつけた。)……開幕かな。(ゆらりと細くなった首を回し、長い年月を思わせる白髪と髭を揺らした。親切にも音で居場所を教えてくれたその兵に対して、杖に掘られた古代ヨズア語をなぞり追撃の二撃三撃を見舞う。『ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア。古き神の怒り、その雷槌を顕現せしめよ。我は望み、そして報いる也。脈々と受け継がれしこの血と汝の覇を。』   (5/6 12:55:40)
〆鯖/ゼペタル > ひと撫での暗触詠唱。ゼペタルの雷が墜ちるのと兵の影から無数の矢が放たれたのはほぼ同時であった。強い光は影を濃くするが、影をも消し去る強い光があるとすれば。それは太陽すら敵わぬ一瞬の閃光のみであろう。兵の輪郭さえも朧にさせる程の強い稲光が影と影の矢を照らし、雷槌は落ちた。――兵にではなく、その残像に。 その兵が影の魔術師であることは、こたびの戦において最も不幸であり、また、最も幸運でもあったのだ。ゼペタルにはあなたの居場所は解らず、ただ魔術の放たれたその場所、影のみを追うしか無かったのだから。やがて彼が前線を離脱した事さえも神のみぞ――否。影のみぞ知る事であった。)   (5/6 12:55:44)
〆鯖/ゼペタル > (一息をつく間もなく肌に感じた空気の変化に、再び杖を握り警戒を強める。天候の魔術を使うゼペタルはそういった変化に敏感になるように、知らず知らずのうちに天に訓練されていた。おかしい。活火山の麓であるここは、大気の暑さ、大地の熱さすら感じる場所であったはずだ。それがいやに冷たい――。次の瞬間、ばきばきとなにかが形成される音には聞き覚えがあった。)氷の魔術師か……ッ!(たった今ゼペタルに牙を向いているその兵が、かつて出会った氷の魔術師その人なのかはまだわからない。師と弟子は似るものであるし、決してもの珍しい魔術というわけでもなかったからだ。――しかし、ゼペタルはこれが初対面で無いことを祈りたかった。『そんな魔術師が何人もいてたまるか。』……と。天候操作の魔術では氷を一瞬でどうにかするなどという事は難しく、早い話が相性が悪いのだ。地面にがつがつとぶつかりながらこちらへ迫る氷の塊に何を対抗するべきか、一瞬の逡巡を働かせる。雷――雨――霰――…どれも有効な策にはなりそうもなく、万事休すかと杖を握ったところであった。)   (5/6 13:09:17)
〆鯖/ゼペタル > (砦の城壁から声が響いた。不思議な訛りのせいで何を言っているのか解らず、唯一聞き取れたのは『いざ臨め』と言う勇ましい宣戦布告のみであった。氷の塊の1つ目がゼペタルにぶつかる。胸に与えられた衝撃に耐えかねてどっと地に伏し、追撃に恐れ慄きながら杖を手にした。氷の魔術師はさしずめ後方援護。そして、砦を這い上がってきている勇ましい兵は俺に止めを刺そうとしているのだろう。魔術に対抗する手段がなければ、魔術師を殺すのみ。よろよろと立ち上がっている間の事であった……早口で唱えられた魔術が顕現した炎のけものは強い熱を放ちながら、ゼペタルに牙をむく氷を溶かし、空を飛び回った)……は……?……は…ははっ…ふははははっ…!…愚かなり、帝國よ!統率もまともに取れていないのは昔と変わらずのようだな!……味方同士で足を引っ張り合うとは、滑稽………滑稽!   (5/6 13:25:43)
〆鯖/ゼペタル > (『ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア。』杖をなぞり、嵐をさらに強めた。雷雨の中急降下する炎竜がゼペタルの髪の先をじり、と焦がしたところで雷槌が直撃し、炎竜は怯んだであろうか。その炎竜を形成し操る魔力を霧散させるまでいかずとも、水降り注ぐ嵐の中ではその信仰の力を十二分に発揮することはできぬ筈。勝機に、にやりとひげの下で口角を上げた。)   (5/6 13:25:48)


骨牌/咲夜 > (守山はさながら地獄の様相を呈している。天地開闢の刻もまさにこのような有様だったのだろうか、本国から近場ということもあり多数の兵が防衛にあたっている此度の防衛戦では本営の椅子に座ってそのようなことを朧げに考えている暇すらあった。このまま終わってしまえば助かるのだが、茶器を引き寄せて喉に良いという茶で咥内を潤すとゆっくりと立ち上がり片手で長い髪を整えた。次世代の力量を試すのに今回の戦いは十分に機能しているといえよう、此度の戦の結果をもって佐官の職を三つに分けて件の男の力をそぐのもいいかもしれない、なにせあの八方美人はこの場に顔をみせていないのだから)諸君――。(本営からでた咲夜は車軸を流すような豪雨に打たれながらも、防衛にあたっている忠義者たちへと声を掛けた)そのまま攻撃を続けよ、此度の戦、わたしもでる。   (5/6 14:03:57)
骨牌/咲夜 > (そう言うが早いか紅唇は呪文を唱え始めた。一定の音階で綴られるその言葉はあまりにも静かで雷撃の音に掻き消されそうにもなりながらも淡々と綴られてゆく、咲夜の背後に現れるは地獄の門、そして屍の兵士たち。彼らのなかには未だ肉に覆われた者も多数おり、ヨズアの齎した混乱で生まれた戦士だということが傍目からも見て取れるであろう。そうだ、これは彼らの復讐の舞台でもある。彼らは手に手に武器を持ち、魔術師たちが起こす天変地異に紛れて草木の生え茂ったなだらかな山の斜面を敵将の首級を得るべく進軍する)これで、終わりだ――黄昏の!   (5/6 14:04:12)


〆鯖/ゼペタル > (兵たちに向けゼペタルが放った追撃の雷。影は消え、氷は溶け、炎は身を潜めた。……いや、違う。確かに神の雷槌はそれらを怯ませたであろうが、何よりも真打ちの登場に天命が道を開けたのだ。がちゃがちゃと地獄のリズムを奏でながら山を登り、砦に到達した生ける屍と走る肉。行尸走肉の言葉とは裏腹である事が、酷く皮肉で――尊華的で――。 『死して屍、拾う者無し』の言葉すらもあなたの前では逆の意味になってしまうのだろう。――尊華帝國軍中将、香々夜 咲夜。)………あぁ……再会は思ったよりも早かったな。……死に損ないどもめが。シュクロズアの一番弟子たるワシを侮るなよ。   (5/6 14:57:09)
〆鯖/ゼペタル > (ゼペタルはもはやその音だけで、あなたの存在を悟る事ができた。杖をなぞり、さらなる雷槌を呼ぶ。ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア。天空の階段から現れし偉大なるヨズアの王よ、汝心して聞き届け給え。古の神へと続く天窓となり、雷槌を顕現せしめよ。稲妻の先へと、我を導き給え。』 轟音と閃光と共に雷槌が大地を、屍兵を貫く。たった一人にしか教える事のできなかった真名では天命への絆は弱く、決して『蹴散らす』というわけにはいかなかったけれども。それは確かに一人、二人、三人。十人、二十人と傀儡の数を減らしていった。それでもなおゼペタルに迫ろうとする兵の数は、シントでの戦よりも多く、とうとう肉を持った屍の剣がゼペタルに肉薄する。)……何故……何故こんなにも弾が尽きぬ!……   (5/6 14:57:16)
〆鯖/ゼペタル > (杖を前に掲げてなんとか急所を守ろうと身構える。しかし、見えぬ眼では己を護る事すらもままならず、まずは一人目の屍兵が杖を弾き飛ばし、袈裟の形にゼペタルの胴を切りつけた。)……っく、ぐああっ……!(杖で護っていた急所だけは護られたものの、腹から腰、足の付根にかけて鮮血が迸ると、ゼペタルは地面に膝をついた。次なる一手が止めかと息を止めると、傀儡はゼペタルの流した鮮血を求め、よろよろと地面を這いつくばった。『水……』そう、ぽつりとこぼして。)……な………これは……そういう事か……ッ…!(――己の失態を悟る。『屍拾う者』たる咲夜に、俺は塩を送っていたに過ぎなかったのだ。)>中将   (5/6 14:57:22)

ぽぺ/糸依 > (ごうごうと空が轟く此処は守山。焔よりも更に熱く煮えた溶岩を抱えた火山が聳える、我が愛国の支配地。……今日、言葉という名の力を持った者達がそこに集う、まことめでたくもない由で。私も足を運ぶ一人、いち早くこの情報を彼女に、咲夜中将官に伝えんと、憎き雨に融かされ泥濘に嵌まる足を形振り構わず進める。私を包み保護するように羽織られた群青の布は、作為の雨に侵されずっしりと重い。全身に纏う枷のように自由が制限される、過ちを犯した元凶である雨が私の怠惰を裁いているというのだから、これ程に愉快な話はない。唸るは厚い雷雲、冷徹の天の恵みに静まる熱き山、こんな中でも昂然とした探し人はもうすぐそこ。)「……咲夜中将官! 此処に糸依、報告に参りまして候。……かの王国の領地、鳳頼がヨズアの手に落ちたとのこと」(荒れ狂う天候に負けじと緊張を孕んだ声を張り上げ、帽子を外してはそのまま彼女に対して頭を下げる。濡れて額に貼り付いた前髪が注ぐ雫によって更に重くなり、重力に沿って額から剥がれる。ゆるりと顔を上げれば、そこに居るのは水も滴る良い女。対面するのは此度が初めてではない、確か前回もこうして情報を交わしあった筈だ。   (5/7 23:24:03)

骨牌/咲夜 > 鳳頼が落ちたか!。よく伝えてくれました……しかし、我らも甘く見られたものです、ならば彼方の統治で旅団連中は手一杯でしょう。援軍はないとみていいだが……諸君らは一時、控えにまわり後続を警戒せよ。(豪雨のなか帝国軍の若い女兵士、糸依により伝えられた報告は王国の一地方、鳳頼が陥落したというものだった。王国と聞いてまず一番に思い浮かぶのは鬼と恐れられた千騎長の顔か先の共同戦線で協定を破棄してしまった手前、心苦さは終始付きまとい、なんらかの方法で彼と王国に報いねばと思うのだが、それを考えるのは今ではない。与えられた情報から導き出されるのは相手の疲労と援軍がないだろうということ、そして……。攻撃を行っていた魔術師たちを控えに回す命令を下すと、咲夜は顎先に手を添えて首を傾げた。長い睫毛の先から雨が滴となって頬の上へと零れ落ちる)   (5/6 15:33:40)
骨牌/咲夜 > ……なぜ、こうも生き急ぐ? 鳳頼が落ちたのだ、それでいいじゃないか。二兎を追う者は一兎をも得ず、先の戦いでの傷もまだ癒えていないだろうに、なぜ?(疑問を口にするが答えるものは此処にはいない、ならば。咲夜は一度、瞼を閉じるとゆっくりと双眸を開いた)糸依、急いで来たところすみませんが、これから山を登ります。援護なさい。(豪雨が降り頻る現状、少女の足では山の斜面を登るのは難しい。だが凝固の魔術に長けた兵がここにいる。ならば仇敵への地獄への餞として言葉を交わそうと自ら山を登ることを決意し、糸依に命じるのと同時に呪文を唱え始めた。   (5/6 15:33:58)

ぽぺ/糸依 > ……そう、ウェンディアの土地がヨズアによって失われた。大陸の中心よりも少し西、舞台は鳳頼だ。憎き敵とはいえ王国の者は戯けばかりではない。それなのに鳳頼は易々と落とされてしまった。その事実は、伝達に参上した私にとっても驚愕の出来事で。攻城の際、鳳頼にも雨が降っていたという。王国の轍を踏む訳にはいかないが、やはり不安を煽られて仕方がない。益々闇を広げる空のように、私の心も曇り模様。)「…………御意、それではご一緒させて頂きます。……少々御待ちを」(轟音の隙間を通すように凛と響いた声。どうやら中将官自ら敵と対峙するつもりらしい。共に来いという指示に一瞬言葉を詰まらせるが、ここで断るという選択など無いに等しい。再び彼女に会釈をすれば、今から私が魔術を向ける相手を、その山を見据える。此処を登れば、この迷惑な悪天候を産み出す敵の姿を拝める。お国の為にと滾る気持ちは勿論ある、ただそれを実行するまでには至れない。   (5/7 23:24:07)
ぽぺ/糸依 > 触れたもの伝いにしか範囲が及ばない以上、遠くの敵への干渉はあまりにも時間がかかる。それに雷や雨粒に対しては私の能力を生かしにくい。避雷針代わりにしかなれぬ未来など想像に容易い。……無力が憎い、この血染めの手でしか汚せぬのが憎い。私は理不尽だ、この力そのものを卑下しながらも更なる力を求めているのだから。頬を濡らす水を手の甲で拭い、その場に屈んではぬかるむ地面に手を当てる。)「吾が無知誘うは我が配地――」(戦は敵を、そして己を知ることから始まる。力量を見極め、作戦を練り、勝利の算段を立てるそこから。決して慢心してはいけないが、敵の気に怖じ気付き敗北に心が耽溺してもいけない。確かに私は、雨のせいで過ちを繰り返した。失態を忘れてはいけない、しかし引き摺ってもいけない。前回不正解を選択したのなら、ここで正解へ辿り着けばいい。今私がやるべきことは? 恐れることか? 繰り返すことか? ――遍くものに審判を。決意を、歩む道を固めて。止まぬ雨はないように、人は永久には病まぬもの。雲の縦断の空隙から差す明かりのように、私の心にも、光が差さんことを。)   (5/7 23:24:23)

骨牌/咲夜 > その頃、屍兵たちはゼペタルを追詰めていた。さすがに多数の魔術師を相手に連戦ともなれば猛将でも手に余るか、地面に膝を付き、血を流すゼペタルを見て屍兵たちはケタケタと笑う。なにが面白いのか、屍が尽きぬ理由に気付いた貴方を嘲笑しているとでもいうのか、その嗤い声は雷が走り抜ける豪雨の中でもはっきりと響き渡り、咲夜の次なる命令が伝わるのと同時に骸骨兵たちは一か所へと集まり、そして、巨大な骸骨を形成する。それはさながら帝國の古典に記されし『がしゃどくろ』、香々夜の秘術であるそれをみせるに相応しい相手は貴方をおいて他にはいないだろう、巨大な骸骨は山の斜面に腹を這わせながら威嚇するように口を開き、残り僅かとなった貴方の生命力を吸い取ろうとその躰に掴みかかった)   (5/6 15:34:05)

〆鯖/ゼペタル > (透明の水は天から余る程降り注いでいるというのに、鮮血の赤さだけに惹き寄せられてそれを舐めようとする一人の屍は、死して尚幻覚から醒めぬまま傀儡となった哀しき戦の産物だった。嗤う屍の不気味さも、元は人であった事が信じ難い。けたけた、がたがた、がらがら、がしゃがしゃと。音を立てながら一箇所に集まり一つの髑髏となったそれらは大きな手でゼペタルの胴を掴み、握りつぶすまでもなく、消えかけている生命の灯火を吸い取ろうと指を緩慢に動かした。)……っ……!(細くなった体はさらに干からびるように、徐々に”年老いて”いく。髪ははりを失い、頬はこけ、色はくすみ、眼瞼が落ち窪み、唇は乾き、手に入れられた刺青の言葉はさらなる皺によって歪に形を変えていった。地面に落ちた杖はもう拾い上げる事はできない。ゼペタルは乾いた唇で最後の祈りを古代の神に、シュクロズアに捧げた。)…ダー……ニト……ロロイ……シュクロズア。……暗闇を照らす、閃光を……………全てを見透す……光を。……われ、望む……。   (5/6 16:05:04)
〆鯖/ゼペタル > (杖には掘られていない呪文であった。ゼペタルの脳裏に浮かぶ光景は、嘗て見た光のある世界。因縁の仇敵はどんな姿をしているだろう。消えゆく生命の中で見たその幻覚は、尊華に咲くという儚い花に似た、美しい少女のような姿であった。それが俺に引導を渡さんと山を登ってきている。……お前と初めて戦った時から随分己も歳をとったのだ、そんなはずはない。きっと、初めて戦った時の記憶と混ざり合っているのだろう。とうとう想像すらもここまで貧弱になってしまったのなら、もう魔術師としても幕引きの時だ。 しかし、シュクロズアの慈悲か。呪文は聞き届けられた。『全てを見透す光は』稲光として山を煌々と照らし、幻の中の少女めがけて奔った。)   (5/6 16:05:07)


骨牌/咲夜 > (まるで花が枯れるように大髑髏の指に掴まれたその人の躰は年老いてゆく。力なく垂れ下がったその腕は枯れ枝のようで遠目に見える姿に咲夜は柳眉を寄せた。見よ、あれがいつかはこの身に訪れる最後だ、生きてはいるがその姿は屍兵たちと変らない。口の中でそう自らに言い聞かせるように呟けばなぜだか急に喉が渇き唇を舐めた。骸骨の手の中で貴方の躰が小さく動き、その乾いた瞳が此方を向く。その眼に自分の姿が映っているはずがない、そうは思うが、窪んだ眼窩の奥に潜む瞳はまだ戦意を失っていないようにみえた。命を賭していったいなにが得られたのだろうか)……なぜ、こうまで戦おうとする! 貴様らヨズアの目的はなんだ! 貴様たちは既に土地を得たのではないか、だのになぜまた欲しがる!なぜ現状に満足することができない!貴様たちは…   (5/6 16:37:04)
骨牌/咲夜 > (咲夜は足を止めて叫んだ。それが貴方との戦いで常に抱き続けて来た疑問だった。貴族に生まれたが故の傲慢さといえばそれまで。持たざるものの苦境を理解できないその身ゆえ日陰ものは日陰に生きていればいい、お前たちだけが我慢してさえいれば世界は平穏なのだと傲然と言い放つが、すべての言葉を吐き捨てる前に暗雲が渦巻き最後の一撃と呼ぶに相応しい裁きの光が放たれた。しわがれた唇が呪文を唱えていたと気付いた時には既に遅かった。庇うように両手を顔の前で交差させるがそれがなんの意味をもつのだろう、雷撃に貫かれた身体は瞬時にして燃え上がり、白い肌が黒煙と火傷により色を変える、開いた唇から溢れ出す白煙。目の前が真っ暗になり深い闇と苦痛にのまれるが、咲夜は膝をつくことなくその唇で呪文を唱えた)   (5/6 16:37:21)
骨牌/咲夜 > ひと、ふた、み………ゆら、ゆらと(生命力を操る香々夜の呪文。それが咲夜の命を繋ぎとめた、ことに貴方から生命力を搾り取っていたことが功を奏したのだろう。黒く焦げた唇から紡ぎ出された呪文により咲夜を中心として守山の草木が枯れてゆく。たった一人を生かすために、多くの生命力を奪わなければならないとはなんたる皮肉か、咲夜は背筋をただすともとの桜色を取り戻した唇を歪めて嗤った)   (5/6 16:37:32)


〆鯖/ゼペタル > (少女があなたの声で叫ぶ。何故戦うのとかと、なぜ欲しがるのかと。心底理解できないという口調でゼペタルの強欲さを非難した。乾いた口を開き、ゼペタルもあなたとの戦いで抱き続けていた気持ちを湧き上がらせた。『ぬくぬくと暮らしておる他国の人間には解らんだろう。戦わねば国も、文化も、国民も。何もかも取り戻す事が出来ないヨズア人の気持ちなど。』 神の雷槌は少女に命中したが、膝をつく事すらもせずに口を開くその姿はやはり幻じみていた。口の動きや目の動き、己が今全てを見透す事ができているように感じるのも、また。 守山の草木が生命を吸い取られ枯れて、中心に居る少女が生気を取り戻す。――ああ、幻ならばどうか。ゼペタルの意識はもはや、戦にはなかった。)……どうせ……死ぬのなら……ここではない、ところへ……。連れていって、くれないか……。…全てを失うまで……俺は……。   (5/6 22:57:41)
〆鯖/ゼペタル > (もごもごと、一層聞き取りづらい声でそうつぶやく。脳裏に浮かぶのは、たった一人の我が子。王国で狂い水の特効薬が出回ったとの報せを聴き、宿屋の主人に任せて置いてきた弟子。『異国の地で倒れたくはない』との思いをずっと抱えてきたゼペタルが今一番帰りたいと願うのは かつての領土シントでも、新たなる領土ホーリアでもなく、カヤの居る王都だった。願いは誰に言うでもなく、目の前の霊性を感じる神業に向けてこぼれ出、そして……髑髏の手の中で息絶えた。)>咲夜さん   (5/6 22:57:47)


骨牌/咲夜 > ……(髑髏の中で息絶えたその躰はあまりにも小さかった。こんな小さな躯に我々帝国軍は長年に渡って苦しめられて来たというのか、貴方の躰を握りしめた骸骨はゆっくりと瓦解してゆく。数多の躯が転がる高原で紅唇からふっと小さく息を吐き出すとけぶるような睫毛に縁取られた瞼を閉じ、長年の好敵手に対ししばし黙祷を捧げた。そうしていれば降りやまぬ雨粒が頬にあたるのを感じる。そうだ、これは涙ではない。雨だと自分に言い聞かせた。祈りを捧げる内に厚く垂れこめていた黒雲はいずこかへと流れ、晴れ間が現れる。天空へと昇る階にも似た光の柱は瞳を閉じた咲夜の記憶に残ることはなかったが、確かにそこに存在したのだ。その者は天空の階から現れ、そしてまた天空へと帰っていった。咲夜は目を開くと荒地と化した高原を見渡し、残った屍兵を回収すべく呪文を唱えようとして口を噤んだ)   (5/6 23:46:23)
骨牌/咲夜 > ……ここではない、どこかか。(彼は確かにそう言った。それが最期の言葉だった。ここではないどこか、咲夜の灰銀色の瞳に映る枯れ木と躯、赤茶けた土のみの光景はあまりにもの寂しく、自ら骨を埋める場所として選ぶべき場所ではないように思えた。彼もそのつもりでここに来たのだろうか、たったひとり我ら帝国軍に勝てる気でこの地へ。そう思いはしても答えがでることはない、咲夜はゆるく首を振り歩き出すが、数歩すすんですぐに爪先にあたりカランと音をたてるものがあった。足元に転がるそれは彼が手放した杖だった。この場に咲夜を引きとめるように現れたそれを拾い上げ、しばし見詰めた後に踵を返すと、彼の遺体へと歩み寄り、腰にさした日本刀を片手で抜き、高く掲げた)   (5/6 23:46:37)
骨牌/咲夜 > その腕、証拠として貰い受ける。ひとふたみよいつむななやここのたり、ふるべゆらゆらと……迷える旅人の魂魄よ、いざ賜え。さあ、ゆくがいい。お前がゆくべき場所へ。(振り下ろされた銀閃はシュクロズアリの魂ともいうべき刺青の刻まれた両腕がばさりと切り落とされるが、枯れた躰から流れ出る血潮の量はあまりにも少なかった。それを見届けた咲夜は呪文を紡ぐ。守山の自然を代償にして得たこの身に満ちる生命力の幾ばくかをその躰へと移してゆく。徐々に生命力を取り戻す老爺の肉体。それと同時に蘇る雷撃による痛み。雨に濡れた男の白髪が艶やかな黒へと変じたのを見届ければ、咲夜は視線をついと逸らし、貴方に背を向けると、大切そうに腕を抱えた屍兵を伴い山の斜面を下っていく。おぼつかない足取りで急斜面を歩くその手には、杖が握られていた)   (5/6 23:47:08)