この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

舞踏会-さあ、目を開けろ-

(アッシュ&ソウ)

クノ/アッシュ > 王都を襲った未曾有の大災害「狂い水」。開催が危ぶまれていた舞踏会であったが、聖騎士団所属の司祭、ガデューカが完成させたという特効薬により人々は救われ、国の英雄となった彼女を労い、そして変わらぬ王国の繁栄と栄光を祝し、開催は決行された。例年よりも心無しか煌びやかに見える会場を端の方で眺めながら、アッシュは肩を上下させた。)「⋯⋯⋯⋯はぁ...っ」((いつも通りの騎士団制服の上に形だけ羽織った式典用のマント。少しごわごわとした生地と施された装飾に鉛のような重さを感じながら、手に持っていたグラスに視線を逃がした。⋯百騎長に再び就任したアッシュが欠席する訳にも行かず、やってきた舞踏会だったが。雨上がりの王都にあって彼の心はどんより曇り空であった。白いシーツを掛けられた机に鎮座する豪勢な料理を口にする気にもならず。乾杯の為に仕方なく注いだ真っ赤なワイン。ほとんど減っていないワイングラスに視線を落としていると、摘む指に無意識に力がこもり。水面に映るシャンデリアの灯りが激しく波打った。)   (5/2 21:40:26)
クノ/アッシュ > 「⋯⋯⋯⋯くそ⋯⋯。」((騎士や貴族達の談笑も、楽団によって奏でられる音楽も、あちらこちらで聞こえる靴が床を打つ音も何もかも聞きたくない。⋯⋯視線を上げれば遠くで揺れる翡翠色の髪がまた映りそうで、ぐつぐつと煮え滾った泥濘の様な感情を揺れるワインの水面に押し込めていた。⋯⋯⋯⋯故に、気づくのが遅れた。目の前を横切ろうとやって来た影に。)「⋯⋯⋯⋯っ、ふ、副団長⋯⋯。⋯⋯お疲れ様です。」((⋯⋯ウェンディア聖騎士団副団長「ソウ」。自分よりも遥かに位が高い貴方の礼服は自分のよりも装飾が華美で、視界に映った瞬間に気づくことが出来た。はっ、と顔をワイングラスから上げると、ゆっくりとした動きで踵を揃え、ぎこちなく頭を下げるアッシュであった。   (5/2 21:40:28)


ゆう。/ソウ > (ソウは疲れていた。はっきり言って彼は外の華々しい「用事」は嫌いだった。彼は望んでいたわけでもないが【副団長】という地位に君臨し、様々な事を統治しなければいけなく、もちろんこのような舞踏会に欠席するわけにも行かなかった。)「こんな重い衣装…着づらいんだよ…ムズムズするし…舞踏会なんてなくなればよかったのに…(彼は幸運にも王都を襲った史上最大級の災害には巻き込まれなかった。あの時は家でずっと待機していた。もちろん周りからの指示、命令もあったのだがそれだけではない。前団長の{アナスタシア}。彼女が忘れられずに、慟哭していた。毎日彼女のことを考え、途方に暮れていた。しかし最後にはそんなこと考えていても意味がないと気づき、前を向くことにしたのである。別に彼女が亡くなったわけではない。会おうと思ったら会える。回数が少なくなるだけ。そう。回数だけ。と思うことにより彼の憂鬱な気持ちを変えさせた。それからの舞踏会では幾つもの人に頭を下げ、酒を交わそうとする大人達を未成年だからと笑   (5/2 22:15:36)
ゆう。/ソウ > い、楽しい(彼にとっては憂鬱だが。)話をした。しかし彼には超人的な体力もなく、だんだん疲れてきて口数も少なくなり、少し休憩しようとした。すると彼の目には先日入ってきたばかりのウェンディアの百騎長。【アッシュ】が何故かしょぼんでいた。話し相手にするには丁度いいし、これで他の人に誘われることもない。アッシュの方にジュースが注がれたグラスを持っていき、)うっす。(とだけ挨拶をした。彼の方が地位は下だが、年は上なため敬語を使っていることもある。少し会釈をすると、)どうしたんすか。元気なさそうですね。(とだけ声をかけ、アッシュのグラスは満杯なことは見たらわかるが、ワインを注ごうか尋ねる仕草をする。   (5/2 22:16:01)


クノ/アッシュ > 「⋯⋯この度は⋯狂い水に対する特効薬開発を祝い⋯⋯更なる王国の繁栄を願い⋯⋯あっ。⋯⋯⋯っ。」((踵をぴしりと揃えたは良いものの、下げた頭を上げれば背は少し猫背気味に曲がっており、貴方の足元に視線を落としながら辿々しく、当たり障りのない祝詞を口にしていく。⋯⋯が、その言葉は最後まで続くことは無かった。フラッシュバックするのはつい数日前の記憶。閃光と轟音、太陽を覆い隠す厚い雨雲、砦内に侵入した魔術師と騎士の戦い。⋯⋯狂い水に侵されていない騎士としてホーリア防衛に向かい、敗北しみすみすとホーリアを奪われた記憶がちらつく。⋯⋯澱んだ瞳に煌々とした燭台の輝きすらも吸い込む程の影を落とし、だらんと下げた片腕に力を込め、謝罪の言葉を飲み込むのだった。   (5/2 22:35:07)
クノ/アッシュ > 続いた優しい貴方の声掛けに僅かに反応を見せ、一瞬だけ視線を上げると、ワインボトルを手にした貴方に片手で掌を向け、申し訳なさそうに遠慮し。そのままその腕を宙にさ迷わせてから、力なく落とした。)「⋯⋯いえ⋯⋯その⋯⋯。」((ちらり。横目が向いた先には、小麦色の肌に白髪の少女の手を取って踊る、花のドレスに身を包む翡翠の少女。⋯百騎長レフィーネの姿。一瞬顰められた眉と同時に瞳も細め、確かな感情を表情に宿してから、向けていた視線の行き場をなくしてゆらゆらと泳がせた。結局戻った先は貴方の胸元だった。)「⋯⋯⋯⋯すいません、あんまり、得意ではなくて⋯、こういうのは⋯。」((咄嗟に吐いたのは適当な嘘であった。   (5/2 22:35:08)


ゆう。/ソウ > (彼にワインのボトルを差し出しても断られるのはもう自明であった。彼のワイングラスには並々とワインが入っているというどころか、口を付けた痕跡さえ見つからない。明らかに元気がない。もうそれは誰が見ても何かがあることは明白だし、一応の上司であるため部下の体調、機嫌を聞き、答えを導くのは当たり前だ。と感じ、彼に、元気がないようだと指摘すると、彼は吃りながら否定した。勿論そんな事でああそうだったか。と納得する訳にもいかない。もうオーラがどよんでいる。しかも彼は、否定しながらも、華やかな服装に身を包み、踊っている百騎長。レフィーネを見つめている。アッシュはその後、すぐに目を他の方向に逸らしていたが、レフィーネが関係していることは確実である。確かに、レフィーネはドジで、天然だから何かあったのだろう。すぐ済む話だろうと思い、一回アッシュの目を見て)あれ…ですよね…(と言いながら目を細め、楽しそうに踊っているレフィーネに指を指す。)アイツ…ドジですし…なんかありましたか?(なるべくアッシュのことを興奮させないように言葉を選びながら尋ねる。もう「アイツ馬鹿ですから。」の準備は出来ていた。   (5/2 23:05:22)


クノ/アッシュ > ホーリアで負けた事など、もう最早今はどうでも良い。そう思える位に彼の心は一人の女の子の事が、溢れそうな程に並々と。さながら少し揺らせば溢れる程に注がれたグラスのよう。握られたワイングラスの水面を波打たせながら、視線を貴方の胸元に留めていた。)「⋯⋯。」((あれ、なんて言われても反応出来る筈のないアッシュだったが、確りと指を指されてしまえば反応する他なく、釣られて其方に視線を向ければ、既にレフィーネはダンスを終えていた。さっきの少女と分かれて相手を探していた様だが、案の定此方に視線を向けてくれる事は無く。このまま見ていたらそのまま見蕩れてしまいそうで、色んなものが溢れてしまいそうで、諦めたかの様に視線を再び貴方の⋯⋯今度は一応ではあるが視線を僅かに上げ、口当たりに止めた。)「⋯⋯リ⋯⋯⋯⋯っ⋯⋯レフィーネは⋯⋯。⋯⋯⋯その⋯⋯」   (5/2 23:25:08)
クノ/アッシュ > ((⋯言えるはずもない。⋯⋯俺が勝手に嫉妬して、それに、元は俺が役立たずだったのが行けなかった。愛する人すら助けられず、⋯ソウさん、貴方も知っているようにホーリアも守れず。⋯⋯だからレフィーネは俺を見限って⋯⋯他の奴と⋯⋯っ⋯⋯!!⋯⋯⋯⋯口にはしていなくても、そのどろどろとした感情はいとも簡単に表情に現れ始め。悔しげに歯噛みしながら、またしても俯きがちにグラスを握る腕を激しく震わせた。)「⋯⋯⋯あいつは⋯良い奴⋯⋯なんです⋯、凄く素敵な人で、強くて、優しくて、⋯俺なんかには⋯⋯⋯でも俺は⋯それでもあいつを⋯⋯」((途切れ途切れの震え声ではあるものの、隠しきれない想いが込められた言葉の一つ一つが紡がれて言った。溢れ始めた言葉は止まることを知らず、何も知らない貴方に、それも副団長に話すようなことでは無いのは分かっているのに我慢出来なかった。⋯⋯理由はただ一つ、リルを愛していたから。   (5/2 23:25:10)


ゆう。/ソウ > (レフィーネの事を指差してもアッシュはなかなか口を開かなかった。過ぎていく時間。沢山の人がノっている音楽がホールいっぱいに反響し、自分の耳に届く。少し、時間が遅く感じる。すると頭の中に一人の女性が思い浮かぶ。勇敢で、優しく、しなやかで元気な彼女。彼女といたら何をしているだろう。幸せなのか。恋という病に侵されたままなのか。そんな事を考えながらアッシュが口を開くのを待った。わざとソウは何も言わずにただ、ただただ待った。すると音楽は止まり、レフィーネは相手を見つけにたたたと去っていった。どこか”彼女“と重なる。するとアッシュがゆっくり顔を上げ、また吃りながらもレフィーネに対するなにかを言おうとしていた。ソウは何も言わず。鼻をすすり、口を閉じ、アッシュがちゃんと話すのを待っていた。ホールに止まっていた音楽。三拍子のノリのいい曲がかかり始める。少し歓声が沸く。するとアッシュの腕が激しく揺れはじめたが、ソウは何も言わ   (5/2 23:47:27)
ゆう。/ソウ > ずに今度は目を閉じてアッシュの言葉を待った。するとアッシュはレフィーネの事を語り始めた時、ソウはある事を確実に確信した。閉じているソウの瞼の裏側にいるのは、美しい金髪の女性がプリン片手にフッと笑う。そしてやっとソウは口を開く。)アッシュさん。恋…という病気。知ってますか。僕は一回だけかかったことがあります。(目を閉じて、“彼女”の事を想像しながら喋る。)それは、危険です。危ないです。一回かかったらもう心がどこかへ飛びます。でも…(目を開け、アッシュの目をしっかり見つめ、)幸せなんです。(なぜか瞳から涙が溢れでる。)いつかその病気は無くなります。しかしその時には遅いんです…理由はわかりますよね…?(ボロボロと涙を流しながら言う。後半になるに連れて早口になり、大きくなっていく。)貴方は何をすべきだと思いますか?   (5/2 23:47:47)


クノ/アッシュ > ⋯ざわり。胸が騒めいた気がした。⋯⋯〝恋〟。目を一瞬だけ僅かに見開いて、アッシュはその言葉を心の中で反芻する。恋の病、という表現がある事は昔から知っていた。けれどそんな事忘れてしまう位、昔の自分には縁の無い事でもあったし、勇気も出なかった、それに当時の自分にはそれよりも大事な事があった。だが⋯恋と愛を知ってしまった今、何年ぶりかにその言葉を耳にして、酷く納得してしまった。胸の痛みも悔しさも、全て本当に病としか例えられないものだった。自分にとっては不知の病も同義、これから一生レフィーネの事を忘れられる日は無いと思う。───だけど、そう思っているのは俺だけなんじゃ。ぽつりと胸に落ち、波打たせる想いにまた痛くなる。視線を上げれば、程なくして閉じていた貴方の目はゆっくりと開かれた。⋯⋯それだけではなかった。) 「⋯⋯⋯ソウ、さん⋯⋯⋯」   (5/3 00:21:28)
クノ/アッシュ > ((⋯それは悲しみだった。幸せと口にしているのに、否定するかのように雫が落ちる。閉じ込めていたものが溢れたかのように思えた。言葉一つ一つが胸に染み渡り、表現しにくい気持ちにはなれど、伝わってきた。グラスを持つ腕の震えはいつしか止まっていた。自分よりも余っ程辛い経験をして来たのだろう、なんて考えると同時に何故か脳裏に浮かんだ金髪の女性。その答えを導き出すことはアッシュには出来なかったが、涙ながらに想いを零す貴方の言はアッシュの心を激しく揺り動かす。)「⋯⋯⋯⋯俺は⋯⋯。」((再びグラスに視線を落として、行き場所のなかったもう片腕も動かすと、両手でワイングラスを握り締めて真紅を覗き込んだ。『⋯〝俺はどうするべきなんだ。〟』⋯水面に映る自分に問うても答えは返らない。同じように口を動かすだけ。⋯⋯でも、胸の中にずっと、燻っていた想いは一つだけあった。『どうするかべきよりも、お前がしたいことがあるだろ。』⋯水面の俺がそんな事を口走った気がした。黙って立ち尽くすアッシュ。一時の悩みの後。)   (5/3 00:21:30)
クノ/アッシュ > 「⋯⋯⋯⋯っ!!!」((両腕で掴んだグラスに口を着け、ぐいっと深く煽る。渋い味がしたけれど、気にせずに喉を鳴らして飲み込む。注がれていたワインを一口に飲み干してしまうのは良い行いとは言えぬものだが、そんな事は今更どうでも良い。自分にとって大事なのはただ一つだけ。⋯⋯⋯⋯これだけで酔える訳はなかったけど。)「⋯⋯⋯俺は、レフィーネを────愛している。」((貴方の問いに答えを、想いを吐露する為の理由が欲しかったのだろう。空になったグラスを下げると、黒い瞳を一瞬だけあなたに向けてから、空になったグラスを静かにテーブルに置いた。   (5/3 00:21:38)


ゆう。/ソウ > (涙が止まらない。もう…もう。二度とあの幸せは戻ってこない。プリンも一緒に食べられなければ、一緒に辛い任務を終えたご飯も食べられない。あの時間は。空間は。戻ってこない。その事をアッシュに伝えてからなぜか涙が止まらない。内ポケットから“彼女”からもらった赤色のハンカチで涙を拭く。しかし涙は止まらない。もう諦めハンカチをしまい、鼻をすすってから、アッシュの繊細で綺麗な手を見ると沢山の鳥肌が立ちまくっていた。よっぽど辛いんだろうと思ってアッシュの反応を待っていると、アッシュはさっきとはうってかわって、ワインをゴクゴクと飲みソウが求めた“答え”を出した。それからアッシュは空になったグラスをテーブルに置いた。   (5/3 00:46:42)
ゆう。/ソウ > それから三秒ほどの静寂が続いてから、ソウは自分の右手をアッシュの頭に乗せ、ものすごい涙を流しながら、今自分ができる最大の笑顔をして、顔がぐしゃぐしゃになりながら…)正解です。よくできました。(そう言ってまた、アハっと笑うがもっと彼の瞳からは透明なガラスのような涙が止まらない。しかし正装のポケットからプリン味の飴をアッシュに差し出して。)それでは、僕は。失礼します。(そう言って、グラスに少し涙が混じりしょっぱくなってしまったジュースを一気飲みしてから涙を拭き、180度回転して他の来賓の方へ向かう。)あ。そうだ。(内ポケットからアナスタシアの写真を出し、少し見つめてから。)自信を持ってください。処方箋はありません。神の御加護がありますように。(そう言って一礼し、また来賓の相手をしに歩き出すのであった。__〆   (5/3 00:47:07)