この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

師弟

(オウガ)

しぃずま@オウガ > (恐ろしい夢だ。朦朧とした意識と毛布の中、ベッドの上でその言葉だけをひとつ、ぽつりと溢した。目の前で大切な人を失う夢。ゼダス、だ。自分が最も恐れていて、避けられぬものなのだ。彼は、オウガはは不器用で人柄の良い人間で、突き放すということが良くも悪くもできないのだ。しかし、そんな彼でも、断るということはできる。自然に戦友は増えるが、それ以上の人間を増やすこともなかった。戦友の死は、もちろん悲しい。散り行く戦友を幾度となく目にし、そしてその上に自分という人間が立っていた。若い頃は、吸血鬼…不死、という意味でだが、呼ばれていたこともあった。冷酷な男?違う。熱すぎて涙が乾いたほどだ。血も涙もない?違う。流れきってしまっただけだ。民の目に、自分がどう写っているのかは、その噂を聞いた時点で、もうすでに分かっていた。それほどまでに悲しみを背負う自分だからこそ思う。自分が消えたとき、強い関係を持つ人間が、どれほどまでに悲しむのか。だから、戦友以上の人間を増やさないのだ。だが、今は違う。弟子という人物を、自分から作ったのだ。)   (4/27 16:25:43)
しぃずま@オウガ > 目に見えるすべてを救ってみる、か。(その瞬間、自分に誓った言葉だ。ベッドから降りて、ベランダの方へ向かう。)今の俺なら--できるかな。師匠。(手すりに腕をかければ、風はその背中を押すように強く吹き、鳥たちがエールを贈るように騒がしく飛び立っていく。自然が、その答えを代弁するように。)師匠はいつまでも、自然に愛されてるよな…ハハ。(その様子を見れば、オウガがゼダスにさせた訓練を、自分がしていたときを思い出す。生命が渦巻く森の中で、木に寄りかかって穏やかに居眠りする師匠の元へ、鳥たちは集まってきて、心地の良い風もその時に吹き始めた。静かな風は師匠を包み込み、優しい声で鳴く鳥は、子守唄を歌っていた。)   (4/27 16:26:14)
しぃずま@オウガ > 俺はアンタを救えなかったけど、師匠。(いつものように、師匠の家に入ったときのことを。あの日のことを。)俺だってこの力を育ててきたんだ。(蝶が弔うようにあなたを包み込んでいたことを。)俺はアイツを救える。そうだろ?…師匠。(ベッドの上で、脇腹から血を流すあなたのことを。)…絶対に、忘れねぇから。(オウガの心と力、あの頃より少し強くなった。救おうと思った者を、救える強さを手にいれた。目に写るものを救う強さを、手にいれた。人が死なない戦争はない。だけど、救える者を救うことは、できるはずだ。救えなかった者を悼むことは忘れない。だから、)恐れる必要は、ない。(屍山の上で、一人一人をその心で抱き締めながら、そう言った。)」   (4/27 16:26:32)