この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

ホーリア攻城

(アッシュ&ゼペタル&雷鏡)

〆鯖/ゼペタル> (制裁の雨を吐き尽くした灰色の空の下、再び雨呼ぶ暗雲を陣のごとく張り込める為ゼペタルは古代ヨズアの語の掘られた杖をなぞった。『ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア。偉大なるヨズアの王よ、いにしえの神へと続く天窓となり給え。いにしえのヨズアの神よ、嵐を呼ぶ暗雲を、われ望む。』もくもくと呼び寄せられた黒雲は王国の信仰の要である太陽を覆い隠して空に蔓延った。ここはウェンディア王国の王都の隣に位置する都市、ホーリア。神儀に則った宣戦布告を隣に居る少年に任せ、それが叶ったのを耳にしていよいよこの場所にゼペタルは降り立った。報復の刻は来たり。)……ライキョウよ、まさか、本当にお前を雇う羽目になるとはな。……知っての通り儂は盲だ、お前が、儂の目になってくれ。共に神の雷槌をくれてやろう。   (4/27 00:48:51)
〆鯖/火津彌> (髭の下でもごもごと口を動かして呟く。シントでの防衛によって追った傷は未だじくじくと痛み脂汗がにじむが、このゼペタル、ただでは死なぬ。すう、と息を吸い、砦に向かって今一度神儀に則った宣戦布告を行う。)…我が名はゼペタル、黄昏の名を持つ者!千年の時を打ち破り我が国を救った王に成り代わり、今ここに報復に参じた!沈みゆく太陽に恐れをなすがいい、そなたらに必ずや暗闇をもたらそう!……シュクロズアリの名にかけて!(どこからでもかかってくるがよい。ゼペタルは痛みに震える体を支えるかのように、杖を地面に突き立てた。)   (4/27 00:48:55)


グレー/雷鏡 ◆> ああ。俺もまさかあんたに雇われることになるとは思わなかったぜ。まぁ、今は依頼主と被依頼人の関係だ。あんたに向く凶刃は俺が弾ききってやるぜ。安心して身を任せな。でもなきゃ、俺が傭兵としてやってる意味が無いからな。(と、同じく灰色の曇天の中、隣にいるヨズアの老人に、そう声をかけたあと、静かに「雷の力よ…今こそ我に…その力を我が身に宿らせ、そして、目の前の敵を滅する為の刃となり給え。」と、詠唱し…雷を降らせて自らの刃に雷を灯す……そして、彼はその剣を上げ、声高らかに、自らの名をば名乗った。そう。彼の思うがままに。)俺の名は雷鏡!!!!傭兵の名において、ヨズア側の兵のひとりとして参上した!ウェンディアの兵よ!……あんたらに恨みはねぇが、依頼だからな…俺の目的の邪魔をするのであれば!容赦はせんぞ!!!(と。その声は戦場に響き渡った…彼の魂の咆哮なのだろうか?)   (4/27 00:58:53)


クノ/アッシュ> 暗雲が天を覆い隠し、いつしか雲間から射す一筋の光すらも消え去り、ホーリアの中で火蓋が落とされるのを待っていた勇敢な騎士達は狼狽え始めた。数日前に王都を襲ったばかりの厄災を想起させる暗雲が、彼等の信仰の拠り所であるたった一つの日輪を遮ったからであった。その時点で、敵陣営は戦術的にウェンディア聖騎士団に勝利していたのであろう。たった一つのイレギュラーを覗いて。⋯⋯外より響く宣戦布告の声にすら怯み、我先にと雨を凌げる場所に逃げていく騎士達の中でただ一人、何も変わらず砦の門を開き、幽鬼の様に歩み、立ち塞がる男がいた。────彼だけは違った。男は元より〝灰〟色の世界に居た。何もかも色褪せてモノクロームに失色した世界の中で一人、ただ立っているだけだった。足元に生える若草の翡翠色は綺麗だった筈なのに、もう感じる事すら出来なくなっていた。   (4/27 01:15:51)
クノ/アッシュ> ⋯⋯脳裏を過ぎるのは花のような愛しい笑顔。だけれど過ぎるだけで、その後にこびり付くのは、苦悶、そして、⋯⋯鼻先が触れ合う程に近い、焦点の合わない緑の宝石。逃げるように瞳を閉じても瞼の裏からは離れない。沢山の人間の罵倒に紛れて、一際大きく聞こえる少女の謗言。耳を塞いでも聞こえなくなることは無かった。何度も試したから、当に分かっていた。⋯⋯空と同じ(はい)色の男が、淀んだ瞳を上げて、二人の男を見据える。落雷を剣に宿した少年は知らなかったが、杖を突き立てる老人を彼は見たことがあった。)「⋯⋯⋯⋯王国聖騎士団⋯百騎長。アッシュ。───⋯⋯〝俺が〟⋯⋯⋯相手になってやる。」   (4/27 01:15:53)
クノ/アッシュ> ((老人は気付くだろうか。いつの日か帝都で出会ったローブ姿の男が、立ち塞がるこの男だと。意気揚々と闘志に溢れた宣戦布告と比べれば酷く小さな声だったが。瞳にはどろどろとした炎が灯り始めていた。)「⋯⋯久遠支えし偉大な王よ 我はあなたに尽くす者 畏れ震えし惨めな者よ 我は汝を殲す者───」((両手を組み合わせ、男は口早に詠唱を始めた。そこには一切の迷いもなかった。⋯⋯⋯⋯『俺が』こいつらを倒したら、俺は、『役立たず』でも『穀潰し』でも⋯⋯!!!!!淀んだ炎は密かにその熱を高めていた。   (4/27 01:16:10)


〆鯖/ゼペタル> (雷鏡が口にしたウェンディア風の盗用呪文を聞きとどけ、にいと髭の下で笑みを称える。天候の魔術師と雷の魔術師が手を組むのだ、いかに己が満身創痍であろうとその奇跡的な幸運はゼペタルの風雲の志を滾らせるには充分であった。やがて相手となる魔術師が現れ、くぐもった宣戦布告を皮切りに雷鏡も本格的に戦闘態勢に入ったようだった。ゼペタルはこの騎士と、違いに魔術師とは知らずに巡り合っていたが、まだその声の同じ事には気づけないでいた。ただ、何かが引っかかるような第六感にわずか数秒の油断をした刹那、アッシュの魔術は地を這う蛇のようにゼペタルの居た小高い峰へ至り、音を立ててその峰が崩れ始めた。地割れのように口を開けはじめる峰に足をとられかけ、雷鏡に向かって手を伸ばす。)……くっ、ライキョウ…!麓へ!   (4/27 01:40:09)


グレー/雷鏡 ◆> もちろんだ!(と、相手が落下してくるであろう場所に素早く先回りをして、相手を背中でキャッチ。そして、その落下時のエネルギーを彼の鍛え上げられた体幹と筋肉で耐える。そして、彼は相手を地に下ろして、手筈を話す。)俺があんたを背負う。そのために俺はまずこの雑魚兵をどうにかするわ。(と、雷をもう10本剣に当てたあとそのまま地面に突き刺し…そのまま前に切り払うと、巨大な雷の刃が地面を這って進んでいく。その姿はまるで真っ直ぐに進むサメのようだ。とにかく、その刃は敵を蹴散らしたあと…)よし、行くぞ!(と、相手を背負って一気に塔の内部に侵入して、彼を置いて外に向かう。その時彼は、)外の兵は俺が片付ける!!あんたは存分に相手と戦ってくれ!武運を祈るっ!(と、言ったあと…雑魚兵がかかってきても、どんどん倒していく。…その姿はまるで鬼神とも見えるだろう。)   (4/27 01:51:52)


クノ/アッシュ> 「⋯⋯っ⋯っ!」((呪文は完璧だった筈だった。自分で分かる程に昂る感情の中ででも冷静に、紡ぐ事が出来た筈だった。それなのに。⋯⋯『以前』の様に魔術は発動してくれなかった気がした。もっと疾く、もっと苛烈に大地を割るつもりでいた。⋯考えられる事があるとすれば、『字』。以前使っていた字よりも知る人が格段に少ないから、なのだろう。───それでもアッシュは、『アッシュ』のままで居たかった。バッシュとしての自分は碌でもない最低な男だと今でも思う。けれど、レフィーネと出会い、過ごし、認められ、愛する中でアッシュとしての自分は変われたと、信じていた。峰の上から落下する老人を救った少年の姿に歯噛みしながらも、瞳を閉じてもう一度。   (4/27 02:11:36)
クノ/アッシュ> 『───アッシュさんは、やっぱり、アッシュさんです。』⋯いつかひっそりと行われた秘密の儀式を思い出して、老人を背負い此方へと向かってくる少年に意識を向けた。一瞬揺らいだ炎を再び燃やし身構えたが。)「⋯⋯っくそっ⋯⋯!!⋯⋯⋯⋯⋯⋯っくぅ⋯ぉお前を倒せば⋯⋯っ!!」((少年は老人を背から下ろし、単身砦へと突っ込んでいく。あまりの速度に追いきれず、砦の中から聞こえてくる、バリバリと空気を劈くような音と閃光に振り返ったが⋯⋯自分には自分の敵が居る。あの少年一人は他の騎士が倒すと信じ、老人に向かい合い、両手を向け再び呪文を唱え始めた。)「⋯⋯⋯⋯⋯⋯っく⋯っ、大いなる地霊の怒り 今こそ穂先となりて 仇為す者を貫かん!!」((⋯⋯得意な地割れや極地地震の魔術を使うには、相手との距離が近すぎた。やはり焦っていたのだろう、次の呪文を唱え始めたのが遅れてしまう。⋯⋯唱え終わると周囲の地面が小さく隆起し槍のように尖り。貴方に穂先を向けて今にも向かわんとしていた。   (4/27 02:11:38)


〆鯖/ゼペタル> (雷鏡におぶわれながらアッシュの前に迫り、その大地に足を下ろす。これで心置きなく一騎打ちができるというものだ。盲とはいえこれほど近くに肉薄しているのであれば座標が狂う事もないだろう……四半世紀前、ウェンディア王国の忌々しい太陽に視力を奪われ、暗闇を生きてきた年月は伊達ではない。匂い、音、風の吹く方向。全てがゼペタルの目になり、心眼は研ぎ澄まされてゆく。 わずかに動揺の色を湛えたアッシュの呼吸をゼペタルは聞き逃さなかった。呪文の詠唱、そのなんと緩慢な事か…!ウェンディア語の呪文詠唱と古代ヨズア語の暗触文字ならば、どちらが早いかは考えるまでもない。ゼペタルは戦いへの興奮、陶酔に右肩の痛みを紛れさせながら杖をくるりと回し横にすると、稲妻を呼ぶ魔術を左手で、右から左へずるりとなぞった)   (4/27 02:46:50)
〆鯖/ゼペタル> (『ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア。古き神の怒り、その雷槌を顕現せしめよ。我は望み、そして報いる也。脈々と受け継がれしこの血と汝の覇を。』稲光が空を切り裂いて一撃、二撃、三撃。アッシュの側の大地を揺らし、こちらへ向かうその槍へ土竜でも潰すかのように雷槌が打たれる。耳鳴りがするほどの轟音が響き渡り、ゼペタルは杖を握る手に力を込めた。盲目の彼にとって音が聞こえなくなるのは死路であり、あなたと同じくこの接近戦に焦りを覚えた。己の魔術が仇となる前に勝敗を決してしまおうと、さらに杖をなぞる。)   (4/27 02:46:56)


クノ/アッシュ> 大地より解き放たれた地霊の穂先。標的に狙いを定め、今こそ貫かんとした、その矢先の出来事だった。⋯⋯暗雲を裂き、モノクロームの世界に激震と閃光が疾走る。アッシュに直撃する事は無かったものの、その衝撃は強く伝わった。身を打つ衝撃波に思わずたたらを踏むだけでは済まず、二度、三度と視界を遮った閃光に、世界は真っ白に染まり、轟音はアッシュの耳に耳鳴りを残していった。)「⋯⋯っは、⋯⋯ぁっ!?⋯⋯く、くお(くそ)⋯⋯っ!⋯こ、の⋯⋯!」((視界が漸く戻って来た所で、見失っていた魔術師の影が僅かに映る。直ぐに攻撃態勢に入ったのは良かったのだろうが、その遅れは戦場で致命的なものとなる。加えて⋯⋯)   (4/27 03:04:24)
クノ/アッシュ> 「⋯⋯っだ、だいいの騒めき、い、⋯⋯あ、ざ、子を包み、母元へと還さん⋯⋯!!」((⋯⋯無音の世界というものは、アッシュにとって初めての経験だった。自分の口を動かして、まともに呪文を唱えたつもりでも。自分で自分の声が聞こえない、その状況下、アッシュは呪文を上手く唱えることができていなかった。⋯⋯文が崩れ、魔術も崩れ去る。舞い上がり掛けた礫は浮力を失って地に落ちたが、未だアッシュはその事にすら気付けず。短い詠唱の魔術を即座に選んだはずなのに、淡く映る人影が倒れない事に、きつく眉を潜め、澱んだ黒い瞳を細めて焦燥の表情を浮かべていた。)「⋯⋯う、っく⋯⋯!!」((────『役立たず。』   (4/27 03:04:26)


しめ鯖/ゼペタル> (あなたの紡ぐ言葉の綾なす織がほつれ始める……。否、織り始めからそれはほつれていたのかもしれない。これも原始的な第六感に過ぎぬが、あなたは初めからずっと、この戦いに集中出来ずに居たようにゼペタルは思えた。そのたった一本綻びを指でつまめば、ずるずると形を失うのはあっという間の事……そうして戦闘不能状態になる魔術師を、ゼペタルは何人も知っていた。冷静さを欠いた魔術師は神と繋がる術さえも失うのだ。太陽の国の青年よ、何を思う。その心を乱す黒点は一体何であったか。……ぴたり。止めをさそうと動かした指が止まったのは、たどたどしく吃りながら喋るその声色に覚えがあったからだった。研ぎ澄まされた脳に流れ込む記憶は一気に、とめどなくフラッシュバックする。『す、すいません⋯⋯。⋯⋯何か、しました、でしょうか⋯⋯。』『い、いえ⋯⋯こちらこそ』『⋯⋯お代は要りません⋯ぜひ。』)   (4/27 03:31:30)
しめ鯖/ゼペタル> (動揺のあまり色褪せた灰色の目を見開いて、小さく呟いた。)………おぬし……尊華の……。(旅をする自分に一時の安らぎを与えてくれた露商の青年。尊華人ではなかったのか?騎士?何故、では何故あそこに、ではなぜ、ここに……。あまりにも理解不能なこの状況に、疑問が流れ込むのを止められなかった。)……くっ!(思考を奪われてはならない。考えるな、どうだっていい。だからなんだと言うのだ。これ以上あなたの前にいればその綻びに共鳴しそうな気がして、ゼペタルは止めも刺さず足を引きずり砦へ向かった。『……逃げた訳では無い、情けを掛けたわけではない、そんなことを俺がするものか。思考を奪うな、入ってくるな。余計な情報、要らぬ感情。戦いを、戦いを………あぁ神よ、われ望む。 』)……ライキョウッ……!今、ゆく……!(砦の中へ。)〆


クノ/アッシュ> 『───』『───』『───』──何かを、言っている。漸く視界が元の灰色に戻って行く。眼前の老人が、止めをさせた筈の勝者が敗者を見詰め、何を言うことがあるんだ。この老人がヨズアの魔術師で、呪文の詠唱を必要としない事は既に知っていた。瞳を見開いた貴方をぼう、と光の無い瞳で見詰め返しアッシュは小さくなっていく耳鳴りの中で思考を飛ばす。⋯⋯ゼン爺、あんたは、何を考えて⋯⋯。俺はあんたを最初から知っていながら殺そうとしたんだぞ。なあ、、なあ⋯。⋯⋯口を開こうとしても、喉の奥が閉まるだけで声が出ない。足を引き摺って、自分を無視して通り過ぎていく貴方を視線で追い掛け、その背中に手を伸ばそうと振り返った所で足をもつれさせ、地面に倒れ伏す。)   (4/27 03:57:01)
クノ/アッシュ> 「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ちく、しょう。」((無様に地に伏して、僅かに曲がった背中を見つめながら、アッシュは悔しさを吐露する。いつしか耳鳴りは聞こえなくなっていて、遠ざかる老人の足音までもが聞こえるようになっている。⋯⋯⋯⋯だが、既にアッシュの体はもう限界を越えていた。度重なる精神的な苦痛で、四肢は言うことを聞かない。何故だか、自分でも分からないままに震える右腕を伸ばして、少しだけ這いずってから、力無く地に腕を落とす。)「⋯⋯う、う゛っ⋯⋯ぅ゛ぁ゛ああっ⋯⋯!」((雨で少し柔らかい土を握り締め、嗚咽と共に大粒の涙が零れた。肩を上下させ激しく咳き込んだ。⋯なんて、自分は愚かで弱い男なのだろう。悔しくて、惨めで、どうしようもなかった。名を知る相手が盲であるのをいい事に挑み、敗け、見逃され。⋯⋯目の前で仲間達が殺されていくのを黙って眺める事しか出来ない俺は、一体⋯⋯)   (4/27 03:57:03)
クノ/アッシュ> 「⋯⋯ぐぅ゛⋯っ!!ううう⋯⋯。う゛、く、ぁ゛あっ⋯⋯く゛そ゛ぉ⋯⋯っ!く、そ⋯⋯!くそぉっ!!!⋯⋯ち、くじょぉ゛お゛⋯」((顔が汚れるのも気にせずに濡れた土に額を擦り付け、くぐもった苦悶の声を何度も吐き出しても、流れ出した悔しさは止まることはない。)「うっ、う゛ぇ⋯⋯お゛れは⋯⋯っ!!⋯⋯⋯⋯やくたたず、で、ごくつぶし⋯⋯⋯、⋯⋯⋯⋯⋯うぁあ⋯⋯」((視界を遮断しても、轟音も悲鳴は聞こえてくる。もう何も見たくも聞きたくもなくて、ぷつんと意識を落とすまで、そう時間は掛からなかった。)「⋯⋯り、る───」((助けを求める声は、誰にも聞こえない。   (4/27 03:57:13)

一方、雷鏡は(雷鏡)に続く。