この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

命の水-治療成功-

(梟&咲夜)

命の水-発症-(梟) から

骨牌/咲夜> (その報告が届いたのは、咲夜が診療所を離れてすぐのことだった。部屋が氷で覆われている――氷と聞いてまず最初に思い浮かべたのは我が軍の元帥殿であるが、彼女であればその兄がなんとかするだろう。であればだ、次に名のあがる氷の魔術師といえば『紅翼の蒼』の異名を持つ問題児、梟。優秀な魔術師ではあるのだが如何せんやる気にムラがあり、戦いとなると冷酷無比で使いどころを間違えれば帝國軍の評判を落としかねない、絶対に負けられぬ戦に切り札として使うのが適切、そういう意味では決戦兵器ともいえる男だ。咲夜は狂気に浸されていない兵士たちからの報告を逐次受け取りながら、件の風呂場へと赴いた。脱衣所から浴室へと続く扉をみてなるほどと頷く。これは酷い有様だと言わざるを得ない、並みの魔術師であれば足を踏み入れることすらできないだろう)   (4/26 23:32:46)
骨牌/咲夜> やれやれ…困ったものだね、お前たちはそこで見ておいで。さてお姫様の凍った心を溶かしてやらなきゃいけないねぇ。(兵士たちを後ろへと下げて後半の台詞は口の中だけで呟いた。軍の上層部に名を連ねて長いこの身であれば口にするのも憚られる彼の悲惨な過去についても聞き及んでいる。両腕をぐるりと回して肩こりをほぐすと凍り付いた扉目掛けて左手を突きだし、呪文を唱えた) ……我を過ぐれば憂ひの都あり、我を過ぐれば永遠の苦患あり、我を過ぐれば滅亡の民あり、我が為に道をあけよ、わたしが通る!   (4/26 23:32:56)
骨牌/咲夜> (ぐにゃりと風呂場の扉が歪曲したかと思うと一瞬にして空間の歪みに飲み込まれいずこかへと消え去った。慣れぬ術にふぅと息を吐きだした後に、伏し目がちな双眸は風呂場の凄惨な有様を映したことで驚きに見開かれる。思わず生唾を飲み込んで、それでもその男から目を逸らすことなく、真っ赤に染まった風呂場を滑らぬように一歩一歩着実に進み、貴方の前で立ち止まると腹部に突き刺さる氷塊がこれ以上奥へ進まぬよう貴方の手に華奢な子供じみた白い手を重ねた)もう、よいだろう。そこまでにしなさい。巫女殿も気を病んでおられる、それ以上深く刺したら流石のわたしでもお前を助けてやれなくなってしまう。自分をもう許してやりなさい。   (4/26 23:33:17)


ミカ@梟> 「(暗い。寒い。じくじくと痛む腹の傷が、彼を意識を曖昧なものへと変えていく。まるで小さな虫達が身体中を這い、ぞわぞわと全身を引っ掻いて、腹を食いちぎって回るような、そんな感覚に陥っていた。──あぁ、やっと死ねる。この場所から解き放たれるのだ。どくどくと血が溢れる腹の傷が、今はなんとも愛おしく見える。時間が経つほどに痛みは解け始め、多大なる幸福が彼を包み始めた。強引に、頑なに、抵抗も許されぬまま泥濘へと沈みゆく彼は、今か今かと死神によって示される天への道を渇望していた。それが、地獄への道とも知らずに。)あ、ぁ、はや、く。死なせて、くれ。(ぽつりと零れる言葉は、まるで煙草の煙のように霧散した。その言葉を待っていたかのように、ようやく彼の意識は留まることをやめ、ふわふわと意識はまどろみの中へと消えていく──筈だった。 扉越しに飛び込んできたのは、まるで銀鈴の様な女性の声。次にぐにゃ、と変形したかと思えば、消えてしまった扉。なんだ、と既に拙い意識の中、彼の眼球はぐるりと動き目の前の彼女を捉える。風のように駆け抜けた声は身体中の虫を払い、彼の視界を明瞭とさせていた。)」   (4/27 00:28:35)
ミカ@梟> 「(暗い。寒い。じくじくと痛む腹の傷が、彼を意識を曖昧なものへと変えていく。まるで小さな虫達が身体中を這い、ぞわぞわと全身を引っ掻いて、腹を食いちぎって回るような、そんな感覚に陥っていた。──あぁ、やっと死ねる。この場所から解き放たれるのだ。どくどくと血が溢れる腹の傷が、今はなんとも愛おしく見える。時間が経つほどに痛みは解け始め、多大なる幸福が彼を包み始めた。強引に、頑なに、抵抗も許されぬまま泥濘へと沈みゆく彼は、今か今かと死神によって示される天への道を渇望していた。それが、地獄への道とも知らずに。)あ、ぁ、はや、く。死なせて、くれ。(ぽつりと零れる言葉は、まるで煙草の煙のように霧散した。その言葉を待っていたかのように、ようやく彼の意識は留まることをやめ、ふわふわと意識はまどろみの中へと消えていく──筈だった。 扉越しに飛び込んできたのは、まるで銀鈴の様な女性の声。次にぐにゃ、と変形したかと思えば、消えてしまった扉。なんだ、と既に拙い意識の中、彼の眼球はぐるりと動き目の前の彼女を捉える。風のように駆け抜けた声は身体中の虫を払い、彼の視界を明瞭とさせていた。)   (4/27 00:28:38)
ミカ@梟> 「なん……あ……(もう既に呂律も回らないが、そっと重ねられた手がなんとも暖かい。まるでほろりと氷を溶かすようで、彼の心は雪解けを知るかの如く、瞳から一筋の雫が落ちた。そっと身体は引き起こされ、腹の傷が唐突に、泣き喚く赤子の様に痛みを訴え始める。腹の中から込み上げたものが、喉を逆流して口元へ。それを吐き出してしまいそうになるが、再びぐっ、と、彼女の言葉と共に腹の底へ押し戻す。──許してやれと、彼女は言った。)……ちが、う。俺が、許すんじゃ、ない。俺は、みんなに、許され、たい。(浴室から連れ出される彼は、まるで懇願するように、そんな言葉を吐いた。)」   (4/27 00:28:57)


骨牌/咲夜> (ぐるり、爬虫類めいた動きで貴方の眼球が此方をむいた。麻薬的な興奮で限界まで開いた瞳孔、普段は長く伸ばした前髪が帳のように視線を覆い隠しているため貴方の瞳の色を知るのすら難しかった。そんな生気の感じられない硝子玉に似た眼球に映り込む自分の姿は、伏し目がちな瞳に、口元に浮かぶ皮肉めいた微笑、常と変らぬ様子であるように思う。動揺を見せてはいけないと、そう何度も自らに言い聞かせて高い位置にある貴方の瞳をまっすぐに見上げた。鼓膜を震わす貴方の声は幻想に溶け、夜話に囁く睦言のように掠れているが、それは死神への誘い文句だ。青ざめた頬を伝い落ちる一滴の涙に気が付くと、はっと息を飲んだ)   (5/1 00:32:01)
骨牌/咲夜> ……みんな。(それは貴方よりも先に逝ってしまった人たちのことだろう。瞬きをひとつ、貴方の瞳の奥底を見通して掛けるべき言葉を探すけれど言葉は見付からず、下唇を噛むと意を決して片手を貴方の頬へと伸ばした)……死者は、誰も許しはしません。同時に、誰かを責めたりもできないのです。それが『死ぬ』ということ、死ねばすべて終わりです。だから、わたしは貴方を助けねばなりません、絶対に。(触れることが叶うなら掌から互いの体温が伝わるだろう。こういう時、自分は優しい嘘を口にすることが出来ないのが口惜しい、それでも貴方をこのまま見捨てて死なせてしまうことは出来ず、誰よりも救助に当たっている『ある兵士』からもたらされた情報を脳内で復唱すると、努めて優しい声音で語り掛けた)あなたは生きなさい、生きなければなりません。誰かの許しが欲しいなら、わたしが与えます。生きる意味が欲しいなら、わたしが貴方の居場所になります。自分のために生きられないなら、わたしのために生きなさい。   (5/1 00:32:23)
骨牌/咲夜> (静かに浴室へと侵入した兵士たちが貴方の傍を取り囲むと脱衣所に用意された担架まで伴おうと肩と腰に手をかけて誘導を始めた。咲夜もまた腹部に食い込んだ刃先が動かないよう細心の注意を払いながらそっと両手を離した、もしかすると貴方の血が頬についているかもしれない。そう浴室から連れ出される貴方の背中を見詰めて、血に濡れた掌をぐっと強く握りしめた)   (5/1 00:32:33)