この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

命の水-治療失敗-

(白梅&雅螺)

命の水-発症-(白梅) から

極夜@雅螺> (かり、と下駄の下側が削られる音がした。少し遅れて、きぃ、と凍て付いた大地に下駄の板が擦れて不愉快な音を奏で出す。肩に引っ掛けるように差していた番傘をほんの少しだけ上げて紅い瞳を細め、既に雨を落とす事をやめた空に嫌味ったらしく息を吹く。常冬と化した春初めの青草を閉じ込める氷の丘、そして其処に悠然と立つ巨大な桜。うつくしい桜は人の死体から血を吸い上げるという。嗚呼、まるで其の再現のように根元に散らばる黒ずんだ赤。されど全てが凍り付く冬と春が奇妙に取り憑いた不気味な美麗さが支配する。──いや、全く、困るなあ。確かに綺麗な桜だ、春が運ぶ人の歓びを全部飲み込んだような顔してるじゃないか。根に散らばった血は養分だとでも言いたげだ、千年桜か何かかい?困るよ、困る。麗しくなる為の養分?春に狂うのも大概にしろ、だってお前の其処で踊っているのは、………僕の、たった一人の妹なのだからね)「──天舞音。お前、何だってそんな所で踊っているんだい?風邪を引くよ。おいで。久々に兄の家でゆっくりして行きなさい。夜食でも出してあげよう」   (4/25 17:20:47)
極夜@雅螺> (飄々と浮かぶ、月が削れた如き、細くけたけたと嗤う笑み。踊る彼女の手前で足を止め、もう雨が降っていない事を確認して静かに柘榴の色をした番傘を閉じた。まるで桜の花弁に惑わされたようにくるりくるり踊るひと。そして恐らく此の異様な冬を創り出した本人であり、愛しの妹。そっと手を伸ばし、人がいないのを確認して名前を呼ぼう。字ではない、真の名を。それから静謐に息を吸い、常日頃と変わらぬ次々と打ち出すような台詞を吐いて軽く手招きし)   (4/25 17:20:56)


クロ:白梅> ( 目の前に誰かが来た。それを認識し、笑うのを1度辞め、声のする方に顔を向けた。辺りは先程から変わらない、氷の世界。白梅が魔術を使い作り出した世界…本人は勝手に出来たと錯覚しているけれど。だけど先程とは違う。なんだ_なんだろうこの気持ちは_美しく、気高い。そして包み込まれる様な優しさと摩訶不思議な雰囲気_そうまるで、星が、月が、降りてきたみたいだ。嗚呼、なんと美しいのだろう_。彼の…そう、白梅の兄、雅螺の顔を真っ黒な瞳でじっと見る。見詰める。見惚れる。ぼけっとして、顔を見詰めていると、名を…真名を呼ばれ、喋り掛けられた。白梅は真名を呼ばれた事が、今日の中で、否、生きている中で何よりも嬉しかったのだろう。満面の笑みを浮かべ、伸ばされた手を優しく両手で握り締めた後「 兄様、兄様!!妾はやりました、見て下さい、これが世界の理なのです、妾は、天舞音はやりました!!!!嗚呼、何て幸せなのでしょう、兄様に見て貰えた、これで尊華も妾も、全ての人が幸せになるのです…!!!! 」なんて、意味不明な事を意気揚々と述べた   (4/25 18:04:03)
クロ:白梅> _が、直ぐに花の様な幸せな笑みが消え失せる。先程迄の幸福感が消え、不安な気持ちが芽生えたのだ。_もし、世界の理を他の人に知られたら。もし、知っては行けない事だったら。もし、この事を話し、兄が自分の事を嫌ったら__そう考えただけでも目が回る、頭が潰れる。思考回路が溶ける。解ける。世界が回る、廻る、まわる_考えれば考える程、手足が痺れ、唇が乾く。不安気な顔で、愛しい憧れの兄を見詰め静かに呟く。「 妾には水が必要なのです、水が、水を、水を、あにさま、」_嗚呼、なんと哀れな小娘だろうか_)   (4/25 18:04:20)


極夜@雅螺> 「…………狂い雨が。我が妹まで狂わせるか」(地を這うような低い声。つい零れ落ちた声に自分自身で目を瞬かせ、軽く首を横に振る。異様な話を、猛り狂った獣のように、或いは惑わされた小鳥が無理やりに歌うように喋り続ける哀れな妹。昔から隠す事だけは上手かった。だから隠してしまいましょう。恐らくは尊華に今蔓延るという謎めいた病に侵されてしまったのであろう妹への悲哀の情を覆い隠し、人を可笑しく作り替える雨への怒りも包み隠し、けらり、掴もうにも掴めぬ笑顔。──腹立たしいね、いやいや、此の僕を怒らせるなんてなかなかやるじゃないか。元凶退治に乗り出すのが英雄の性だろうけど、生憎僕は英雄も蛮勇も悪人の皮を被った善人も嫌いだよ。出来る事だけやるべきだ。さて、喉を壊した金糸雀を如何治したものかな──)「其れは良かったね、目出度いじゃないか。……天舞音、全ての人の幸せを願う良い子。此方においで。大丈夫。兄はお前の側にいる。嫌ったりしないさ。お前らしくもない、そんな顔をして何が不安なんだい?」   (4/25 18:22:41)
極夜@雅螺> (此処に来るまでに地獄のような街を見た。死屍累々、人々が楽園に迷い込んだように幸福な表情で、そしてやがて吊り橋を渡るかのように心を揺らし、ばたばたと伏して。生死には慣れている。元々、此の掌の上で兵士を操り人形のように転がし続けたのだから。けれど嗚呼、僕は我儘だから。我儘に生きているから、可愛い妹があんな風になってしまうのかと思うと、駄目だ。可笑しいというなら嗤え。僕の唯一の良心を雨粒に殺されてなるものか。じ、と其の黒曜石のような瞳に紅玉の瞳を合わせ、朗々と御伽噺でも紡ぐように謳いながら貴女の手を引こうとし)「帰ろう、天舞音。お前、少し変わった事になってしまったようだね。治してあげよう。其の足も手当てしようか」(番傘をさす。雨など降っていないのに。傘の半分に長身の我が身を押し込め、もうはんぶんに貴女を招くように微笑み)   (4/25 18:22:56)