この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

命の水-治療失敗-

(アッシュ&レフィーネ)

クノ/アッシュ > 日が暮れて間も無い時間帯の王都。所要で出掛けていたアッシュは小走りで帰って来たのだろう、春先だというのにうっすら汗を掻きながら、『秘密基地』──自宅の前で膝に手をつき、荒い息を整えていた。今現在王都を襲っている謎の病気のような何か。それに感染してしまったらしいレフィーネの為に、治療法を探して走り回っていたのだ。街中は大騒ぎどころでは無く。至る所でレフィーネと同じ状態の人間が喚き、無事な人は治療法について語ってばかり。アッシュは態々治癒魔術を扱う魔術師を訪ねて、「治るかもしれない」その言葉を信じて呪文と教えを乞うてきた。少なくない謝礼も払わされ、数少ない自分の貯蓄は底を尽きかけてしまったが、それでレフィーネが元に戻るなら。⋯そう思えば一抹の苦にすらならなかった。⋯あの日の夜、レフィーネがこんな大事になるとは思ってもみなくて、ただの病気だと思い込んでいて、看病してあげられる事に満足感を得ていた自分を寧ろ殴り飛ばしてやりたいほど。⋯それ程までにアッシュの心は心配と不安で磨り減ってしまっていた。   (4/25 00:34:35)クノ/アッシュ > 一応持ち歩いていた傘を玄関先の傘入れに差し込んで扉を開き、入り込んで先ずはレフィーネを寝かせていた寝台へと向かう。⋯⋯⋯水を欲しがって魘されるレフィーネの為にコップに入れて置いた水は既に空になって転がっていた。)「⋯⋯リル。⋯ごめんな、ただいま。治るかもしれない魔術を教えてもらったから、さ、⋯⋯ごめん、一人にして⋯」((漸くこれでレフィーネを救えるかもしれない。水を欲しがって苦しそうにするのを見る度に、胸が張り裂けそうな気持ちになるのを何とか隠して安心させようと、普段通りの声色を意識。額の汗を拭いながら、荒い息混じりに寝台に近付くと、しゃがみこんで話し掛けようとして。>レフィーネさん   (4/25 00:34:37)


〆鯖/レフィーネ > (ぐちゃぐちゃに丸められたシーツ、足のほうへなげられた枕、床に落とされたブランケット。散乱した寝台から半分足を投げ出して、レフィーネは身悶えていた。側臥位になりその両腕にはアッシュの枕が抱きかかえられ、肩は荒い息で上下している。……どうやらトランスには波があるらしい。今は幻覚は少し収まっているが、一度理性のブレーキが壊れてしまった頭ではそうそう正気に戻る事はできない。押し寄せる思考の波と戦いながら、あなたの帰宅を耳にした。)……ど、どこいってたんですひっ…ひっく、う、うぇ…うええ………(心のままに感情を吐露すれば、後から後から涙が溢れてくる。涙が勿体ないと感じて必死で抑えようとするも天秤は感情に傾ききっており、子供のようにしゃくりあげながら枕を抱きしめた。)……ま…魔術?……飲めないものは、いいいりませんっ……ないの、ですか、なにか……おみずじゃなくても、ミルクとか、お茶…ジュース……う、うう、いっそお酒でも、なんでもああああったはずでしょう……!なんのためにっ……!やくたたずっ…!ごくつぶしっ…!!   (4/25 01:11:19)
〆鯖/レフィーネ > (ふらりと上体を起こして乱れた髪の隙間からあなたを睨みつけて、抱きしめていた枕を投げる。どっと背中から仰向けに寝台に倒れると、天井に向かって叫んだ。)馬ぁあああああああ鹿っ!!まともに喋れねぇのかよ!!つまんねぇ、おい、なんか言ってみろよ…うっ……(あまりにもレフィーネらしくない言葉達。だけど、それは確かにレフィーネの辞書の中に存在していた。どこで聞いた言葉なのか、誰から聞いた言葉なのか。蒙昧とした意識の中ではその相手すら思い出せないけれど、確かに心の奥底に残っていた。)   (4/25 01:11:25)


クノ/アッシュ > 「⋯っご、めん⋯⋯っ、!ごめん⋯⋯⋯っ⋯かならず、なお、⋯⋯っから⋯⋯っ、ごめん⋯」((普段のレフィーネなら、こんな事は言わないこと、分かっている、はずなのに。この病のせいだって、分かってる、レフィーネの事を信じているはずなのに。『役立たず』『穀潰し』その言葉達は深く深く胸に突き刺さるし、何より腑に、落ちてしまう。他の騎士から何度も言われた言葉だから自覚もあった、故にアッシュはどうしても黙り込めず、何度も謝って瞳に涙を浮かべてしまう位に己を責めた。昔のように『その通りだ』と言って認めてしまいたい程だった。⋯⋯それでもアッシュは貴女をどうしても助けたくて。拳を強く握り締め、意を決して呪文を口にしようとするが。)   (4/25 01:49:18)
クノ/アッシュ > 「⋯⋯リ⋯⋯⋯っ!!⋯⋯⋯⋯⋯たっ⋯た、すける、から、絶対、⋯⋯う゛っ⋯。」((口汚い言葉と共に顔面目掛けて飛んできた枕。思わず顔を手で覆おうとするが間に合わず尻餅をつき、ぼろぼろと瞳から雫を溢れさせる。⋯愛する人に罵倒される度に、嫌われてしまったのだと、捨てられてしまったのだと思ってしまってどうしようも無く辛い。貴女の苦しみに比べたらなんて事ないと思いたいのに。情けなく流れた涙を拭う事すら忘れて、寝台に這いずるように近付き。抵抗される事にも拒否される事にも未だ覚悟すら出来ていないけれど、早くこの苦しみから逃れようと貴女の手を両手で包むように握り締め。震える喉で呪文を口にした。)   (4/25 01:49:19)
クノ/アッシュ > 「⋯⋯遍く照らす太陽よ 我等を導く輝きよ 清純なる主の御業を以て 彼の者を蝕む悪を払い給え ⋯⋯お願い、しますっ⋯⋯おねがいします、おねがいします⋯⋯どうか、俺のことはいいので⋯⋯っ、こっ、こ、この、⋯⋯俺の、あいするひとだけはぁ⋯⋯っ!!!!」((何度も何度も呪文の途中で息を継ぎながら、アッシュは瞳を閉じて願った。人生で一番、ここまで神に縋ったのは初めてだった。貴女の片手をぎゅううと握り締めて、寝台に両肘をつき、床に正座し、祈った。───こっそりと、途中からはたった一人愛する人へ。リルに向けて、変わらぬ愛を誓っていた。失うものは何も無いと思っていた自分だけれど、今はたった一人貴女を失うことが怖くて仕方なくて、どうなったか確認する為に閉じた瞳を開くのすら遅れてしまった。   (4/25 01:49:29)


〆鯖/レフィーネ > (這うようにしてこちらへ近づいてくるあなたを足蹴にしようと白い足をもぞもぞと動かして体勢を変える。両手を握られると、左足であなたの額へ足の裏を当てた。力が入らなかったのは憔悴のせいであったが、もしかすると一抹の理性が勝ったかのように見えたかもしれない。足の裏から伝わる言葉。魔術の後に続いた懇願は、正式な呪文ではなくとも確かに力を持っていた。―ー暴言に傷ついたり、愛の囁きに胸をときめかせたり、励ましに心が軽くなったり。正式な呪文ではないので強制力はなくとも、これらも広義の魔術であるという事は、この世界の誰もが知っている。―― 魔術師、言葉を識る者として、レフィーネはそれを強く感じ取った。)…シン……泣い、てる?…… (一方で、魔術のほうは……。)   (4/25 02:23:04)
〆鯖/レフィーネ > ……あぁっ…………もったいない、です。(とさ、と足を床に落としてそのまま自分も寝台を下りて座り込む。耳のあたり、黒い髪を下からかきあげるようにして両手で顔を包んでから目を瞑っているあなたの頬を舌でつう、となぞった。感情を伴う涙は塩辛いと聴いたことがあるが……今のレフィーネには、ひどく甘い気がした。)……み、みず……。(掠れた、蚊の鳴くような声で呟き、さらなる潤いを欲っしてあなたの唇にかぶりついた。水への、あなたへの中毒に……狂っていく。) 〆  (4/25 02:23:10)