この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

讃美歌99番

(アッシュ&レフィーネ)

クノ/アッシュ > 春の温かい日差しとそよ風が心地良い、そんなウェンディア王国王都の昼下がり。休日であったアッシュはレフィーネを連れて買い物にやって来ていた。アッシュの片手には卵や調味料などが入った紙袋が下げられており、時折隣のレフィーネにちらり、と確認する様に視線をやりながら歩いていく。花祭りが終わり、あの時の華々しい雰囲気は消えてしまったけれど、王都は変わらず賑わいに溢れている。まだまだ秘密基地には遠く、街の下層に降りようとして通りかかった場所で、思わずアッシュは立ち止まってしまった。)「⋯⋯⋯⋯あぁ⋯」((足を止めて息を漏らす。⋯⋯大きな木と噴水が目印の高台は、アッシュにとって思い出の場所だった。木から鳥の囀りが聞こえてくるのみで、やはり人気が無いのか自分達以外に人の姿は見えなかった。⋯何処か懐かしそうに瞳を細め、アッシュはぽつりと口を開く。)   (4/21 20:27:14)
クノ/アッシュ > 「⋯⋯その、懐かしいな。⋯⋯リ⋯レフィーネとまた会ったのも、⋯⋯その、別れた時も⋯、此処だったよな。」((ぼう、と空の向こう、遠くを見つめるアッシュの瞳には少しだけ悲しそうな色が浮かぶけれど、本当に僅かなもの。⋯⋯少しの間を開けてレフィーネを見下ろした時には、その口元には穏やかな笑顔が浮かんでいた。)「⋯⋯一瞬だったような、長かったような⋯。⋯不思議だな、まさか、こんな事になるなんて。」((少なくともあの時は決して見せる事の無かったアッシュの笑顔からは、確かに幸せを感じ取れるのだった。   (4/21 20:27:17)


しめさば/レフィーネ > (公休日。レフィーネはアッシュと連れ立って王都の街を歩いていた。恐らくは歩幅を合わせてくれているのだろうが、それに気づけない程度には自然で気持ちのいいペースだった。それにふと気づいたのは、あなたが歩みを止めた瞬間であった。大きな木と噴水のある高台。そこは、レフィーネにとっても思い出の地。)「……! ……えへ、あ、アッシュさん凄い。わたしもいま、お、同じことを考えていました。……心の中、よみました?」(少し悪戯っぽく口にしながら、同時にあのヨズア人の旅人の事も思い出す。あの子の魔術は確か……夕陽を呼ぶ魔術?心に少し覚えた引っかかりはすぐに忘れられ、またあなたへと顔を向ける。)「そうですね。ふふ、なにもかもが……そう、すべて。ね、九十九騎長!」   (4/21 21:32:31)
しめさば/レフィーネ > (騎士団の中であなたに付けられつつある新しいあだ名を呼びながら、からかうようににこっと微笑んだ。本当にこんな事になるとは思わなかった。あなたとレフィーネの関係についても、騎士団に戻ることになったのも。正式な退団手順を踏まなかったあなたがわずか半年で古巣に戻り、一体その役職はどうなるのか戸惑っている騎士も多く、そんな中どこからともなくついてしまったあだ名を、レフィーネは少しだけ気に入っていた。あんな人は騎士団に必要ないと言う者もあれば、今でも彼こそが百騎長なのだと言う者もある。元々レフィーネが空席を埋める形で就任したこともあるし、かといって短い間とはいえそれなりに役職を全うしてきたレフィーネを蔑ろにする事もまた、ただの騎士に過ぎない大勢には難しく。正式な処遇はともかく、とにかく二人を「百騎長」と呼ぶ他、騎士達に選択肢は無かった。そんなややこしい状況をからかうようにして付けられたこのあだ名は、あなたにとっては不本意かもしれないが……とにかくレフィーネにとっては、なんだか『可愛く』て好きだった。)   (4/21 21:32:50)
しめさば/レフィーネ > 「ね、行きましょう!」(レフィーネは王都を見下ろせるフェンスのほうへ軽快に歩いて行った。右手を後ろにやり、手を取れとあなたに行動で示しながら。そして王都の営みを一望するその光景に満足気な微笑みを見せたあと、ポケットに手を入れてひんやりとした感触を指でなぞった。)「そういえば、か、返してませんでしたね…ハーモニカ。」(あなたは持っていても構わないと言うだろうか。言わせないためにも、間髪入れずに言葉を被せた。)「〝讃美歌 99番。〟キーは、Fから。いきますよ、テイク、1,2。」   (4/21 21:33:10)


クノ/アッシュ > 「⋯⋯っ、ふふ、⋯ああ⋯。」((〝九十九騎長〟。前例の無い百騎長の重複を引き起こした俺達を呼び分ける為、騎士達の仲で俺を指して呼ばれているあだ名のようなもの。可もなく不可もなく、そう呼ばれる事に抵抗なんてある筈も無かったが、レフィーネに笑顔でからかうように呼ばれてアッシュは思わず笑い声を零した。さながら花が咲くような笑顔が何よりも愛しいのもあれば、レフィーネが自分と同じようにこの場所に思い入れがあった事が嬉しいというのもあり、総じて幸せな感情から来る自然な笑い声だった。二人で笑いあってからまたレフィーネから視線を離し、穏やかな表情で木々を見てアッシュは再び思考を視線と一緒に空の彼方へ飛ばした。⋯バッシュと言う名前がどうしても嫌で、騎士団に関係する人間に何かを言われるのが怖くて、最初はずっとレフィーネに冷たく当たっていた。今思えば最初から自分に優しく何度も話し掛けてくれたレフィーネに、最初から惹かれていた様な気さえする。ケーキを一緒に作ったり、色々なことがあった。   (4/21 22:15:54)
クノ/アッシュ > ⋯⋯そして今。⋯こっそりとレフィーネの横顔を覗き見る。⋯こうして二人で過ごす時間が本当に幸せで大切。⋯胸を占める暖かな気持ちに引っ張られてか何となく、レフィーネ側の紙袋を持っていない手を僅かに動かして、手を握ってみようとしていた所で不意に視線が合い。伸ばそうとしていた腕を引っ込めてしまう。)「っ。⋯あ、ああ。」((こっそり貴女を見ていたから、視線が合った瞬間に視線も逸らしてしまいそうだったのを我慢したのは成長だろう。手を差し出されると少しの逡巡の後に手を握って、少し後ろからついていく。結局はいつもこうして貴女に引っ張られている気がして少しだけ苦い気持ちになれど、それよりも手から伝わる温かさと⋯暫くして視界に入ってきた『綺麗』な街並みに掻き消され、息を飲んだ。───前は、あまり見たくなかったのに。例えるならば、世界に彩度が戻ったような。レフィーネと関係を持ってから初めて見たこの景色が余りにも綺麗に見えて、思わず意識を集中させてしまっていた。故に最初は掛けられた言葉に鈍い反応を見せるのだった。)   (4/21 22:15:55)
クノ/アッシュ > 「⋯⋯ん、⋯⋯え?あ、ああっ。⋯⋯っ─────」((手渡されたハーモニカを見て、君の思惑通り「別にいいよ」と口に仕掛けていたアッシュだが、反応が遅れたお陰で間髪入れずに被せられた言葉に焦りつつも、紙袋を落とし慣れた手つきでハーモニカを口に運び。⋯⋯何となく、目を閉じて。⋯礼拝堂でも良く聞く機会のある定番の賛美歌。聴衆は小鳥と愛する貴女だけ。此処で初めて会った日から大きく変わったアッシュだけれど、ハーモニカから奏でられるメロディーはあの日と何ら変わらず、綺麗でミスも無く。演奏する曲が違うのもあるが強いて言うなら⋯悲しげな響きだけは感じられなかった。⋯⋯そんな一時の演奏会。控えめに最後の一音を響かせると、ゆっくりと口を離し。ハーモニカを持っていた両手を下ろすと、暫くハーモニカを見下ろしてからレフィーネに視線を戻し。)「⋯⋯ハーモニカじゃなくて、今度⋯もっと。⋯⋯もっと大事な物を代わりに送るから⋯⋯」((そっと視線を下げて貴方の左手を見るに、何となく送るのは定番の物、らしい。   (4/21 22:16:05)


〆鯖/レフィーネ > (レフィーネの手をとり後を追うようしてこちらに来ては王都を眺めているあなたの気持ちなどつゆ知らず、ゆっくりと余韻に浸る時間も与えずハーモニカを手渡してしまう。自分も胸に手を当てて咳払いをしながら準備を始めて。)……ん、んんっ。……(耳慣れた震える旋律が奏でられはじめ、すぐにレフィーネもその音に入ってゆくようにして歌いはじめる。はじめはあなたの目を見て『そうそう、そのまま。』とアイコンタクトをしながら、フェンスに手を掛けて指先でとん、とん、と拍子を打つ。次第にリズムが安定して来れば、レフィーネのリードが聞き取りやすいように腕の下にするりと入り込み、あなたのお腹と自分の背中をぴったりとくっつける。気持ちよさそうに顔を上に向けて、レフィーネのメロディは遊びはじめる。スケール(音階)からはみ出ない程度にアドリブを入れていき、少し厳かな印象を与えるようだった祈りの旋律はレフィーネの魔術詠唱に似た、古い民謡のようなトライヴァルで生命力のある響きを持ちはじめる。独特の喉の使い方は遊牧民を彷彿とさせる、風のような音色を奏でた。)   (4/22 00:44:50)
〆鯖/レフィーネ > (力強く引っ張るようなレフィーネのリードと、繊細で綺麗なあなたのハーモニカ。何度目かの共鳴、響き合って重なる。最後の一小節だけは、黙ってあなたの繊細で控えめな旋律に酔いしれた。……演奏会が終わると、名残惜しそうにあなたの身体から離れて再び向き合う。)……あぁっ、気持ちよかっ…………え?(独り言のように漏らしかけた言葉は、あなたの演奏後の第一声によって止まる。)……ええっ…や、やだぁっ……!な、ななななななんで、そそっ、そっ、そういう大事な事、かっ、かっ、隠しておおおけないんです?あああなたって人はっ!ほ、ほ、……っ……本当にっ!…(あなたの視線の先にあった左手を胸元に引き上げて右手で恥ずかしそうに隠しながら捲し立てる。気づいていただろうか、あなたの前で殆ど吃らなくなっていたレフィーネであったのに、その台詞一言ですっかりあがってしまったのであった。長い耳の先まで赤くしながらあなたの胸をぺしぺしと軽く叩きながら慌てふためき、そのまま両手でシャツを握りしめて、顔を埋めて唸った。)   (4/22 00:44:58)


クノ/アッシュ > ぴったりとくっ付いていたレフィーネの背中が離れる時。アッシュもまた名残惜しそうに喉の奥で声を漏らしていた。数少ない趣味の一つであるハーモニカの演奏に、綺麗な貴女の歌声が重なるのはとても心地よくて、まるで一つになったかのような甘さをアッシュは感じていたから。アッシュが「そんな事」を口にしたのも、貴女に自分の何かを持っていて欲しいような欲もあったけれど、心を占拠していた、ただの音楽ではあるけれど確かに重なったといえる幸せにのぼせていたからでもあった。)「⋯⋯っ!?す、すまんっ⋯⋯ま、まだ先になるから、その⋯⋯すまん⋯。」((左手を隠すようにして捲し立てる貴女に気圧されて、ハーモニカを握っていない方の手を忙しなく握ったり開いたりしながら、もう片方の手を貴女に翳すようにして謝罪を返してしまう。   (4/22 01:29:12)
クノ/アッシュ > 最初こそ、こういうのはサプライズの方がもしかしたら嬉しかったのか、それをレフィーネは臨んでいたのだろうか、といった申し訳ない気持ちが胸に満ちていたが、顔だけでなく耳も朱色に染めて胸に顔を埋める貴女を見て漸く、少し違うことに気づいた。唸る貴女を後目にハーモニカを静かにズボンのポケットに仕舞い込むと、片手で肩を抱きもう片方の手で頭をそっと撫でながら、優しい声色で)「⋯〝リル〟。⋯⋯嘘じゃ、無いから。⋯絶対いつか。だから───約束、だ。」((ゆっくりと腕を解いて、肩を掴んで貴女を押すのではなく、自分が離れると。肩から手を離して貴女の左手を両手を使い、上下から包み込むようにして。真面目な顔で真っ直ぐ見詰める。)「⋯必ず、ここに嵌めてやる。」((じっ、と見下ろす黒の瞳に影は無い。彼にしては珍しく強い意志を感じさせる瞳だった。   (4/22 01:29:13)


しめさば/レフィーネ > (顔を見せないようにとあなたの胸に埋まるレフィーネの肩と頭に、暖かい掌が触れる。どこまでも優しく髪を撫でられれば、瞳は潤み、隠している表情が蕩けていく。真名を呼ぶ甘い声に『ふぁ…』と間抜けすら感じる、声にならない声を漏らした。)「………う…ん。……シン…。」(顔を見なくても、少し高くなって蕩けるような甘い声を聞けばどんな顔をしているのかは、きっとわかってしまうのだろう。レフィーネは埋めている顔を軽く左右に振って、擦りつくように甘えた。 あなたが腕を解いて離れると少し寂しそうに、だけど余韻を噛み締めながら赤い顔をうつむかせる。 すぐにあなたの両手で左手が包み込まれ、どきっとした情動のままに顔を上げると、いつものあなたらしくない真っ直ぐな瞳に射抜かれて息を呑んだ。魔力の宿った〝言葉〟と共に触れられた左手から、震動は体の中へ至り。どき、どき、と心を揺らしていく。)   (4/22 02:17:18)
しめさば/レフィーネ > 「………はい…。」(後ろ指刺されるようなふたりなのに。決して人に言えた関係ではないのに。迷いのない真っ直ぐな瞳と言葉を前にしてレフィーネは、小さな声でそう言うのが精一杯だった。魔術でも掛けられたかのように体を硬直させて、瞳はあなたから逸らせないまま。いつもならレフィーネが次の言葉を紡いで話を変えてみたり、リードしたりするのに。何も返す言葉を持たずにただただあなたに見蕩れて、息をするのも忘れそうだった。)   (4/22 02:17:34)


クノ/アッシュ > 「⋯⋯ああ⋯」((じっ、と真っ直ぐ見詰められて、アッシュもまた貴女から視線が逸らせなくなってしまっていた。掠れた様な声で意味の無い返事の様な何かを漏らして、包んだ手をどうしようか、と逡巡しているのが、力が少し籠ったり緩んだり、と感触として否応なしに伝わっていくのだろう。レフィーネが別人の様にしおらしくなっているのを見ながら迷い迷い、決心したらしく。静かに右手だけを離しそのまま空いた手で紙袋を持ち上げると。)「⋯ここじゃ、ちゃんとレフィーネのこと、『呼べ』ないし⋯、早く帰ろう。」((そのまま左手は離すことなく、手を降ろすように促して隣に並んだら、そっと求めるように腕と指先を絡めて手を繋ぎ。⋯シチューを作る予定で具材を買ってきたのに、今晩のご飯は何にしよう、と一瞬考えてしまう程にはアッシュも頭の中は貴女で一杯で。遠慮がちに絡めた指に力を込めると同時に少しだけ、ほんの少しだけ引き寄せると、貴女を見下ろして何処か下手くそな笑顔を浮かべるのだった。)   (4/22 02:45:59)
クノ/アッシュ > 「⋯⋯⋯こういう繋ぎ方を⋯その、するらしい。⋯⋯騎士団員に見られる前に⋯行こう。」((そう行って、静かに一歩踏み出した。早く帰ろうと行ったのに、その足取りは酷くゆっくりで。まるでこの幸せな時間を少しでも長引かせようとしているかのようであった。  〆 (4/22 02:46:01)