この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

悪夢

(アッシュ&アッシュ)

クノ@アッシュ > (嗅ぎなれた匂いと光景の中に俺は居た。決して好きでは無いけれど、見慣れた空間だった。燃え盛る炎、走る稲光、とぐろを巻く水流。言葉に乗せられた魔力が肌で感じられる程に、此処には満ち満ちている。───戦場。相対する魔術師を見据えて俺も息を飲み、唱える。尊華の詠唱は比較的時間を要するが、込められる魔力はウェンディアの一般的な詠唱を上回る。故に先手を打つ事が、ウェンディア聖騎士団員にとって最大の勝機であった。アッシュもそのセオリーに漏れず、口早に呪文を紡いだ。⋯⋯問題無く魔術が発動し、大地が割れる。効率良く損害を与えようと、枝分かれしながら大口を開ける顎が尊華兵を呑み込んでいく。⋯欲を出したのが、急ぎ早故に確認を怠ってしまったのが、運の尽きだった。亀裂が伸びた先でふわりと舞う翠色。足を踏み外して、何かを言う暇も無く、落ちていく小柄な少女。⋯⋯⋯⋯いや、だ、おまえがいないとおれはもう。⋯⋯膝を落として地に両手を突き、⋯⋯また、おれは⋯⋯)   (4/19 13:45:39)
クノ@アッシュ > 「─────⋯っっレ⋯っ⋯、フィ⋯⋯!⋯⋯っは、、はぁ⋯⋯っ!!⋯⋯っは、あ⋯」((目が覚めるとそこは見慣れた自宅のベッドの上。ギシ、と軋ませて上体を起こしていた。冷や汗をかいているのか妙に体が冷たかったけれど、窓から漏れる月明かりに照らされ、布団を捲られた事で顕になった隣で眠る愛しい人の姿に、安堵の息を漏らす。⋯けど、悪夢としか表現出来ない夢の所為で早鐘を打つ鼓動と、肩を上下させる程に荒い息はまだ落ち着きそうにない。何とか布団を強く握り締めて息を整えようとする。⋯⋯⋯⋯射し込む月明かりを受けてチラついた、頬に流れる一筋の雫。アッシュはまだ気付く事が出来なかった。)   (4/19 13:45:47)


しめさば/レフィーネ > (月明かりが差し込む秘密基地の、小さな寝台で。浅い眠りの中にあったレフィーネは突然ブランケットを捲られた寒さに身震いし、半ば無意識にもう一度潜り込もうともぞもぞと身を捩った。目を瞑ってうとうととしながら隣で眠っているはずのあなたに抗議の声を上げる。)……ん……ちょっと、ねぇ……シン……。おお布団とらないでくださ……。(リラックスしているのもあるだろうし、喉をあまり使わずに呟くように漏れた声はあまり吃らない。皮肉なもので半ば意識の無い時のほうが流暢に喋れるのだった。ぬくもりを求めて寝返ると、そこにあるはずの感触がなく暗闇の中あなたの姿を探すように手をさまよわせると、起こされた上体の臍のあたりにぶつかる。)……シンシア……?(足のほうへ捲られたブランケットに潜るようにして、身体を寝台の下のほうへ縮こませる。そのまま頭と片手をあなたの腿に載せて膝枕をされている形になった。顔は臍に向けて、もう片方の手を腰に軽く回して。)……起きちゃったんですかー……?   (4/19 14:12:35)
しめさば/レフィーネ > (目を瞑ったまま臍に話しかけると、自分の頬に生暖かい水滴が、ぽた、と落ちて伝った。目をすこし開けて顔と視線を上にする。まだ暗闇に慣れていない瞳はあなたの表情を見ることは出来なかった。もっとよく見ようとゆっくり身体を起こしてあなたに向き直り、頬に触れる。汗と涙とで、掌が濡れる。心配そうな顔をして覗き込むと、ようやく暗闇に慣れてきた瞳にあなたの顔が映った。)……ないてるの?……怖い夢でも、みましたか?   (4/19 14:12:42)


クノ@アッシュ > 「リ、ル⋯⋯。」((⋯⋯これ程まで、夢でよかったと思った瞬間は今までに無かっただろう。自分がまた繰り返さなくてよかった、それよりも、ただリルが生きている事を感じられる事が、温もりと声から存在を確かめられる事が嬉しかった。冷や汗を隙間風に煽られてひやりとすら感じる体には、膝と腰から感じる君の体温がとても温かくて、震える声で君の名を呼ぶ事しか出来なかった。未だ寝ぼけ眼の君とは裏腹に完全に目を覚ましていたアッシュは、君の手が頬に触れ、近づいた口元から紡がれた言葉に「えっ⋯⋯」と声を上げ。漸く自分の視界が僅かに歪んでいる事に気付いたらしく。目を強く閉じて、残っていた涙を目尻に浮かばせるとそれを人差し指で拭い。⋯⋯真っ直ぐ君を見れなくて視線を下げてから、ぽつり、ぽつりと話し始めた。)   (4/19 14:46:00)
クノ@アッシュ > 「⋯⋯リルが、いなくなる夢を見た。」((始まりは鉛のように重たい声色だった。端的に告げられた夢の内容。それを語るだけでも嫌だったから。彼がまだバッシュだった頃よりかは僅かに衰えたかもしれないが、未だ引き締まった体つきのアッシュだけれど、今はとても小さな、弱々しい子供のようだろうか。寒さからではないが一瞬肩を震わせて、間を空けてから再び続きを口にした。)「⋯⋯リルを、俺が、殺してしまう夢だった。⋯以前(まえ)と同じように⋯⋯」((未だ小さく震える両の掌を見下ろしていると、あの一瞬がまたフラッシュバックして。時たま悪夢は見てきたけれど、何よりも大切な存在を失う夢は初めてで。⋯⋯恐怖に耐えきれなくて、君を深く感じたくて、そっと腰と頭を抱きかかえるようにして抱擁した。君が首元に顔を埋めるような体勢になる形で強く抱き締めたまま、背中を丸め、悲しげな声を響かせるのだった。)「⋯⋯好きだ、ずっと、一緒に居てくれ⋯」   (4/19 14:46:02)


しめさば/レフィーネ > ……っ……(告げられた夢の内容に息を飲む。自分が死ぬという不吉な悪夢とは解っていた訳ではないけれど、ただあなたの涙と重い声色の理由に思いを馳せれば、何よりもまず情緒が心配で。弱々しく頭を擡げる姿を見つめながら、夢の仔細を耳にする。……フラッシュバックだ。同胞殺しのトラウマは死神のように鎌を持って、きっと時々こんな風にあなたの元にあらわれていたのだろう。アッシュとして出会うずっと前から。レフィーネはかける言葉を探して視線を泳がせた。『私はあなたが罪から目を逸らさないための灯台になります。』…あの時、強い言葉でそう言うのが精一杯で。実際、あなたの心に打たれた深い杭を、レフィーネは抜く事ができない。ただできる事があるとするならば、その痛みを分かち合う事だけだ。それでこそ二人は、”共犯者”なのだから。言葉かわりにあなたを抱きしめようと思った。小さな子どもにするみたいに、いつもより小さく見えるその肩を抱いて包んであげたい、と思った。)   (4/19 15:14:55)
しめさば/レフィーネ > (レフィーネが両手を徐に動かすと、あなたも同じようにしてレフィーネを抱えた。お互いがどちらからともなく惹き寄せられるその様相は、さながら磁石のようであった。時間をかけてゆっくり好きになってくれたら、と思っていたのに。あの日から続いている濁流のような天命に、もはや流されるまま、心のまま。)……っは、……は、い…。どっ、どこにも行きません。”奈落まで”……(言いかける、二人の合言葉。続きをあなたに委ねて。)   (4/19 15:15:02)


クノ@アッシュ > ああ、リルが、俺の手の中にちゃんといる。⋯⋯⋯⋯抱き締めながら、アッシュはそんな幸せを噛み締めていた。あの日から、二度と戦場には立たないと思っていたのに、それが今では肩を並べて戦う立場に戻っている。アッシュにとっては最早、騎士団が居場所なのではなく、君のすぐ近くが居場所。⋯⋯⋯⋯ただ一つ、君の傍に居たいから。ただそれだけの理由だった。誰かを大切に思えば、その分人は弱くなるとは言うけれど、そうなのかもしれない。⋯もしリルが死んでしまったら、生きている意味すらもう俺には───)   (4/19 15:44:20)
クノ@アッシュ > 「⋯⋯っ」((悲観的で後ろ向きな考えばかり。こびり付いてしまった思考回路の底から引き上げてくれたのはまた、君の優しい愛言葉。⋯⋯そうだ、どこまでもずっと、俺達は一緒なんだ。甘い言葉の魔力に流されて、短くなった翠色の髪を上からうなじに掛けて撫で下ろす。何故こんなに、何もかも愛しいのだろう。⋯⋯段々と温かくそれを通り越しそうに熱を帯びかけた喉をごくり、と鳴らして抱く力を弛めると、君の腰を支えるようにしながら顔を僅かに離し。何かを言おうとして口を開いたけれど、結局言えなくて再び君を抱き締めて、口にした。)「⋯⋯愛してる。⋯いつまでも一緒に居よう⋯⋯」((フラッシュバックするのは、悲しい夢の内容ではなく、昨晩の記憶。深く君を感じられる熱の感覚を思い出しながら、ゆっくりと抱きしめたまま、横向きに向かい合うように寝台に倒れ込んだ。)「⋯⋯起こしちゃって、ごめんな⋯⋯。」〆   (4/19 15:44:22)