この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

出会い

(竜灯&浦舳)

クノ/竜灯 > 「へへっ、今日はついちょるぜよ。」((尊華帝國。夜の帳の降り、綺麗な満月が淡く照らす帝都榮郷。着飾った見目麗しい女性達の話し声や、酔いが回った男達の笑い声が飛び交う花街にて。小さな賭場から顔を出し、握り締めた巾着袋を手の上で何度も跳ねさせながら、晴れ晴れとした笑顔で歩く男が一人。帝国軍服に身を包み、背中に大きな竜胆車が描かれた羽織を羽織る彼、竜灯はどうやらこの辺りでは有名人のようで。「竜さん今日は勝ったのかい?」なんて言葉がちらほらと飛んで来る事と、巾着がじゃらじゃらと軽快な金属音を放っている事から察するに、今日は丁半博打で勝って来たのだろう。投げた巾着を掌で受け止める度にずしり、と伝わる重みに、益々気が大きくなっていった。)「よし、ぱーっと一杯やっちゃるかの!!今日は刺身で居酒ぜよ!」((ふわり、高めに投げ上げた巾着を勢い良く掴んで、にやりと口元を緩める。「どいたどいたーっ」と人混みを半身になりながら抜けると、ふと立ち止まり。⋯⋯そうや、折角じゃき、誰か連れて飲みたいぜよ、さっき何人か居ったのになぁ⋯。なんて考えながら。   (4/11 20:47:01)
クノ/竜灯 > 『こがな事なら火津彌さんにでも恩売った方が良かったのう⋯』ぼそり、零して後ろを振り返ろうとした、すんでのところで。)「⋯⋯、?」((前方からやって来た黒髪の女性に、目が奪われた。   (4/11 20:47:03)


蕨/浦舳 > (榮郷の夜の賑わいは、王都ウェントとはまた違った雰囲気がある。異国なのだから当然だとも思うが、……しかし、ここ花街では同じだ。酒と食べ物の香り、飲んだ人間の体臭、絶えることのないざわめき、めかし込んだ女達。このような場所へ来る度に、結局人間の本性なんて、国が変われども大差のないものなのだろうと感じる。決して自身にとって好ましいとは思えない不夜城へ足を運ぶのは、仕事をするのにうってつけだからに他ならない。酒は人を鈍らせる、女も、博打も。日常からの解放を求めてくる人間は、全てが軽薄になる。その中には、規律の厳しい国家組織――つまり軍や政府に身を置く者も少なくないのだ。そうしてそれとなく周囲に目を配りながら歩いていた時、一人、軍服に身を包んだ男を認めた。……直接軍人と接触するのはリスクもある。しかし、今の時勢。先の戦の事もある。今、帝国軍は揺れ動いている筈だ。……どんな些細な情報でも、喉から手が出る程欲しい。浦舳は意を決した。すれ違いざま、蹴躓く振りをしてわざと肩をぶつけ、よろめく。)   (4/11 21:22:26)


クノ/竜灯 > (『⋯こりゃ⋯⋯まっこと⋯。』ごくり、息を飲んで、口元から溜息を吐き出す。⋯⋯一目惚れ、という程では無いが、竜灯は眼前から此方へと向かってくる女性に釘付けになっていた。⋯尊華美人、という言葉がこれ程までに似合う女性を未だ竜灯は見た記憶が無い。ぱっちりと、それでいて思慮深さを感じさせる琥珀の様な瞳。形の良い唇。夜空の様な紺色の髪に花飾り。そこらの遊女なんかよりも余っ程綺麗な女性だった。僅かに目を見開いて、それこそ手に持っていた巾着袋を取り落としかねない程に拳の力を弛め、近付いてくる女性と肩がぶつかるまで、露骨に視線で追い掛けていた。)「⋯⋯⋯あ、いや!大丈夫がか!?⋯俺の方こそすまん⋯!⋯⋯⋯⋯おぉ⋯」((空いた片手を後頭部に当てて、慌ててぎこちなく会釈を返すと、またあなたに見とれて、感嘆の声を漏らす竜灯。動揺を隠し切れずに僅かに腕を動かして、じゃら、と巾着の音が響く。そこではっ、と瞳を見開くと、君に一歩近付いて話し掛ける。)   (4/11 21:43:45)
クノ/竜灯 > 「⋯おまん、これから暇か?⋯⋯良かったら俺と一緒に飲まんか?勿論奢りやき!!」((人当たりの良い快活な笑顔と共に、握った巾着袋を眼前で揺らしてみせ。「⋯⋯いやあ、丁半で大勝したきに、金が有り余っちゅうんよ!」と笑い声を上げて、貴方の返答を待つかのように真紅のハチマキを靡かせた。   (4/11 21:43:47)


蕨/浦舳 > ええ……平気です。本当にすみません……足が縺れてしまって。(受け答えながら、ようやく服ではなく貴方の顔を確かめる。……年齢相応の見目であれば、年の頃は自分より二、三若いだろうか。額に巻かれた赤のハチマキが印象的だった。網膜に容貌を焼き付けると共に、その露骨な面持ちと態度から、見え透いた好意が嫌でも感じ取れる。――しかし、都合は良い。自分が対象の嗜好に合っているのであれば、仕事はその分容易になる。)……え?(願ってもない誘いに、目の前に提げられた巾着袋と男とを交互に見る。敢えて、戸惑いの色は隠さない。しかし、如何にも明朗そうな青年は、そんな細やかな演技にまで気を遣わなくても問題なさそうだと思えるくらいに、……愚鈍そうだった。)え、ええ。私で宜しければ……御迷惑をお掛けしてしまいましたし……それでお詫びになるのであれば、喜んで。   (4/11 22:13:22)
蕨/浦舳 > (そう告げて微笑む。その上『これも何かの縁かしら……』と恥じらえば、この男は更に調子に乗るだろう。……この扱いやすさ、本当に軍人だろうか?やはり油断は禁物だ。内心で気を引き締めつつも、話しやすいように道の端へ寄って、黒い瞳を琥珀に映しながら尋ねる。)では、どちらへ参りましょうか?どこへだって、何なりとお供致します。   (4/11 22:13:28)


クノ/竜灯 > 「本当か!?⋯⋯へへ、おまんみたいな美人と飲めるなんて最高ぜよ!⋯⋯げに、まっこと⋯⋯」((漆黒でありながら爛々と瞳を輝かせて、よし!と言いたげに拳を握って喜んでみせた。少し間を開けて改めて。隠しもせず、それとも隠すことが出来ないのか貴女を上から下へと見詰めた。『⋯⋯まっこと、美人ぜよ。やっぱり今日はついちょるな。』⋯何度目かも分からない賛美を心の中で零したら、くるりと背を向けて、ハチマキを揺らしながら振り返っては、付いてくるように目配せして歩き出した。)「そうじゃなぁ⋯ちっと高いけんど、まこと旨い店を知っちゅーき、こっち!」((前を向いて歩きながら、通りを曲がっていく。少し遠くに見えてきた魚が描かれている群青色の暖簾、お目当ての店に灯りが灯っているのを確認すると、僅かに頷いて。会話を続けようとしたのか、それともただ単に自己紹介を忘れていた事に気付いたのか貴女に向き直ると、肩から袖を通さず羽織っただけの羽織の下で、親指で自らを指差し、にっ!と歯を見せて笑った。) 「そういえば、自己紹介が遅れたの。⋯俺は竜灯。見ての通り帝國の軍人ちや。⋯⋯おまんは?」   (4/11 22:35:20)


蕨/浦舳 > あら……そんな、美人だなんて。……いけませんね、言われ慣れておりませんので、社交辞令と分かっていても照れてしまって……。(袖口で口元を隠し、目線を落とす。こんな外連味たっぷりの言動でさえ、鈍感そうな男には効果覿面だろう。歩き出した青年の後を、“尊華の女性”らしく三歩下がって付いて行く。人の群れの中でも、赤いハチマキは道標に丁度良かった。……今日は本当に運が良いのかも知れない、浦舳にそう思わせるに充分な条件下の中。店を見付けたのか頷いた後、ふと足を止め、相対してきた男に合わせて立ち止まる。そしてその名を耳にすると、竜灯、としっかり脳に叩き込んだ。仕事相手の名を違えることは、ありがちにして命取りとなることを知っているが故に。また、軍人と自称したことにも安堵する。……騙りの可能性は、頭の隅に残しておきつつ。)   (4/11 23:09:42)
蕨/浦舳 > 竜灯さん……と仰るのですね。とても良いお名前で。ええと、軍人さんとは気付かず、失礼致しました……よく見れば、軍服を着ておいでですものね。(心にもない虚言を弄しながら、しげしげとその出で立ちを見つめた。それからまた笑みを浮かべて、問いかけに対して答える。)私は汀、と申します。両親の商いを手伝い、各地を転々としておりまして、実はこの辺りは不案内なのです……貴方のようなお方と知り合えて助かりました。そう言えば、竜灯さんのその訛りも、どこかで耳にしましたよ。どこだったかしら……。(仕事をする時の常套句を述べつつ、相手の反応を窺う。気付かぬ内に情報を吐かせるには心の内に入り込むのが必須条件、これが弾む話題であることを祈りながら。)   (4/11 23:09:48)


クノ/竜灯 > 「っかー⋯⋯、おまん、奥ゆかしいの⋯。そがなとこもまっこと美人ぜよ、言われ慣れちょらんなんて信じられん!」((額を抑えて、深い溜息を零すと、冗談っぽく笑いながら返す。⋯こんな人と出会える機会はもう無いかもしれない、だからこそ嫌われるわけにはいけない。⋯⋯と、せめていい所を見せようと決意した。立ち止まって自己紹介したのも、お国のために命を張る軍人である事を示したかったからだ。⋯⋯それこそ社交辞令の様な貴女の言葉も本気で受け止めているのだろう、照れたようにぼさついた黒髪を乱雑に搔き、困り笑顔を浮かべるのだった。)「ほうかぁ!⋯そがな畏まらんでええよ、竜(りん)さんとでも呼んでくれたらええきに。」((咋に嬉しそうな笑顔を最後に浮かべてから、しっかりエスコートせねば。とでも思ったのだろう、再び貴女の少し前を大股で歩き出し。その足取りは先程よりも幾分か軽い。店へと向かう中で貴女の言葉に返答した。)   (4/12 06:28:34)
クノ/竜灯 > 「⋯⋯へへ!!ほうか!なら汀さん、俺に出会えて正解やったな!俺はこう見えて結構顔が利くがよ!!!」((「おう、生まれも育ちも守山ぜよ。」と付け足し、自信満々に言い放ちながら、暖簾に手を掛けて潜ると貴女が入ってくるのを暖簾を持ち上げた状態で待っていた。カウンターと椅子が並び、数人の板前が「おお、竜さんか!!」なんて呼ぶのを見るに、名前も顔が効く、というのも嘘では無いのが分かるだろう。   (4/12 06:28:35)


蕨/浦舳 > (面白いように上手く事が運ぶ状況に、嘲笑を胸中で零していたのも束の間、何気なく放たれたその一言によって凍り付いた。“竜さん”……?同じ魔術師である浦舳にとって、人格を疑うなという方が無理があった。そう、帝國軍人であるならば、仮にも魔術師であることに間違いはない筈だ。それが、一般市民の“名”であればいざ知らず、魔術師の“字”をこのように扱うなんて。……俄には信じ難い。)あ、あぁ……ありがとうございます。り……り……竜灯さん。(一瞬呆然としてしまっていたが、誇らしげに暖簾を持ち上げて待つ貴方に気が付き、我に返る。……一歩誤れば命の危機にも繋がりかねない仕事の最中なのだ、気を抜いていた訳ではない。しかし、それ程までに衝撃的だった……根が生真面目な浦舳にとっては尚更。慌てて礼を述べるが、しかし、不自然かも知れないと分かっていながらも、どうしてもその愛称で呼ぶことはできなかった。……未だ嘗て、そんな風に他の魔術師を呼んだことなどないのだから。)   (4/13 18:35:51)
蕨/浦舳 > ……あら、ふふふ。本当に、有名人なのですね……。(店の者が、とてもじゃないが呼ぶことの叶わなかった通称で気安く貴方に声を掛けてくるのを耳にして、頭を抱えたい気持ちになった。何だ、この男は。破天荒とでも言うのが正しいのか。或いは、魯鈍、愚昧、頓馬――そこまで罵倒が思い浮かんだ所で、何とかその考えを振り払う。良い、私には関係ない。却って仕事がやり易いというもの。心の声は、おくびにも出さないのが基本。私の“贋作”は、いつも通りだ……。そう自分に言い聞かせると、店内を軽く見回し、貴方に告げる。ほんの少しだけ本音を混ぜ込んだ言葉を。)まあ、素敵なお店……。たまさか竜灯さんとお知り合いになれて、しかもこんな所でご馳走して頂けるなんて。私、本当に……今日はついています。   (4/13 18:35:56)


クノ/竜灯 > 「ま『そういえば竜さん、この前のツケはいつになった 』⋯⋯そうぜよ!有名人やからの!!」((貴女の言葉に良い気になったのか、満足気な笑みを浮かべて何かを言いかけた竜灯に、被せるように口を開いた板前の首に手を回し。大きめの声で掻き消した竜灯。ぐい、と板前の首を引き寄せて、ぼそぼそと何やら「⋯⋯後で返すきに、余計なこと言わんでええぜよ。」⋯呟いてぱっ、と肩を離す。空いている木製の椅子を一つ下げると、何事も無かったかのように貴女を席に座るよう促し、自分も隣の席に腰を下ろしたのだった。)「ほうかほうか!!困った事があったらいつでも俺を頼ってええぜよ、詳しい自信はあるきに。この街で俺の事知らん奴がおったら⋯⋯そうやな⋯⋯。」((相手を上手く立てる貴女の言葉回しにどんどんと気を大きくし、羽織の下でどん、と胸を叩き。出された温かい湯のみのお茶に口をつけ、腕を組んで悩む素振りを見せたあと。ふと隣の貴女に視線を向け、体を倒して覗き込むように見つめた。)   (4/13 19:24:13)
クノ/竜灯 > 「⋯それこそウェンディアの間者ちや。────なんての!!」((ちょっとした冗談のつもりだったのだろう。へへっ、とニヤついた笑顔を零した後、机に肘を付くと人差し指を立て、「尊華酒と適当に刺身、頼んぜよ」と注文を飛ばしていた。   (4/13 19:24:15)


蕨/浦舳 > (……成程、相当の与太者であることに間違いはなさそうだ、と板前に何らかの口封じをする貴方を見て推測する。言葉の断片から察するに、金のことだろう。そして、それとは正反対に思える、あの中身の重そうな巾着袋。……大方博徒なのだ、この男は。気付かない振りをしつつ、貴方に勧められるがまま椅子に座る。自信満々に偉ぶり、真っ直ぐな視線で自身を射る貴方の戯言に――まるで動揺しなかったと言えば、嘘になる。無論、それを表に出すことはしないが。)……ふふ、そうなのですね。では、――私はウェンディアの間者、ということになるのかしら。(少なくとも、笑みを湛えてそう答えるぐらいの余裕はあった。そう、尊華では間者――或いはコトノハなどと呼称するのだったか、ウェンディアでは“密偵”と呼ぶのですよ。内心ではそう続けるが、それが貴方に伝わることはない。)   (4/13 19:58:52)
蕨/浦舳 > ……今日で間者は卒業ですね。竜灯さんと知り合えて、この街の一員になれたのなら嬉しいです。……お酒、お強いのですか?そうでしたら素敵。……でも、私はあまり飲めなくて……つまらなかったら、ごめんなさい。(貴方の注文を聞いて、そう尋ねる。酒は決して嫌いではない、そして弱くもない。しかし、仕事に支障を来すことだけは絶対に避けねばならなかった。どんなに鈍くても分かりやすいよう予防線を張りながらも、貴方には調子良く飲んで貰わねば困るのだ。その方がずっと、目的を果たしやすくなる。)   (4/13 19:58:57)


クノ/竜灯 > ((頬杖をついて貴女を見つめていると、目の前の美人が零した有り得ない言葉に、思わず苦笑を浮かべてしまった。汀さんに限ってそんな事は無いだろう。冗談に乗ってくれるなんて優しいなぁ、なんて的外れな思考をぼけーっと流していた。⋯⋯続いた貴女の言葉に、気分良い笑顔に表情を変えながら。)「へっ、汀さんは立派な尊華人ぜよ。おまんを疑う様な奴がおったら、俺が文句言ったるきに!!今日はぱーっと飲もうぜよ、⋯⋯丁度来たしの。」((とっくりとお猪口が二つ。「っとと⋯」と零しそうになりながら注いだお猪口を一つ、貴女の眼前へと滑らせると、続いて自分の分も注ぎ入れ。肴が来る前に駆けつけ一杯。お猪口を摘んで貴女に向けるように掲げると、晴れやかな笑顔で。)「じゃ、俺と汀さんの出会いを祝して、乾杯!」((言うが早いか、喉を鳴らして飲み干してしまい。かーーっ!格別ぜよ!と眉を顰めて目を閉じ、心底気持ちよさそうな息と共にお猪口を持った手をカウンターへと落とした。   (4/13 20:27:43)


蕨/浦舳 > (“立派な尊華人”。――その“魔術”が私の憎悪を煽るとは、夢にも思っていないのでしょう。清々しい貴方の笑顔に、浦舳は僅かに目を細めた。……確かに、私の血筋は尊華人でしかないのだけれど。重く沈んで行ってしまいそうな心とは裏腹に、軽快に響く乾杯の音頭に合わせてお猪口を持ち上げる。貴方のそれが文字通りあっという間に空になるのを見届けてから、ゆっくりと口を付けた。……飲み下した後に鼻に抜けるつんとした香り、これは尊華酒に特有でウェンディアにはないものだ。しかし、それが王国のワインよりも心地良いと感じてしまう自分が厭わしい――悪酔いしている時のように、胸がむかむかする。)お酒、お好きなんですね。良い飲みっぷりで……素敵です。次は私が御酌致します、どうぞ、もう一杯。(徳利を手に、丁寧に貴方のお猪口へ注いでいく。なみなみと揺れる透明な水面に、店の照明が反射している。浦舳は自分のお猪口に付いた口紅をそっと拭い、貴方がまた飲み干すのを見守る姿勢だ。酔いが回った様子が見受けられたら、“本題”に入ろう、と思案しつつ。)   (4/13 21:04:23)


クノ/竜灯 > 「ほうかぁ?へへっ、⋯⋯⋯おお、こりゃどうもぜよ。⋯⋯こがな美人にお酌して貰えるなんてのう⋯ついちょるのはやっぱり俺みたいちや。」((貴女が徳利を手にしたのを見て、軽く会釈しながらにこにこ笑顔を見せつつ、お猪口を差し出してお酌を受けていた。⋯⋯うーん、今日は本当についちょる。自分に都合の良すぎる状況、しかしそれに違和感を覚えないのが竜灯という男で、『軍人様々じゃのー。』と注がれたお猪口の水面のような、ゆらゆらとした思考のまま。)「ほいじゃ、頂きます。⋯⋯⋯⋯っふぅ、染みるのう⋯。」((いい飲みっぷり、なんて言われて調子に乗っているのだろう。またしても一口でお猪口を空にしてしまう。扱いやすい男である。じーっ、と貴女の顔をぼんやり眺めた後、軍人として苦労している所を見せたいと思ったらしく、肩を竦めて困り顔を浮かべ。)   (4/13 21:28:52)
クノ/竜灯 > 「いやぁ、それにしても最近は物騒じゃの。戦争も起きゆうし⋯⋯⋯⋯ここだけの話、帝國軍の中でも派閥争い?みたいな感じでぴりぴりしとるぜよ、いい迷惑ちや、苦労する⋯⋯」((こそっ、と口元に手を当てて内緒話。顔を寄せてぼそぼそ、と小声で話してから、困り顔を苦笑に変え、乾いた息を零して見せた。⋯⋯実際特に苦労もしていないし、どうでも良いし詳しい事は知らないのだが、兎角苦労アピールをしたかったのだろう。出された白身魚の刺身を一瞥してから、山葵を小皿の醤油に箸で混ぜ込んだ。   (4/13 21:28:54)


蕨/浦舳 > (どこか茫洋とした視線で見据えてくる貴方に対し、わざとらしく小首を傾げる。寄せられた顔に耳をそばだてれば、余りに都合の良い展開に、脳内は暢気な竜灯とは真逆の反応を示し……警戒心を強めざるを得なかった。まるで自分の尻尾を誘い出そうと、炙り出そうとしているかのような発言。騙されているのはこちらの方ではないのか。そういったある種過剰な疑念も、密偵を生業としている以上は抱くのが自然というものだった。……しかし、それでも。虎穴に入らずんば虎子を得ず、危険を承知でこの男を引っ掛けたのだ。浦舳は不安気な表情を作り、それとなく詳細を聞き出そうと試みる。)   (4/13 22:01:38)
蕨/浦舳 > 戦争……そうですよね、私、まさか本当に起きるとは思っていませんでしたもの。……派閥……とは、どういう?……私、両親とあちこち回っていますので……近頃、心配で。(貴方が醤油と山葵を掻き混ぜるのを見て、薄ら寒さを感じながら、自分用の小皿を手元に寄せて確保する。……この男の口振りからして恐らく一兵卒であるのは間違いないだろう、それは問題ではない。肝要なのは、何をどこまで知っているか、だ。そう思索を巡らせながら、刺身を一切れ、上品に口に運ぶ。咀嚼の度に、甘い魚の脂が滲み出てくる……堪能する程のゆとりはなくとも、上等の物とは理解できた。)   (4/13 22:01:42)


クノ/竜灯 > 「んん、汀さん達国民からすると迷惑な話ちやな。⋯⋯なんと言うかのう、俺らの上に火津彌さん⋯⋯いやあ、佐官っちゅう階級の軍人がおるがやけんど、そん人と中将官っちゅう、もっと偉い人とん間で、行き違いがあったみたいな、のう。」((溶けきらない程に山葵を入れたのだろう、塊が幾つも浮いて緑がかって見える醤油に白身魚をべったり付けると、醤油が垂れないように口を近付けて迎えに行き。「んー⋯⋯。」と咀嚼しながら箸を置いて腕を組み。何処か上を見上げながら考え込む仕草を見せたら、ごくん、と口の中の物を飲み込んで。両膝にぽん、と両の掌を乗せるのを合図に再びぺらぺらと口を開き始めた。)「⋯⋯いやの、俺は正直、尊華の軍事力はウェンディアよりも劣っとると思っちょる。戦場ではな、こがな大きな魔術砲っちゅう大砲が並んどっての、一斉掃射で俺らの陣が吹き飛ぶんじゃ。」   (4/13 22:24:08)
クノ/竜灯 > ((両手を大きく広げて魔術砲の恐ろしさを何とか表現しようと。少し真面目な表情で再び腕を組み。何度か頷いた後。空になったお猪口を手にとって、 肘をついてくるくる、と手首を回しながら自嘲気に口元を弛めて見せた。)「ただでさえそがな状況なのに、ここで仲間割れしとるようじゃあの。⋯⋯今ウェンディアに付け込まれたら一巻の終わりぜよ────せめて俺は汀さん、おまんだけでも守ってみせるきに。」((⋯最後のよけいな台詞さえ無ければ幾分かマシであっただろう。両手を握り締める勢いでキラキラと貴女に瞳を向けると、「すまんが、ええか。」と乾いた喉を湿らせるべく、空になったお猪口を向けた。   (4/13 22:24:10)


蕨/浦舳 > (うんうんと頷きながら、貴方の話に傾聴する。ホヅミ……佐官。そして、中将官。行き違い。派閥……。刺身を頬張る貴方の様子を薄目にして見ながら、浦舳は得られた情報こそを咀嚼する。一片たりとも漏らしたくない、その気概で頭に刻み込んだ。)まあ……魔術砲。そんな兵器が王国にはあるのですか……。(眉根を寄せた神妙そうな面持ちで、自分の体を抱えるようにして腕をさする。「怖い」、と呟けば、こんな演技をしている自分こそが恐ろしい、と内側から声がする。……その声を無視することにはもう慣れていた。けれど、貴方の輝いた表情と放たれた言葉で、本当に吹き飛んでしまう。――滑稽過ぎたと言えばそれまで、しかし、心から可笑しくて笑みを零してしまった。作り物を除けば、これが初めて貴方が目にした笑顔になるだろう。)……ふふっ。竜灯さんって、本当、……愉快なお方。(事実、こんな仕事をしていれば、言い寄られてからが本番と言っても過言ではない。けれどもここまで露骨に好意を押し出してくる男も、また、ここまで自身が絶世の美女であるかのような扱いしてくる男も存在しなかった。……まして帝國軍人では。)   (4/13 23:07:34)
蕨/浦舳 > ええ、もちろん。……私も、もう少し頂きます。(貴方のお猪口を再び酒で満たすと、自身ももうもう一度自分のものに口を付けた。もう飲む腹積もりがなかった故に紅を拭ったというのに、新たに残ってしまったけれど。先程よりも、その滋味深い味がした。)……竜灯さんが守って下さるなら、怖いものなしでしょうね、きっと。(ぽつりと吐き落とされたその一言が、どこか暗い声色であったのは、“汀”が戦争に怖じているから。この男なら、そう解釈してくれる筈だと願った。)   (4/13 23:07:41)


クノ/竜灯 > 貴女が己の体を抱くように。怯えや恐怖を前面に出して見せた貴女を見て、竜灯は静かに頷いて見せた。こがな美人が危険に晒される世界なんてやはり間違っちょる、俺が何とかせんと。⋯抱いた決意は心の中だと言うのに、誰も見ていないと言うのに酷く見栄っ張りなもので。⋯⋯故に、お前には無理だと現実を突き付ける者もそこには居らず、あまりに過大な、己には見合わない決意はゆっくりと心の中に落ちていく。⋯お猪口を差し出しながら貴女を見つめていたら、少し期待してしまう言動が飛び出してきて。上体を倒し、前屈みになって食い気味に言葉を被せた。)「お、俺がなんじゃ⋯⋯⋯⋯⋯⋯ほうか、愉快かぁ。⋯かーっ、素敵と言ってくれれば跳ねて喜んだものを!」((額を抑えて上を向き、冗談っぽく残念がって見せたら、ちゃんと向き直って貴女のお酌を受け。貴女が自分のお猪口にも酒を注ぐのを待つと、くいっとお猪口を傾けて流し込んだ。   (4/13 23:45:16)
クノ/竜灯 > ──────⋯⋯⋯⋯全く、男を燃え立たせる言動ばかりじゃのう⋯汀さんは⋯。先程までの月明かりのような、淑やかな声色ではなく、まるで影のような暗い声で呟かれたら。その様子を瞳を瞬かせて見つめてから、静かにお猪口をカウンターに置き。⋯⋯その流れで箸を手にすると、再び刺身へと伸ばし。)「⋯⋯勿論ぜよ。⋯⋯さっきも言ったけんど、困ったことがあったら俺を頼れ。そしたら必ず俺が何とかしちゃる!!!字に込めた誇りに賭けての!!」((一気に二枚、刺身を摘んで醤油の海に落とし。にっ!!と太陽の如くニヒルな笑みで言い放ってから、大口を開けて放り込むのだった。   (4/13 23:45:19)


蕨/浦舳 > あら……ふふふ、失礼致しました。もちろん、素敵なお方ですよ。(くるくると変わるその表情がまた何とも剽軽で、切れ長の目尻を下げて微笑む。……無邪気と言うか、馬鹿正直と言うか。少年性にも似たそれは、郷里の弟妹達を彷彿とさせる。兎に角、子供のように単純で、率直な男なのだ……図体は大きいけれど。ろくでなしではあるかも知れないが、決して悪人ではないのだろう。――仕事相手をそう評し、最も大切な家族という存在に重ねて見るのは、自分にとって得策ではない。けれど、人が良いから自分のような者に騙されるのかと言えば、そうでもないのだ。とんでもない下衆もいる。そんな中でこのようなお人好しと巡り会えた事実は、浦舳にとって一つの灯火と化し、束の間ではあるがその心を暖めた。)   (4/15 00:50:34)
蕨/浦舳 > ……ありがとうございます。困ったことがあったら……そうですね……。(――そして、いつだってその温もりに水を差すのは浦舳自身なのだ。凍てつくような冷水を浴びせかけ、本来の意識を取り戻す――否、最早それが本当の自分であるかどうかなんて、とっくに分からなくなってしまっているのだけれど。何れにせよ、貴方は私にとって、仕事の対象でしかあり得ない。格好の的であり、好い鴨であり、貴方が誇るその字の竜でさえ、私の眼を通しては獲物に過ぎないのだ。)……でしたら、その。尊華で何が起きているのか……時折、聞かせて下さいませんか。……知らないことに怯えるよりは、訳が分かっていた方が、少しは救われますから。(――貴方が賞味しているその刺身よりもずっと上質な王国の糧を、浦舳は飼い馴らそうと算段してそう言った。笑顔を模した表情を貼り付け、「次は私がご馳走しますから」、と付け加えて。)   (4/15 00:50:43)


クノ/竜灯 > 「へへ、そうじゃろ?」((知的で綺麗な瞳を穏やかな色に変え、微笑むのを見て竜灯もにぃ、と口元を弛めた。美人で慎ましやかで女性らしさに溢れた人じゃ、本当に。遊女の様な派手さは無いが、比べ物にならない程に綺麗な人だ。そう感じれば感じる程に竜灯の胸はざわついた。⋯⋯俺には勿体ない、なんて考えてしまって胸の内が冷える。⋯だが、それも一瞬のこと。竜灯という男の心は常に熱く熱く燃えているから。燃えやすい男なのだ、兎にも角にも。誰かが、今は目の前の女性が火種をぽろりと意図的にか、それともわざとか落とせば、すぐに火が点いてしまう程には。)   (4/16 22:40:16)
クノ/竜灯 > 「⋯⋯あい分かった、いつでも聞いてこればええし、何かあったら俺からおまんにも、教えちゃる。」((⋯大抵、男というのは美人に頼られれば嬉しいものだ。竜灯もその例に漏れる事は無い。寧ろそれ以上、ついつい見栄を張ってしまう位。口の中の物を飲み込んで、お猪口に手を伸ばした所で、付け足された貴女の言葉に一瞬だけ嬉しそうな笑顔を浮かべたのが見えるだろう。口を開いていたのなら「そりゃ本当か!?」とでも口走って居ただろう。⋯⋯だが、そこは汀さんの前。瞳を閉じ、ニヒルな笑みで嘘を吐いた。)「⋯いいや、俺は軍人じゃ、金には困っちょらん。女に⋯ましてや、汀さんのよな美人に払わせるなんて俺の誇りが許さんぜ。」((くいっ、とお猪口を傾けて飲み干して。かっこよく見栄を張る。⋯⋯夜は更けていく。お互いに、意味は違えど良い人と出会えたと思いながら。 )〆  (4/16 22:40:19)