この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

傭兵に眠りを

(オウガ&雷鏡)

オウガ > 「(全て後ろに流された錆色の髪を揺らし、ぴっちりとしたスーツに身を包んだ大柄の男が一人。あなたはその姿に既視感を覚えただろう。それもそのはず、以前魔力の籠った硬貨を渡してくれた、ウェンディア王国の千騎長だったからだ。彼はとある商店街にて、たくさんの肉と野菜を買っていた。)…このぐらいでいいかね。(なんて、一言呟けば、自分の家に向かって歩き始めた。空には薄く月が見えて、太陽が沈み始めていた。戦争の始まりは、我らが信仰する太陽、月、どちらも見えぬ雪の日であった。あれからしばらく、戦争は起きていない。多分、どちらも戦力が削がれて様子見をしているのであろう。)」


雷鏡 ◆ > もう夕暮れか…それにしても、今日は大量に収入が入ったな…この調子ならば、さらに短縮できるかもな…少なくとも、向こう5年以内には店を構えられそうだな…(と、彼は考えながら歩いていた。同時刻、彼もまた今日の食事づくりのために食材を買いに来ていたところなのだ。彼はその日の食事をその日中に食べるという考えからか、買っている量は特に多くもなかった。食べ残しでもして腐らせるのは嫌だという考えからだろう。)今日は焼き肉にするかな…(と、彼は考える。そして、街を歩いていると、見覚えしかない姿を見かける。あれは…)こんばんは。千騎長殿。(と、相手に声をかける。そして、この間出会ったときに貰ったその赤き硬貨を相手に見せる。その左手人差し指には聖騎士団長からもらった指輪が嵌っていた。)


オウガ > 「(自分を呼ぶ声に歩みを止めて、声の聞こえた方へ頭と目を向ける。するとそこには、少し前に会ったばかりの何でも屋、雷鏡の姿があった。左手の人指し指に光る指輪と、自分が渡した硬貨を見れば、顔を見ずとも理解できた。)こんなところでまた会うたぁ、奇遇だな。(オウガはその奇妙にも繋がっている縁に喜び、豪快な微笑みを浮かべながら言った。)あれからどうだ、相変わらず儲かってるか?(この短期間ではそこまで儲かりも増えていないだろう、という意味で、差し当たりがないように「相変わらず」という言葉を使う。食料のことに口を出さないのは、あなたの食べる量と自分用の食べる量を、体格でなんとなく察しているからである。そう、オウガの買った食料と雷鏡の買った食料、日数分に分ければ「同じ」なのだ。オウガは運動量が多い分、他の魔術師よりも、いや、人より食べる量も多いのである。)」


雷鏡 ◆ > 本当だよ。しかし、ここでは本当にあんたらという最早奇跡としか呼びようのない縁のお陰で商売繁盛してるよ。今日だけでも6つくらいの依頼が舞い込んできたからな。(と、相手に話す。そのどれもが簡単な仕事であったため、一日に大量にこなすことができたのだということも相手に伝える。)


しぃずま > 「6つ!…なるほど、簡単な仕事か。オーバーワークかと心配したぜ…でもまぁ、簡単だったとはいえ、気を付けた方がいいぞ。疲労っつーのは知らねぇ内に溜まっていくもんだ。…そうだな、明日1日は休んだ方がいいんじゃねぇか?(身を案じての提案。)そうだな…依頼っつー体にしとけば、金も出せるし、断りづれえよな?(少し悪い笑みを浮かべては、財布から銀貨50枚と金貨1枚を取りだし、あなたの手に強引にも握らせた。気付けば、オウガの錆色の毛が、背景に溶け込んでいることに気づくだろう。それは、時刻が黄昏時となったからだ。太陽はずんずんと沈み始め、月も少しずつ登り始めた。)時間も時間だし、俺はここらで帰らせてもらうぜ。(有無を言わさず、オウガはその並外れた脚力で家に駆けて行った。)」〆