この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

旅立ち

(フシロム)

フシロム > (固いベッドから体を起こす。少し重たい肩を回しながら昨日の疲れがうまくとれなかったのかな、と思う。その場で軽く伸びをすれば少しは体が解れたようだ。ベッドからおりてローブを手に取ると鞄の中から服を取り出し着替え始めた。指先が見えるぐらいの袖の長さはヨズアの証を隠すのにぴったりなのだ。ズボンを履いて靴を履く。その後、爪先で床をこんこん、と何度か蹴って馴染ませる。荷物を全てロッカーの中から引っ張り出すとお世話になった宿のひとに礼を言おうと階段をおりる。....普段よりも荷物が多いためすぐ疲れはやってきた。)はぁ、はぁ...げほっ、んぐ、ふぅ...(なんとか呼吸を整えれば食堂を乱雑に開けて大声で礼を言う。)お世話になりましたっ(宿のひとは少し驚いた顔をした後、にっこりと笑って手を振ってくれた。それに応えるようにして笑うと、宿の扉を開けた。...今、この宿は、王国にある。もう、王国から出ていく時間だ。たくさんの荷物を抱えていると、キキィ、と聞きなれた声が耳の近くでした。そちらに視線を寄越せば相棒の一人であるヴィゼが肩に乗ってじゃれついてきていた。)
フシロム > ヴィゼ、おはよう。今日はみんなお寝坊さんだな(けらりと笑ったあとヴィゼの頭を軽く撫でてやる。そうすると嬉しそうに笑ったのでこちらも笑みを漏らした。因みにアイラとザクアは留守番だ。)さて、行くぞ(そう声をかければ元気に返事したのをみて、歩き始めた。)
フシロム > (辺りは活気が良くて、人通りも多い。だから、今回はたくさん稼げたのだ。小さく笑みを漏らしたあと、お土産でも買おうかと帰路の途中にある店によった。そこは質素ながらに繁盛しているようだった。目当てのもの__さつまいもを見つけるとそれをひとつ手に取る。ちゃんと良くみて、美味しいものか判断したあと会計しようと持っていく。財布から金を出すと店主は無愛想ながらに丁寧に品物を渡してくれた。店の外に出ると鞄のなかにはいっていたヴィゼが飛び出した。きぃきぃ、と鳴きながら首の辺りをぐるぐると回る。それに苦笑する。出国のために少し列を作っている旅人たちの後ろに並ぶ。ばさり、と羽ばたく音が聞こえてそちらにかおを向けるとふくろうのエスルがいた。手を伸ばせばちょん、と乗ってきて、可愛らしいと思いつつ、肩に来るヴィゼの負荷に苦笑を漏らした。順番が回ってきて、問題なく検査を終えた。これで、王国を出た。)〆