この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

美虎にて

(レフィーネ&神楽)

レフィーネ ◆ > (春だと言うのに雪が振り、霧が風に乗りふわふわと動いているのが見える。100メートル先の世界は真っ白で、天と地の境目か曖昧になっている……とどのつまり、異常気象。そんな表現が似合うエックス・デイは、ミトラを防衛せよとのお触れが出されていた。)天地(あめつち)よ、春の氣よ、大いなる太陽よ。一木一草の生命に汝(みまし)の眼差しを。榮える蔓(かずら)となりて蔓延れ!太陽の名の――………(霧の中に短くこだまする、高いけれど強い意志を秘めた歌声。百騎長レフィーネは、今まさに敵国・尊華と対峙していた。彼女の魔術は炎や、爆発を伴ぬ地味な類のものであり、罠のように張り巡らせる事でようやくその戦闘特性を発揮する。罠が見えづらい霧は、好機であった。レフィーネの歌声に呼応し、大地の眷属たる蔓達が地面や砦の壁を伝って、ぞぞぞ、と蔓延る。……一寸先は霧。目を瞑り、己が戦うべき相手が誰か、どこから来るのか。神経を研ぎ澄ませた。)


神楽 > (雪が降っている。鈍い灰色の空からはらはらと降り注がれる、粉雪が。辺り一面に立ち込める霧は何処までも濃く、深い白色を映し出している。異常気象とはこの事だろう。4月も近いと言うのに、季節外れの冷風がひゅるりと近くの木の葉を揺らしては舞い落ちた。「…寒い。」ぽつりと小さく呟くと同時に白い息がほぅ、と溢れては消えてゆく。)はー…上手くやれているのかな、あの子達は。(遠い目で同胞達が走っていった方向を眺め、部下達の事を想った。自分が立案した作戦だと言うのに、彼女といえばこの離れた場所で1人、部下の帰りを待っているだけなのであった。其処らにある気に寄り掛かっては、持参した本をぺらぺらと捲ったり、居眠りをしたり、野良猫と睨めっこしてみたり……。それはまるで暇とでも言うようにマイペースに、自由に1人の時間を過ごしていたのだった。…そして彼女はまた、ふと思い出したかの如く部下達を思い浮かべ、勝利を願い、祈りながら___________寝た。)  


レフィーネ ◆ >    (ふと気配がした。…恐らく味方のそれではない。まずい、相手の詠唱よりも先に場所を特定して迎撃しなければ。耳を澄ませば詠唱は聞こえるはずだ。……風の凪ぐその一瞬、動かぬ霞から現れるのはいかなる神威か。また、風のそよぐその一瞬動く霞から魔術師が飛び出てくるかもしれない。汗で張り付く髪までもが己を留め立てているかのように思えるほど、レフィーネはその場からビタリと動けないでいた。ただ、眼球の動きだけが鼠のように忙しなくあった。……次の瞬間、風のうなる音を耳にした。頭のすぐ後ろ……レフィーネがとっさに地面へ転がり込もうとするのと、空中に現れたかまいたちがレフィーネの首を狩ろうとするのはほぼ同時であった。風切音と同時に、ざん、という音を立ててレフィーネの後ろ髪が地面へ落ちる。……首の皮一枚とはまさしくこのことか。まだうなじに残るひんやりとした死への恐怖を手で擦りながら立ち上がった。) 
レフィーネ ◆ > ……はぁっ…はぁっ…!……つ…蔓よ…!(たった一言だけ。今はレフィーネの眷属となった栄える蔓達は、端から壁や木に絡んでゆき、網のようにまとめて上へ上がった。小さな悲鳴のする方へ向き直ると、蔓に絡め取られてもがく尊華の軍服。役職は解らないが、今なら仕留められる。落ち着いて息を整え、不安を煽るような短調の旋律を口にする。)♫……大地にひれふす眷属よ、つくばう蔓と木霊達よ。彼の者と一つになれ。生命を吸い腐生せよ、汝の手足を搦めて粛々と。(……蔓は触手のように軍服を締めあげた。身体や首に絡みつき、助けを求めるような断末魔が霞の中に響き渡った。レフィーネは自分自身の目にも恐怖を湛えながら、息を止めてじっとそれを見つめる。窒息の深度は敵の呼吸が教えてくれる。息も絶え絶えになってゆく敵に同調する空嘔をぐっと飲み込み、それが力尽きるまで見つめる。…汗が滴り、地面を潤してゆく。)
レフィーネ ◆ > ……はぁっ、はぁっ、はぁっ……。(自分自身も止めていた息を吐き、目に入る汗を袖で拭った。悲鳴は大きかった。もしかすれば援軍が来るかもしれない。……この軍服の上官でないことを祈りたい。より強いものが次々と出てきてしまったら、もはや死は約束されているようなものだから。)


瑠璃/神楽 > (透き通る様な青味を帯びた淡い空に、燦然と太陽が一つ、煌めいている。辺りを静かに照らすのは木漏れ日の緑光の筋。小春日和の如き長閑な日差しの中で、ふと、少女は目を覚ました。__眠い目を擦りながら欠伸を一つ、彼女は不思議そうな表情で辺りを見回した。あれ……今って春だったかな__。ふわりとそよ風が通り過ぎると、緩やかに樹々を揺らめかせてみせる。息を呑む様な自然の絶景の中、彼女が寄り掛かっているのは立派な大樹の幹。そして少女を取り囲み咲く花達は、目が覚めるほどに鮮やかで、可憐な色で彩られている。何処なのだろう此処は……とても静かで美しい場所____。目の前に広がる景色に見惚れていると、また眠気の波が緩やかに押し寄せて来る。そして再び瞳を閉じようとした、其の時。   (5/23 18:14:39)
瑠璃/神楽 > 突如聞こえた、耳を劈くような消魂しい悲鳴。 断末魔、と言う風な叫び声が静寂の中に響き渡った途端、少女はばちりと目を覚まし起き上がった。…夢か?____其の叫声すらあの美しい夢の一部なのかと思ったが、目が醒めても未だ聞こえ続ける 音を聞けば理解は追いついた。何かに怯えている、と言うよりは襲われている恐怖を物語る様な悍しい悲鳴。その声色には少し聞き覚えが感じられる…帝國の部下であろうか。少女は溜息を一つ、漏らした。…あぁ、もう。折角良い夢を見られていたのに。ゆっくりと眼を閉じ、耳を澄ませる。距離は然程遠くはない様子。恐らく走れば直ぐに辿り着ける距離だろう。彼女は声のする方へと静かに足を踏み出した。)   (5/23 18:14:51)
瑠璃/神楽 > ………あ。(聞こえ続ける断末魔を頼りに声の主を探していると。少女は吐息に紛れた小さな声を漏らした。___あぁ、消えたな。探していた声がやがて擦れた声となって行き、まさに今ぷつりとその音が途切れた___。彼女は直ぐに状況を察する。だが、一貫して其の表情は焦燥も警戒も映し出してはいなかった。まさに、不変。まるで人形のように何も感じず、何事もなかったように、彼女は声がした方向をその赤黒い左の瞳で見つめるだけ。__部下の安否などどうでも良い。敵を淘汰する事だけを考えろ。__彼女の中で其の考え方は当たり前のことになっていた。勝利に犠牲はつきものであり、其の犠牲すらも大した損失ではないと考える彼女には最初から部下を守る理由も価値もない。目的はただ敵を倒すことだけ。まるで思考が其の事に取り憑かれているかの如く、其れ以外の事には興味すら示すことはなかった。)   (5/23 18:15:07)
瑠璃/神楽 > さぁて、敵はどこかな…(敵のいる現場にはかなり近づいた様だ。大方あと数歩も歩けば対峙するのではないだろうか。先程の夢と同様に、草木が揺らめく音がする。今度は激しく、ぶつかり合う様に。そして、其れに混ざり苦しそうな呼吸の音も小さく響いていることに気付く。女性の…過呼吸…?声のする方を見ると、探していたものがやっと姿を見せた。長い睫毛に縁取られた真紅の瞳が、その女性の後姿をしっかりと捉える。__少女の様な体軀に、ふわりと波打つ鮮やかな緑色の髪。そして予想通り、周辺には先程まで"部下であったモノ"が散らばっていた。足音を立てずに少しずつ、ゆっくりと近付いて行く。女性は此方の存在にはまだ気付いていない様子。にこり、愛想の様な笑顔を作ると、静かな声色で背後から話しかけた。) …どんな大男が暴れてるのかと思ったら、可愛いお嬢さんじゃないか。…やぁ、今日は。   (5/23 18:15:21)


しめ鯖/レフィーネ> (自分の心臓の鼓動が疎ましく感じられる程に神経を研ぎ澄ませていたはずなのに、レフィーネは後ろから声をかけられるまであなたの存在に気づけずに居た。人の命を奪ったのはこれがはじめてではないけれど、どうしてこんなにも動揺を覚えるのか、情動に自分自身が追いつけずに居て、恐らくは集中できずにいたのだろう。)「……っ‥…!」(肩、首、視線をぐるりと回転させてあなたの姿を捉える。あなたの言葉をそっくりそのまま返したくなるような小柄で可憐な姿に一瞬だけ油断をしそうになるが、魔術師に性別は関係ない。歳は……自分と同じくらいだろうか。悠長に挨拶などしている余裕はない。ここは戦場で、そして自分は百騎長だ。やるかやられるか。目の前の相手をきっと睨みつけ、小さく短めの呪文を詠唱する。   (5/25 22:27:07)
しめ鯖/レフィーネ> ――罠のように張り巡らされた蔓がぞぞ、と動き、あなたのを縛り上げようと四方八方から襲いかかるのと同時に、一本が木を伝ってからレフィーネの腕に絡みつく。そのままふわりと蔓は木の上に彼女を運び、よろめきながらもなんとか梢に足を下ろしてあなたから距離をとった。)「……軍人さん。う、運がありませんでしたね。ウェンディア王国の百騎長がお相手致します。」   (5/25 22:27:11)