この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

荒神の導き

(雷鏡&カヤ)

雷鏡/ ◆ > さて…今日の営業はこんなもんにするかね…(と、一人の青年が、スザンの街の中を歩きまわりおえる。その青年の名は雷鏡。…根無し草の何でも屋だ。今日も彼はいつものように依頼を受け、解決、報酬を得てを5件行った。そのおかげで、土地購入及び、建築費用に要する目標金額までまた少し近づいたというわけだ。そして…最近では道行く人に声までかけてもらえるようになった。やれやれ…根無し草となると、噂話というのはあっというまに広がるな。まぁ、こちらとしては商売ができるから万々歳だ。)


カヤ > (夜道をゆく青年の後ろ姿を見守る影がみっつ。それらは揃いの黒い外套を着た褐色肌のヨズア人であり、依頼をこなし地元民から信頼を得た貴方と違い、帝國人から向けられる視線は嫌悪感に満ちた鋭いものである。しかし、それを気にした様子もなく、ヨズア人たちは貴方の後ろにそっと歩み寄る。そして三人の中央に立つ若い金髪の男、薄汚れた寄せ集めの服と装飾品とを身に着けた青年、カヤが貴方へと親しげな調子で話しかけた。)こんばんは、雷鏡さんですね。すこしお話があるのですが、お時間をいただけますでしょうか。


雷鏡/ ◆ > は?(と、至極面倒くさそうな雰囲気で話す…今日は彼は5件も依頼をこなしたのだ。少しは休みたいものだ…)んだよ…人がこれからy…失礼。はいはいー…用件はなんだ?依頼ならば報酬は貰うが何でもしていいぞ?ただし、その場に何年も縛り付けるような依頼は丁重に断らせていただきますがね。(と、先に断りだけ入れておこうか。)


カヤ > (貴方が足を止めて振り返った瞬間、左右にいたヨズア人たちは誰に命じられた訳でもないのに周囲を取り囲むように移動して進路を封じた。よそ行きの愛想笑いを顔面に貼り付けたまま視線の端で確認したカヤは、片手を自らの胸に添えてそっと囁く。)依頼の前に、少しお手合わせをお願いできますか?貴方の力量を見極めたい。(そう言って、胸に添えた手を握りしめた瞬間、五指の間に握られていたのは三本の投げナイフ。サーカス団で身に着けた奇術は神の御業と偽るのにうってつけであり、周囲に見えぬよう自らの外套の影に刃を隠して鋭利な光を相手にのみ見せつける。)今日は荒神の日。武芸をみせても誰も気にもとめないでしょう。


雷鏡/ ◆ > 手合わせぇ?報酬出るんだろうなって…どうやら手合わせしないと逃してくれねぇんだな…やれやれ…報酬の出ない仕事は嫌いだね…(と、彼はやる気のなさそうに刀に手をかざす…そして、いつでも抜刀術で飛んでくるであろうものに対応するために…そして、彼の中で何かが切って落とされ…傭兵としての血が燃え上がり始めた。)


カヤ > 報酬ですか?では神の祝福を、貴方に。(貴方が刀の柄を掴んだのをみて僅かに双眸を細めると、ぱっと後方へと飛び退り指の間に挟んだナイフを等間隔で投擲する。大きく広がる黒い外套。まず手始めに狙うは刀を持った利き手、次に視線が動いたことを予測して左肩、最後に前に出るだろう右脚の爪先を狙い、すべてのナイフを投擲すると、さてお手並み拝見と腕を組んで首を横へと倒す。貴方の背後では二人のヨズア信者が剣を抜いて構えているが、その動きは訓練を積んだものではあっても、眼前にたつカヤに比べれば劣っているのは明らかか。)さぁ、幕が上がる。どうぞお立合い。


雷鏡/ ◆ > …!(と、刹那…そのナイフがすべて受け流され、二人のヨズア信者たちに受け流される。そのスピードはカヤが投げたよりも遥かに加速され、当たるだけで致命傷となりうるようなスピードである。)なるほどね…3対1って訳ね。しかし、投擲を選んだのが間違いだったな。(と、素早く、一本しか刺さってないヨズア信者に切りかかり、ものの数秒で倒してしまうと、もう一人にも切りかかり、こちらも同じくものの数秒で。)さてと…最後はあんただ。どうする?(と、その刀を相手に向ける。その顔には、傭兵として完成された精神と…それに見合うだけのスキルを身に着けた者の姿があった。)


カヤ > (投擲したナイフが貴方の皮膚を軽く舐めることすらもなく受け流されると、へぇと一つ満足気に頷いて、その場に倒れる信者たちを気にした様子もなく、傭兵の完成形ともいえる貴方の姿を瞳に映してゆっくりと瞬いた。その間に思案することはこのまま遊びを続けるかどうか。どうしたい、と聞かれれば、血がみたい、と答えるのがカヤである。二人の立合いに気付き周囲に集まってきた尊華人たちに気が付けば潜在的な不快感から眉根を寄せて、腕組を解き、呪文を唱えようと唇を開いて――やめる。今日は荒神の日。赤い星が瞬く日であれば、術の威力は大きく減退される。ここで呪文を唱えてみたところでシュクロズアの再来を示すような大災害を起こすことは難しいだろう。ならば) 
カヤ > さぁ、さぁ、続いて第二幕。君がどう動くかをみせておくれ。正しいヨズアのありかたとは、如何に?(腕組を解くと、その両手の指にはまたナイフが握られている。今度は左右あわせて8本。左右に大きく腕を伸ばして優雅に一礼してみせれば、貴方に向かって一本。それと同時に尊華人の観客たちに向かって六本を投擲する。放射状に投擲されたナイフ。見逃すか、それとも敵国の人間を守りに走るか、だがその場合どこまで防ぐことが出来るのか。身の内から沸き上がる狂気に唇を歪めながら、母親と手を繋いだ少年目掛けて、最後の一本を投擲した。) 


雷鏡/ ◆ > 当たり前だ…俺は基本的に…(と、素早くナイフを切伏せていく…その刀の一撃一撃が鋭いことを証明するように、ナイフがまっぷたつに切伏せられては地面に落ちていく…鉄製のナイフの筈ではあるのだ。しかし、それはさも豆腐を切るかのように切られていく。そして、しっかりと六本を切伏せた後に最後の一本もまた、切り伏せる…)しかし、あんたは酔狂だな?他人を狙ってる暇なんてないのによっ!(と、最後の一本を切り伏せた後に…カヤに肉薄し、その刀を瀕死になるように加減しながら振るう。)


カヤ > (尊華人の悲鳴と高い金属音が重なる。地面に落ちる二つに切断されたナイフ、その切り口をみれば小さな体から繰り出される剣戟の鋭さは明らかか。最後の一本、投擲された凶刃から我が子を守ろうと隣にいた母親が少年に覆いかぶさるが、その背に切っ先が突き刺さるよりも速く貴方はナイフを分断した。それを見てつまらなそうに肩を竦めたカヤだったが、まるで距離などないかのように詰め寄ってきた貴方の姿に目を見開き、驚愕に顔を歪めて、悲鳴をあげようと口を開く――が、にやり。刃が衣を噛んだその時、まるで全てが偽りだったかのように嗤う。貴方の刃は確かに届いた。届いたが、しかし、刃が二つに切断したのは黒い外套のみ。ふわりと夜風に舞い上がった切れ端。) 
カヤ > 大丈夫そうだな、よかったよ。同士を失う訳にはいかないからね。(いったいいつの間に移動したというのか、まるで奇術のように姿を消して、貴方の後ろで倒れていた瀕死の信者の側で膝をつき容態を確認している。そうして長く伸ばした前髪の隙間から貴方をみつめれば、煽るようにまたにやりと、先ほど見せたのと同じ狂気に彩られた人間特有の血なまぐさい笑みを見せた。)加減した刃では誰も殺せませんよ?まぁ、ここまでにしておこうか。貴方の実力は十分に分かったからね。相談ですが、共にヨズアのため帝國と王国を倒しませんか?


雷鏡/ ◆ > …なるほどね…魔術以外にも得意技はあるってことか………少なくとも、俺は依頼以外の殺しは、敵側から襲いかかってこない限りしない主義なんでね。(と、相手に向きなおる。そして、相手が戦いを終える旨を告げて…さらに、自分に勧誘をかけてきた。要は、ヨズアのために尊華とウェンディアを敵に回せという内容だったので…)断る。俺は根無し草なんでね。誰かの元につくとき…それは俺が信ずるに値すると感じたときか…俺が店を構え…そのときの国か…依頼のときの依頼主。この3通りだけだ。少なくとも、先に述べた2パターンに関してはなかなか起こり得ないから、今のところは依頼主に従う…というのがメインだな。(と、彼は警戒を解かずに…その刀を構える。)


カヤ > ……それがヨズアだろ?帰るべき国もなく、頼るべき仲間もいない。生き残るため自分の腕を磨くしかない。(戦いの中で相手の人となりは伝わってくるもの。信念のない心が不安定な人物であれば付け入る隙など幾らでもあるが、貴方の剣戟には迷いなど欠片も感じられず、これは分が悪いと内心、舌を巻きながらも『特技』という言葉を耳にして表情を硬質化させた。過去に触れらることは嫌いだ。すらすら言葉を連ねながら、さっさと撤退を決めれば、信者に腕を貸して立ち上がらせつつ、ちらりと貴方を一瞥する。)
カヤ > 無償の奉仕は嫌いか。ならそれでもいい、そのうち依頼をだそう。それなら動くのだろう?ヨズアの神の意思を感じるのはそれからでも遅くはない。また会いましょう。(尊華人の観衆の前で打倒帝國を口にしたのだ、憲兵が駆けつけてくるのももうすぐだろう。わずかに肩を持ち上げて悪戯っぽく再会を一方的に約束すれば、刀を構えたまま立ち尽くす貴方を残して、まるで影のように夜の闇に消えていった。彼らが消え去った後、救われた尊華人たちは貴方の剣技を荒神に例え称賛することだろう。)〆