この世界では、”言葉”が魔力を持つ。

出会い

(ゼペタル&雷鏡)

ゼペタル > (ヨズア唯一の領土・シント。ヨズアの偉大なる王が勝ち取ったこの島は、小さな小さな事実上のヨズアの国だ。ゼペタルはシュクロズアリ(ヨズアを救う者達)の構成員だが、攻城戦がない時も暇ではない。このシントを守るのが、われわれシュクロズアリ…否、ヨズア人の役目だ。 そんなヨズアの団結を揺るがすある噂が、ここ最近シントの中で流れている。 ヨズア人でありながら、他国と手を組んで金儲けをしている者が居るというのだ。 ヨズア人は元々自由な気質だし、偉大なる王ことシュクロズアに直接会ったことがない若者ともなれば無理もない話であるが……。他国と手を組めるほど腕が立つのならば是非シュクロズアリの構成員になってもらったほうがよいに決まっているし、そうでなくてもとにかく動向を見ておかなければならない人物であることは確かだ。
ゼペタル > 大っぴらに商売をしていて、字も顔も割れている彼の名前は雷鏡と言った。 ……まったく、敵国である尊華の名前を字に使うとは、いったいどんな神経をした魔術師だ。 ゼペタルはそう思いながら、雷鏡がいつも通るという噂の道を張り込んでいた。 と、その矢先。噂どおりのオッドアイをした、小柄な少年がひょこっと現れた。自分の前を通り過ぎようとするのを、あわてて呼び止める。)……おい、君。待ちなさい。変なことを聞くがね。…雷鏡という人物に心当たりはあるか?


雷鏡 ◆ > ふう…今日も、何かしら依頼を受けてそれを完遂して報酬金を貰わないとな…でないと生計が建てられたもんじゃない…尤も、、何もしないでブラブラしていても俺の最終目標なんて叶いそうにもないがな…(と、通りを歩いている矢先、自分に声がかけられた。さあてと…仕事仕事。)ああ。俺がその雷鏡だが?俺に声をかけるってことは、依頼があるのか?もしあるのならば、要件を聞こうか。(と、相手の質問に答えた上で、自分に向けての依頼いがあるのかどうかを問うてみる。)俺は報酬金さえ手に入れば、密偵、人探し、猫探しでも戦争に兵として参加するのでも。なんでもやるぜ?何なら、トイレ掃除だってやってやるさ。(と、自分をしっかりと売っていく。)


ゼペタル > (やはり。声を掛けた少年、彼が雷鏡その人だった。なるほど、これだけあけすけに自分の事を話しているようならば、すぐに噂は広まるだろう。いきなり確信に切り込むのもどうかと思ったが、これだけ前の目めりに自分を売れる人物だ。おそらく、話が早いほうが良いのだろう。ゼペタルはそう思い、あえて言葉を選ばずに言った。)戦争か……ふむ。金さえ貰えば、このヨズアすらも敵に回す、ということでよいのかな?おぬし、見たところヨズア人に相違なかろう。何故こんな事をする?…あぁ、言っておくが金が欲しいなどというつまらない返事を聞く気はない。何故、歴史の証人になれるこの機会をみすみす逃す?…わしはそう問うておる。なあ、腕が立つという噂だ。シュクロズアリに勧誘されたことはあるのだろう?


雷鏡 ◆ > 一応はそうらしいが、何分確信を持って、「折れはヨズア人だ!」…とでも言えるような証拠もクソもない。俺自身、俺がどういう生い立ちなのかはわからん。けどまあ、俺がどこの民だろうと知ったこっちゃない。…俺は俺だ。ただ、俺の目標である、「万事屋の開業」を目標として、その資金を集めるだけのこと。そのためならば、仕事は選んだりはしてられないさ。でもまあ、何度かあんたの言うシュクロズアリという組織には勧誘を受けたが、俺は誰かに忠誠を誓ってはそのために命を散らすっていうのはどうも納得が行かなくてね。俺が誰かの元につくのは仕事として依頼を遂行するだけ。もちろん、報酬も貰って行くがな。だが、それまでのこと。俺は俺の行きたいところに行って、仕事をして、どこへともなくさすらい…そんな旅を続けるのが性にあっているようなんだわ。悪いけど、そういうたぐいの勧誘なら俺はお断りだぞ?


/ゼペタル > (ヨズア人という確証が無い…と言った。そう言われてみれば、混血に見えない事もない。シントに居るのはヨズア人に違いないという思い込みが、目を曇らせたか。散り散りに難民生活をしていたヨズア人のこと、少し掘ってみればややこしい生い立ちが出てくるのではないかと思ってはいたが…。自分自身がわからないとは、ーおそらく戦うのだから魔術師なのだろうがー魔術師には珍しい。)ははは、店の開業ねえ。随分と……。(おままごとみたいな夢を持ってるのだな、と思ったが、言わなかった。)
ゼペタル > しかしそれは、今おぬしがやってる事と何か違うのか……まぁ、若いもんのささやかな夢に、老いぼれが口を出すことでもないかもしれんな。…だがな若造、一つ教えておいてやろう。冥土に金は持っていけないぞ。その万屋とやらもな。(彼にとってはゼペタルの言葉など、いかにも老人らしいうるさい小言だろう。しかし、どんな言葉も広い意味では魔術なのだ。いつか伝わるかもしれない、魔術師達はみなそうやって言葉をつむぐ。)わしはお前さんのような若者が嫌いではないよ。ヨズア人らしくてな。お主がどこかの誰かを名乗りたくなったら、そのときはわしが証明してやろう。おぬしはヨズア人だ。自由を愛する、生粋のな。  


雷鏡 ◆ > 今やっていることとの違い。?そうだな…まあ、生活の拠点となる場所があるかないかだけの違いだな。まあ、いつでも帰れる場所がありゃあ、それだけでも気が楽だろ?それに、ぽっくりとあの世に逝っちまったときに何も持っていけないことは重々承知の上だからな。(と、俺はその後に言葉を紡ぐ。俺が一番大切にしていることを。)俺はこの一生をただひたすら俺の好きなように生きたいだけなのさ。そのためならば、戦うことも厭わない。それが、俺の決めた、名も知らぬ俺の両親に向けた決意表明ってやつなのそさ。それに、俺自身、ヨズア人であろうとそうでなかろうと関係ない。俺は一生。最期のその時までこう名乗っていく。「傭兵 雷鏡」とな。(そして、今の大体の時間を知るために太陽を見上げる。だいたいお昼頃か。腹も減ってきたし、一旦飯を食いに行くかね…)じゃあ、もうお昼時で腹も減ってきた。また会うときがあるかもしれない。其のときは敵か味方かなんてわかったことでもない。しかし、また会えたらまたこんなふうに話そうぜ。それじゃあ。(とだけ言い残して、彼は立ち去り、人混みの中に消えていった。)